原正人のレビュー一覧

  • 塩素の味
    フランスの作家によるバンデシネ。セリフが少ない分、五感を刺激され、肝心っぽい言葉ほど聞けなかったりするものだから、好奇心をくすぐられたまま宙ぶらりんの状態にされる。でも、「BDはもともと、読者に積極的な参加を求めている」。人間の動きに味がある。

    “しょっぱいボーイ・ミーツ・ガール”ってなっているけ...続きを読む
  • 闇の国々
    フランス語圏の漫画、BD(バンド・デシネ)の大作。「闇の国々」と呼ばれる国を舞台とする連作である。本書出版の時点では、本編が12作、番外編が12作出ており、本書ではうち本編3作が収録されている。
    日本語訳としては、本書に加えて『闇の国々II』と『闇の国々III』は刊行済であり、『闇の国々IV』は20...続きを読む
  • 闇の国々III
    第2集からわずか半年で第3集がでたのは驚き。文化庁メディア芸術祭で大賞とったし、ユリイカで特集したしで、着々と支持を広げている印象。
    第3集は中編ふたつと、新聞記事に模した短編ひとつ。いままでの第1集第2集に比べて、格段に読みやすくなった。これまでは行間の読み方から、テンポの取り方から、日本の漫画と...続きを読む
  • 闇の国々
    例えば、指輪物語のことへ思いは漂ってゆく。その物語は完全な空想の物語である筈なのにどこかしら言い伝えられた話であるよう雰囲気がある。伝説的な物語(あるいは神話もその一つに含めてよいと自分は思うけれど)の不思議さと現実から切り離された浮遊感の混じり合った雰囲気は、逆説的ではあるけれど、物語が地続きの世...続きを読む
  • 闇の国々
    400ページの大型本。絵もストーリーも深く緻密で中々読み進めない…orz 装丁を含む本そのものが世界を持っていて、まるで映画を本の形で読んでいるような錯覚に陥る。そういう体験自体が面白い。
  • ラディアン (1)

    不思議な感覚

    キャラ絵は完全に日本のマンガ風。
    ストーリーも、冒険ものの王道のような展開。

    でも、何か日本のマンガとは違う。
    「ドラゴンボール」の英語版などを読んだことがあるが、そんな雰囲気か。

    何が違うんだろうと考えたら…、コマ割りと文字数の違いだろうか?
    とにかく、セリフの文字数が多い。
    また、キャラを「...続きを読む
  • ソクチョの冬
    彼が束草(속초)に来たのは冬のさなか。冬の束草に見るべきものなどないと主人公は思う。海水浴にくる場所だ。彼はヤン・ケラン、フランス人だ。フランスが気になるのは、主人公の父親があったことも無いフランス人であることだ。母親を置いたままどこかに行ってしまったという。でもフランスが気になるのか、大学では韓国...続きを読む
  • ソクチョの冬
    最期、フグをさばいたあたりで不吉な予感がしたけれど、結局それを食べずにバンドシネ作家は出て行った理解でよいのかな。

    ソクチョの冬の景色や漁港の風景をついつい調べてしまった。
  • 闇の国々III
    不条理というのだろうか。物語が難解だ。
    世界観がしっかりできているのがすばらしい。
    とくに建築物。むしろ建築物が主役のようなコミックだ。
    建築物が主役というと弐瓶勉の初期作品を想起する。
    しかし、シュイッテンの作品は、弐瓶勉のような闇の世界ではなく、陽光もある。そう、弐瓶勉のほうが闇の国々なのだ。
    ...続きを読む
  • 闇の国々
    絵の質感がとても良い(個人的好み)。
    ただし日本の漫画の絵柄・コマ割りとは方向性が当然異なるので、読みづらさを感じるのは確かです。
  • 塩素の味
    塩素の味
    コマも含めてラフなフリーハンドな感じと、透明感ある青緑っぽい色みがとてもいい。とりあえず絵を眺めているだけでいる心地よい。ひたすらプールだけで展開されるゆるい恋愛ストーリーも、いかにもおフランスのマンガぽい。
    26
  • 闇の国々II
    第2巻がついに出た。ページ数は減ったけど、今度はフルカラー。第1巻がわりとバラエティに富んだ内容が多かったが、第2巻は比較的地味な内容。地味ではあるけれど、こちらのほうがより<闇の国々>の世界観をよく描出している。それはこの闇の国々という作品群がある種の都市論であるという事。たとえば第2巻に収録され...続きを読む