西谷修のレビュー一覧

  • 戦争とは何だろうか
    戦争とは何か、哲学的・歴史的な観点から丁寧に説く一冊。ウェストファリア体制が確立し、その後なナポレオン戦争後に国民戦争となった戦争。それが意図せずに起きた一度めの「世界戦争」、わかってて起きた二度めの「世界戦争」、核によって起こさなかった三度めの「世界戦争」。3つの世界戦争後には国家間の取り決めなど...続きを読む
  • 自発的隷従論
    主君が複数いてもなにも良いことはない。

    たった一人のものでも主君という称号を得た途端に、その権力は耐え難く、理を外れたものになるのだから、ましてや複数者による支配など良きものであるはずがない。

    しかしオデュッセウスはここに付け加えた。

    頭でも王でもたった一人が望ましい。

    冷静に考えれば一人の...続きを読む
  • 自発的隷従論
    さすがに古典という感じを受けた。わかりやすい言葉だが読み方はおそらく難しく、読み手にとって都合のいいフレーズだけをつまみ食いされることも多いだろう。それだけでもパワーを持つというのが、古典の力か。
  • 自発的隷従論
    人はなぜ、自らを害する者にわざわざ自分から従ってしまうのだろう。
    という疑問をつきつめて考えてみた500年近く前の若者の論文。

    「なぜ」よりも「どのように」が近い。
    君主はどのように振る舞い、民衆はいかにして隷従するか。
    見えるものをただ書いただけ。だから今にも通じてしまう。

    ラ・ボエシは革命を...続きを読む
  • 自発的隷従論
    16世紀半ば、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ若干16歳もしくは18歳の時に著された小論文。啓蒙時代以前の著作であり、近代・現代思想の洗礼を受けてきた現代人にとってみれば、その「自由」概念は驚くほど牧歌的で微笑ましいものではあるが、そうだからこそ逆にあらゆる支配形態下の人々に訴えかける普遍性を持ち、本書...続きを読む
  • 自発的隷従論
    勢いでもって論じられる、根拠もない正論。
    そこに根付くのが正義だ。
    惰性と習慣は紙一重であり、自覚的にならない限り、そこからの脱却は困難を極める。いや、たとえ自覚したとしても。
  • 自発的隷従論
    「自発的隷従論」とはいかにもピンと来るタイトルだ。王権は民衆が隷従するからこそ成立する。人々は自ら好んで、権力に支配されることを欲する。
     これはなんと、16世紀の、当時16歳だか18歳だかの若造(もしくは小僧)が書いた本である。あまり学問的でもない筆致だが、鋭いところを突いていることは確かだ。
     ...続きを読む
  • 私たちはどんな世界を生きているか
    現在の社会状況がどのような流れや考えで形づくられているかを西洋近代、明治以降の日本の流れから述べている。著者の他の著作も読んでみたい。
    「自由とは限界との関係だが、アメリカは他者を抹消することの「自由」の基盤としてきたので、自由の底が抜けている」
    「二十世紀は十九世紀と二十一世紀の間の例外的な世紀・...続きを読む
  • 戦争とは何だろうか
     世界の状況とともに「戦争」のあり方がどう変遷してきたかが簡単に論じられていて面白かった。
    以下の点は良い気づきを得られた。
     核兵器を使用することは、戦争の正当性を失うという指摘。
     日本軍は一度も主権者として自発的に戦ったことがなく、それゆえ他国にはない「軍隊もの」という文学ジャンルの作品がある...続きを読む
  • 自発的隷従論
    「隷属への道」に続く隷従シリーズ。この本が描かれたのは16世紀のフランス。まだ民主主義など遠い理想でしかなかった時代のものだが、今の時代にも当てはまることが多くて何やら冷んやりする。「自発的に隷従する」というのは単語としても矛盾しているが、状態をよく表しているとも言える。つまり、指導者たるものの何ら...続きを読む
  • 戦争とは何だろうか
    借りたもの。
    17世紀半ば~現代の“戦争”の概念の変容を歴史の流れから理解するには良いと思う。
    現代のテロ事件の根底にあるものが、歴史の中で連綿と受け継がれているわだかまりである事が理解できよう。

    よく言われる「狩猟民族の発想が戦争を引き起こす」ではなく、「農耕による定住と蓄えが、その集団内部で管...続きを読む
  • 自発的隷従論
    ヴェイユ読み返した後だからかもしれないけど別に読まなくてもよかった感が・・・。ヴェイユが影響受けたらしいけど。ていうかヴェイユの省察が読みたくて買ったんですがね。本編よりも自分的には収穫あった。