アチェベのレビュー一覧

  • 崩れゆく絆
    近代アフリカ文学の原点と称されるアチェべの名作小説。

    舞台はヨーロッパ人によるアフリカの植民地化がはじまりつつあった19世紀後半の西アフリカ(現ナイジェリア)。
    絶え間ない努力と武勇によって若くして富を築いたイボ人の男、オコンクウォを中心に物語は進む。

    オコンクウォはレスリングのチャンピオンとし...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学は当然初めて。解説も読み応えあり。
    完全に未知なる世界である植民地支配前のナイジェリアでの日常自体が非常に興味深いし、ストーリーとしても面白い。登場人物名はンから始まったりするのでなかなか入ってこない。
    急に地方長官目線で語られる終わりはあっけなかった。

    村の運命を大きく変える白人は、...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    遠い大地の文化・慣習が近くに感じられるほどの瑞々しい文章だが、それを理解するための小説ではなく想像させることが目的。
    注釈が丁寧でとても読みやすい。
  • 崩れゆく絆
    19世紀のナイジェリアが舞台。
    独自の神を信じ崇め、家族・ムラという単位で生活していた共同体に、キリスト教伝道師の入植により植民地化していく様を描く。中盤までは、文化や生活、信仰などについて淡々と描かれていますが、その後の畳み掛けるような展開がすごい。
    時代も国も違いますが、どこか今の社会にも共通す...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    初めてアフリカ文学を読んでみた。内容としては特に難解というわけではない。始まりから2/3程度までは、主人公のコミュニティの儀礼、慣習、信仰などが細かく描かれている。若干冗長だなと思いつつ読み進めていくと、イギリス人がキリスト教という道具を持参して、植民地化の目的のもと渡来してくる。そこからはあれよあ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学というくくりが正しいのか、自信が持てないが、疑いの余地なく、優れた文学である。

    未知の世界。加えて、読みにくい、非直線的な書き口。私から見ると、非情で、矛盾を感じる文化。

    しかし、最後まで読み通し、その言われようのない悲劇的結末に接し、全てに予期せぬ意図を感じたのだ。人間社会、人間と...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    少し前に文庫化されぜひ読みたいと思っていた一冊。アフリカ文学の父といわれる、チヌア・アチェベの記念碑的一冊ということ。アフリカ文学には聡くないので、そういう意味での評価はできないが、歴史的背景も合わせて様々な学びを与え、人間と歴史の気づかない側面を教えてくれた。

     未開のアフリカ、一部族を取り巻く...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    ヤムイモのリアリズム。アチュべはナイジェリア出身の作家。ナイジェリアはヤムイモ産出量世界1位。なによりもまず重要なのはイモであり、あらゆる食事にヤムイモなのである。
    客人がやってきてに「コーラあるよ」ともてなすのだが、これはコカコーラの原料の「コーラの実」のようである。覚醒作用があるようなのでやっぱ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    植民地支配される前のアフリカの伝統的な暮らしの素晴らしさを描き、欧州の文明到来により崩壊していく嘆かわしいお話かと思っていたら、もっと深くてたくさんの要素が詰まったお話でした。
    アフリカの集落の日常は物珍しく、慣習や考え方の違いは読んでいておもしろいですが、予想外に残酷で不可解だし、英雄オコンクゥア...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    重い話でした。
    伝統を守るとは?
    その中で地位を築くためには?
    その一方で、その伝統に潜む非科学的・非人道的な掟を守り続けるのはなぜか。
    それらを打破するのが、侵略に依ってしまうのが辛い。

    初めてのアフリカ文学。
    田舎者の私には、舞台となった前世紀初頭のナイジェリアの話が、なんだか知らない世界の話...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    読んで良かったと思う。
    アフリカについて世界史じゃない文学として初めて触れたと思うけど、なんともやるせない気持ちになった。
    植民地前の文化が全て肯定出来るわけでもなく、まして支配者側の考えが受け入れられるわけもなく。
    ただ後世の私はこれを読んだことがいつか何かの基準になると思った。
  • 崩れゆく絆
    「読書会という幸福」(向井和美/岩波新書)で紹介されていた本。初めてのアフリカ文学ですが、読みどころの多い小説でした。著者のアチェべはナイジェリア出身のイボ人作家。
    1958年にロンドンで発表された本書は「アフリカ文学の父」と呼ばれるアチェべの最高傑作とされています。

    (以下、プロットに若干触れま...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学初読み。
    イボ人の伝統と生活習慣が色鮮やかに語られていく。異文化を体感できるのは読書の醍醐味だ。
    主人公が最後に選択したものが消化しきれない。また時間を置いて読み返したい。
  • 崩れゆく絆
    ・アフリカ文学史上最高と呼び名の高い小説
    ・アフリカの村で一代で名声を築いた男が主人公
    ・父親を反面教師に努力をする
    ・隣の村と戦争を起こす代わりに人質を捉えて自分の家で育てる
    ・村のならわし、神のおつげにより、自ら大事にしていた人質の子を殺めてしまう。そこから暫くは食事もせず。
    ・偶発的な事後で同...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学の在り方
    黒人と白人の関係っていうのは今後も一生注目され続けるもので、こういった文学はその関係における事実とか考え方を継承するひとつの大切なもの
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学の父と称されるアチェベの代表作。アチェベの名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、コンラッドの「闇の奥」についての論争について読んだときに名前をみかけたようだった。
    本書は19世紀のナイジェリア、イボの文化を描き出すとともに、それがイギリスによる植民地支配により崩れ行くさまを、戦士とし...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    ◆石川直樹さんのおすすめ

    キリスト教が入ってきたときに
    今現在虐げられてたり
    今現在の価値観に疑問を持っている人たち
    (双子を堕胎しなければならなかった母親など)
    が改宗していったというところに
    なるほどなぁと思う

    もともといた人たちの世界観の中に
    新しく場所を設けて
    考えを拡げていく

    どちら...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    民族誌半分、物語半分。カメの昔話、家族の仕組み、ヤム芋の農業。歌や市場や巫女の存在意義、アフリカ文化の基礎知識がないから、珍しい。

    キリスト教の西欧がアフリカの人々の信仰を無慈悲に蔑み侵入してきたのを当事者の目から書いた、アフリカの人々 可哀想、なだけで終わらない文学。
    村人たち、とくに主人公オコ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    「アフリカ文学の父」による最高傑作と言われる。

    物語の前半は、徹底した労働により一代で名声を築く主人公オコンクウォの半生が語られる。彼の考える勇気の大切さ、怠惰への嫌悪などは息をのむほど。一方で、一夫多妻制の下での(現代の感覚から見れば)信じがたいほどの男尊女卑、子どもへの抑圧、「迷信」と呼ばざる...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    最後は痛烈。日本の明治維新における、漱石を初めとする文豪の問題意識や西郷隆盛の西南戦争と共通するところがあり、特に日本人にとっては、古くて新しい問題である。それは、第二次世界対戦後という現況にも問題を提起している