村上靖彦のレビュー一覧

  • 客観性の落とし穴
    客観性の持つマジョリティな考え方の強さ、それに従順になってきている自分たち。客観性によって隙間に落ちていってしまう人(マイノリティ)の語りから、全ての人に当てはまる真理が出てくるのではないか、といった内容。
    とても納得する主張が多かったし、自分が個々のエピソードを聞くことを好きである理由がこういうと...続きを読む
  • 客観性の落とし穴
    エビデンス至上主義な意見をよくか聞くが、社会科学と自然科学をどう結ぶか、本書で感じられたと思う。

    客観性といっても、誰かのルールに則ってしまうし、常識がひとそれぞのように、客観性もそれぞれで盲信できないと感じた。
  • ケアする対話 この世界を自由にするポリフォニック・ダイアローグ
    横道氏の書をはさみ、斎藤環氏とケア倫理を絡めた小川公代氏の対談を中心に当事者研究とオープンダイアログ、そしてケア倫理の関係を対談なので、わかりやすく、縦横無尽に語り尽くす。最後に頭木弘樹氏、村上靖彦氏の対談でしめるなんとも贅沢な対話集であった。印象に残った言葉を二、三。倫理的であることが治療的である...続きを読む
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
    非常に面白く読めた。史実的な行為がクローズアップされるが、それに至るまでのコミニュケーションが大事。意思疎通を図ろうとする努力そのものがケアである。
    人が人を相手にする仕事だからこそ様々な形でのコミニュケーションがある。
  • 客観性の落とし穴
    医療や福祉、教育などの職業について客観性とケアのバランスについて考える1冊。クライアントの声や表現が大切であることを忘れずに評価を行う必要性- 客観的指標の限界を認識し、個々の質的な内面に向き合う重要性について教えてくれる。

    ・そもそも、客観性とはどのようなプロセスを経て誕生したのか?
    ・客観性が...続きを読む
  • 客観性の落とし穴
    客観性を支えるのは数値である。
    数値化は序列化であり、それが能力主義を生み、さらには優生思想に繋がる。

    「働かない人が多くなると国が成立しない」といった統治者の立場でものを言う人が散見する昨今の傾向は、ホント嫌だなあ。国なんて、虚構なんだから、そこに視点を合わせることに意味はないことを知ること。視...続きを読む
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
     仕事柄、病や逆境と向き合う患者さんと多く接してきた。その接し方で見えてきたことの答え合わせをしたくて手にした本。

     患者さんの中には、悲嘆から抜け出せないでいたり、希望を持てないでいる方も多く、声掛けにも応じず、否定が重なる。まさに人生の歯車が止まっている状態だ。ここに関わる者は、ケアラーとして...続きを読む
  • 客観性の落とし穴
    大学で教鞭をとる筆者が講義において学生から多くの「客観的な妥当性はあるのか」という意見を受け取った。客観性を担保するものはデータであり、数値としてのエビデンスであるけれど、数値に過大な価値を見い出せば、個人の経験などは顧みられない社会になってしまうのではないかという思いがきっかけとなって執筆すること...続きを読む
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
    ケアといってもいろんなケアの場があり、この本でも医療者による患者への、介護職による利用者へのとか、子どものケアをしている人とか著者の長年の研究をもとにしたケアの場面から見えてくるものが紹介され、ケアに含まれるさまざまな要素が示唆される。
    ケアとは何かと説く本をこれまでにも何冊か読んできて、そのたびに...続きを読む
  • 「ヤングケアラー」とは誰か 家族を“気づかう”子どもたちの孤立
    ヤングケアラー当事者の声を丁寧に掘り下げた一冊。

    読むのが苦しくて、何度も挫折して、ようやく読み終えました。
    ヤングケアラーと呼ばれるご本人に世界はどのように見えていたのか、ご本人の言葉からだからこそ湧き上がる感覚、浮かび上がってくる情景があり、読むことができて本当によかったです。

    記号としての...続きを読む
  • 「ヤングケアラー」とは誰か 家族を“気づかう”子どもたちの孤立
    ここ数年来に知られるようになった「ヤングケアラー」。何冊か類書を読んでいるが、本書はその中でも異色というか、深く問題を掘り下げ、またヤングケアラーだった人、サバイバーと言ったらよいのか、その人たちからの聞き取りをまとめたものなので、実情がより具体的であり、またその支援も具体的である。事例の方々は、よ...続きを読む
  • 子どもたちがつくる町――大阪・西成の子育て支援
    文章がひじょうに読みやすく、私のように西成地区や児童福祉に関する知識に乏しい者でも問題を把握しやすい。また、インタビューの取り上げ方が絶妙で、村上先生の考察と合わせて、支援者が何を見てどう感じ行動しているかをありありと知ることができる。
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
    ケアについて,現象学的アプローチから実践ベースに語られた良著。私はメイヤロフ,ノディングズなどに明るくないが,それでも読み切れてしまう。

    〈出会いの場〉〈からだ〉など現象学チックな言葉づかい,概念も多いが,平易な文章のため難なく読めるのではないだろうか。
  • ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
    自分自身では本年最高の読後感であった。現場の声から本質を捉えていく方法論で紡いでいく本書であるだけに力があるものだと思う。まずケアのゴールからであるが、「当事者が自身の<からだ>の感覚を再発見し、自らの願いを保てる、そのような力の発揮を目指すことこそがケアのゴールだ」で始まり、以下コミュニケーション...続きを読む
  • 子どもたちがつくる町――大阪・西成の子育て支援
    ここに書かれている事は「書ける事」であり、実際にはもっと複雑な事があるのだと想像していくことが大切だと思う。
  • 母親の孤独から回復する 虐待のグループワーク実践に学ぶ
    困難な状況の中で孤立している母親への手当てと、つながりの再構築への道のりが丁寧に描かれています。

    グループワークを行う機会の多い私にとって、参加者目線の言葉と、ファシリテーターの言葉と、観察者としての筆者の言葉の重なりが、とても参考になりました。

    ホールディングという観点からグループワークの「場...続きを読む
  • 治癒の現象学
    「治癒とは…創造性の回復(である)。創造性は困難な現実への適応を可能にするだけでなく、それ自体として健康であるという感覚を生むからである」という箇所にしびれました。なるほど!
    この本は現象学という分野から治癒について述べているのですが、現象学にも哲学にも縁遠い私には、1つの文章だけに注目すると、書い...続きを読む
  • 客観性の落とし穴
    客観性は行き過ぎると、数字にのみスポットが当たってしまい、その背景要素がごっそり抜け落ちてしまい、肝心な事が見えなくなってしまう
    さらに主観性を分析するには、人の話を一言一句そのまま書き起こし、内容は勿論話し方や表現などをも分析するが肝
    民俗学やっている時に出会いたかった…
  • 客観性の落とし穴
    「客観性の落とし穴」といタイトルなんだから、決して「客観的」に論理を展開することを期待してはいけない。「客観性」では取りこぼすものに重要なものがある。
    実は「現象学」の入口として有用な一冊。
  • 客観性の落とし穴
    「平均介護度はどれくらいですか?」
    施設を見学に来る同業者の大半から聞かれる質問。
    この質問にどんな意味があるのか、それとも大して意味はないけど“とりあえず”聞いているのか、僕には分からない。

    その人の日常生活にどれくらいの介護が必要かを判定する指標として、要介護度というスケールが考案された。
    ...続きを読む