ノーベル賞を取った大村先生が編者になって、イベルメクチンのCOVID-19に対する効果や取り巻く環境(どちらかというと悪意)についてまとめられた本。
イベルメクチンの発見物語やオンコセルカ症の箇所は素晴らしい業績であり、読んでいても気持ちがいい。
一方、イベルメクチンがCOVID-19に対する効果
...続きを読むをめぐる話題では、行政・アカデミア・企業の利権渦巻く混乱の極みになっている点がよくわかります。
もちろんイベルメクチンが効くんだ、という主張されている医師たちの著書なので、そちら側によっている本かもしれませんが、重要な点として、ネットなどでイベルメクチンが効かない、と主張している根拠を、以下の論文としている場合には、効かないことを信じてはいけません。
権威あるJAMA(Journal of the American Medical Association)に掲載されたコロンビア人医師 ロペスーメディナ医師の臨床試験の結果(2021年3月4日)を引用している人や媒体。
この論文の問題点;治験で事前に決めたscoreが悪化する想定でのエントリーが、そもそも悪化しない患者群(若者で肥満度も高くない)だった点、プラセボと実薬とで味が違うのが分かってしまい盲検性が破綻している点、加えてプラセボ投与群の一部に実薬のイベルメクチンを投与している患者が含まれている点、筆頭著者のロペスーメディナ医師は、治療薬と競合関係にあるワクチンの研究開発中の企業 ヤンセン社から資金援助を受け、利益相反関係にある点
「ワクチン・レース」でもそうでしたが、現在進行中の混乱時には、虚構と真実が入り乱れ、不幸を生み出してきた歴史があるのに人間って学ばないんだな、と思いました。
で、ではイベルメクチンに対する個人的な感想ですが、マクロライド系抗生物質だし、そもそもオンコセルカ症で数十億人に投与されてきた実績を踏まえると、安全性でしょう。マクロライド系はかなり広範な作用を持つものもあるし、期待していいのでは!と思います。