川端康雄のレビュー一覧
-
立場上、学生に「どうして勉強をしなくてはならないのか?」訊かれることがある。これにシンプルに答えるのは難しい。
頭脳労働と社会運営を他者に任せきりにした動物達の行末を描いたこの本は、その回答のひとつとして比較的分かりやすいと思う。
知識を蓄えること、頭を使うことの重要さが、全体主義への風刺を込めて描...続きを読むPosted by ブクログ -
面白かった…..
ナポレオンはわたしの会社の課長をみているようだった………そりゃ世の中、良くならないよね……..。七戒の文字が足されていくのがやばかった。記憶と思い出って、想像よりも随分と脆い。
読後、付録のオーウェルの言葉を読んで、史実どどこが重なるか具体的に知れて、それも興味深かった。確かに...続きを読むPosted by ブクログ -
オーウェルは自分の言葉で語っている。
当時も今も多くの人は自分の言葉で語っていると思ってもその実党派性の塊だったり、結局政治的ポジショニングのことだけを考えている人が多いよなと思う。
その中でオーウェルは自身の信じる原理原則に従って色々な判断を下していた。 -
面白かった。スターリン時代のロシア情勢の風刺らしい。興味湧いたからあとで調べよう。知ってて読んでたらまた違った印象かも。物語としては寓話として良質だった。希望を胸に奴隷農場から独立したのに結局独裁者が生まれて奴隷農場に逆戻りってオチが良かった。Posted by ブクログ
-
物語形式で誰でも読みやすい。
シンプルなようで非常に面白い。
国と大衆のありようが非常に鋭く描かれている。
無残なほどにおバカな動物達と、いつのまにか全体にとっての正義が利己的な利益の追求にすり替わりつつも、これは全体のための犠牲であるという、このように客観的に見れば、アホらしく思えることも、現実世...続きを読むPosted by ブクログ -
事実が刻々と修正されていく様が特に恐ろしい。
なんとなく、ロバのベンジャミンの鋭さが『1984年』の主人公ウィンストン・スミスに重なる気もした。が、どちらかというとベンジャミンはプロール側なのかもしれない。Posted by ブクログ -
オーウェルの人生史及び生み出してきた作品群に沿って、当時のオーウェル(エリック)や社会・政治の様子が解説されている。
ビルマで帝国警察官の身分で働きつつも帝国主義に対して嫌気がさしたり、かと思えば英国人に対して敵意を剥き出しにする現地の僧侶に対して嫌悪感を抱いたりなど、一見整合性が取れていないように...続きを読むPosted by ブクログ -
オーウェルのすばらしさは、自分のものの捉え方、考え方を出来合いの借り物ではなく、自分の経験と思考によって作り上げたことにあると思う。decencyは大事な言葉。座右の銘としたい。Posted by ブクログ
-
邪魔な人間を追い出し、動物たちだけの理想の暮らし!……かと思いきや。どんどん雲行きが怪しくなり、物語が進むにつれ気分は沈んでいった。ぶたが「ふたつあし」になり、人間とトランプに興じる最後のシーンは心底ゾッとした。イカサマが露見している以上、ぶたと人間の関係悪化もそう遠くない未来の話だろう。その時には...続きを読むPosted by ブクログ
-
人間を追い出して動物たちで自治を始めた「動物農場」だが、自治が進んだ先には…というおとぎばなしを通して、ソビエトの共産主義体制をやゆした話。
話はおとぎばなしなので、小学校高学年〜中学生くらいから理解できる内容です。(たぶん)
ただ、過去の歴史や現実の社会情勢を知ったうえで...続きを読むPosted by ブクログ -
ジョージ・オーウェルの生涯を追跡することで、その思想や行動を浮き彫りにした一冊。オーウェルを主題にした新書はこれが最初だろうか。『動物農場』、『1984年』、「像を撃つ」といった作品自体は知っていても、それ以上のことは知らなった者としては、とても有り難い。decency(人間らしさ)への信頼がオーウ...続きを読むPosted by ブクログ
-
50年以上も前に書かれた本だとは…衝撃でした。
このおとぎ話口調がまたぞっとさせる。。
無知ってこわい。
というか、独裁者の下では感覚を麻痺させるほか自分を守る術はないのかもしれない。
ボクサーの最後はほんまにつらかった。
罰を受けるのをわかっていて告白する動物たちも。
こういう状況...続きを読むPosted by ブクログ -
初めて読んだのは中学生の時くらいだったはず。
読みやすい文章と何とも言えない気味の悪さは今でも印象に残っている。ソビエト史やメインの動物たちのモデルとなった人物(スターリン・レーニン・トロツキーなど)について多少の知識を得た今、改めて読み返すとこの作品の本当の意味・強烈さを痛感させられた。
刊行され...続きを読むPosted by ブクログ -
これはホラーだ。陽が昇っているうちに読むことをおすすめする。夜読むと眠れなくなる。それだけの不気味さと真実が、この本にはある。
もう一度言う、これは、ホラーだ。Posted by ブクログ -
本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。
それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が...続きを読むPosted by ブクログ