マルセル・モースのレビュー一覧

  • 贈与論 他二篇
    贈与は資本経済とは違う軸で動く、という新たな視点、そして贈与に係る様々な「なにか」を強く感じられ、とてもよかった。現代でも贈与が残る理由がよくわかり、そして自分たちがとるべき行動や今何も考えずとっている行動について再考する良いきっかけになった。
  • 贈与論
    贈与は呪い。「贈与交換」は無限ババ抜き。
    貨幣経済とどっちがカオスか、と問われると難しいが、個別清算であるぶん、貨幣経済のが健全だろう。
    一方で貨幣はムラを分断するだろうから、互助の精神は希薄化するのだろうな。

    読むほどに不安と恐怖を感じる。
    呪いとしての贈与文化は苦手。
    しかし何度も読み返したく...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    お金にならない価値の「価値」を言語化したくて読んだ。
    読後の結論は、

    お金にならない価値の「価値」は、人と人との繋がりを生む、という価値である。金銭での等価交換は、一回きりであり、繋がりや関係性を関係性を生むことはない。

    という点に収まった。納得。

    ***
    贈与と返礼は、人間社会の特徴の一つ。...続きを読む
  • 贈与論
    贈与論
    人やモノを全て含んだ円環状の贈与体系をトロブリアントの民族からの実地調査をもとに検証している。また、贈与をするための霊的な感覚による根拠(ハウなど)を同時に示し、人類の経済の基層に贈与・交換があることを明らかにした。
    ハウとは、何か物を与えられたら、人に与えなければならない。そうしないと、落...続きを読む
  • 贈与論
    [メモ(暫定)]一連の研究の問題意識は「未開あるいはアルカイックといわれる社会において、受け取った贈り物に対して、その返礼を義務づける法的経済的規則は何であるか。贈られたものに潜むどんな力が受け取った人にその返礼をさせるのか」であり、モースが分析の対象としたポトラッチやクラは以下の特徴をもっている。...続きを読む
  • 贈与論
    全人類に共通する慣習「贈与」。

    これは、単に与えるだけではなく、受け取った側が返礼の義務を負うという点に特徴がある。
    また、贈与に対する返礼といっても単なる物々交換ではなく、宗教的・法的・競争的・経済的・政治的な要素を多分に含んでおり、それらは全て集団的である。

    本書は、世界各所および、あらゆる...続きを読む
  • 贈与論
     特に一部の地域コミュニティでは、人間の活動は贈与で成り立っている。そこには、霊とのつながりから導き出される現所有者との
    過去所有者とのつながりがある。それが、恐らく地域コミュニティにおいての不和をなくさせてきたのかもしれない(もしかしたら、逆なのかもしれないが)。
    では、なぜ現代社会では不和がすぐ...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    「贈与」
    贈る義務、受け取る義務、返還する義務が存在する。

    はるか昔から、人間社会の基底に存在してきた贈与というシステム。
    そのシステムは様々な社会関係を安定化させ、発展することに寄与してきた。
    確かに、資本主義というシステムが世界中を席巻する現代においても、システムとしての「贈与」は存在している...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    何もかもが独立、分裂している今日の西洋的な社会とは対称的に、このような何もかもがつながり、循環している社会もあるのだ知ることができたのが、この本を読んでのなによりの収穫だった。
    この社会に住む人々にとって、幸福とは富を限りなく増やしていくことではなく、増やし蓄えた富を皆と分かち合ったその先にあるもの...続きを読む
  • 贈与論
    様々な地域に残る贈与と返礼の義務という伝統的な習慣を膨大な資料を元に比較研究し、贈与の与える社会的な役割や影響を研究した書籍。現代の日用品の交換などの贈与との違いは精神のコミュニケーションでもあること。贈与は神聖な儀式であり、富を破壊(消費)することで争いではなく信頼関係を築き、クラン同士の結びつき...続きを読む
  • 贈与論
    最近自分が関心を持っている現象に関わる文献なので読みました。自由主義経済が発展するなかで、無私欲・非営利的行動とされてきた贈与に単なる経済原理ではない、特別な原理が存在していることを発見した名著。贈るモノには魂が宿り、その魂は贈り主に帰ろうとするため、受け取った者はお返しをする義務を負う、という解釈...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    前半は贈与が歴史的にどうのように変遷をしてきたかをまとめてくれている。
    贈与が人類にどのような影響や意味があるのかを第4章の結論でまとめてくれている。
    忙しい方は第4章のみを読めば良いと思う。それでもこの本の価値は、極めて高いと思う。

    贈与=契約▶贈与=交換、義務、かけ、礼を礼で返すもの
    贈与は他...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    マルセルモース 「 贈与論 」

    贈与を 集団間における給付と定義し、お返し(反対給付)を義務としている。集団間の贈与が 集団の規範、宗教儀礼、交換経済に組み込まれている

    「贈与により 人、物、霊魂が混じり合う」感覚は 集団の感情を理性的にコントロールする手段だったのではないか?

    全体的給付の体...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    (01)
    最終章では、政治、社会、経済、倫理の各側面から現代における贈与のあり方を示唆しており、著者が過去や他の民族を生きられている世界としてとらえている点は重く受け止める。
    贈与は、決して一方的な(*02)ものでもないし、贈与が非対称である場合は、社会全体としてバランス(*03)が図られるように機...続きを読む
  • 贈与論
    ポイントは、元の持ち主の力が宿っている、というところですね。現代に置き換えると、たとえば楽天市場で自分の顔を出して商売している人がいるとします。その商品(お酒でも、チャーシューでも、果物でもいいですが)を買うことで、その商売している主人の人柄も買っているような気になることはないでしょうか。すごく気に...続きを読む
  • 贈与論
    ドイツ語におけるGiftは「毒」の意味も併せ持っているというのは象徴的だ。そう、資本主義が商品の売買によって他者との関係を築くのに対して、それ以前の未開社会は相互の贈与によって他者との関係を築き、それは政治や法律の代替として機能していた。だからこそ贈与には受領や返礼の義務が付随するのであり、それは又...続きを読む
  • 贈与論
    本書は、経済は市場経済だけではないという論証になっていると思うので、市場経済に苦しめられている私としては救われる書物であった。
    贈与経済を実践するためには、贈与を義務としてとらえるというマインドや贈与先の無数のリストを保持するという条件が必要だが、未開社会や原始的な社会においては、神話や呪術や宗教や...続きを読む
  • 贈与論
    贈与と返礼を巡る考察。豊富な具体事例も魅力の一つ。

    古代社会・未開社会での経済を考えたとき、「物々交換」とは異なる原理が存在するのではないか、ということを事例を引きながら丁寧に説いている。本文中の引用に留まらず、注釈部においても多く事例が掲載されており、読むのにとかく時間がかかった印象。それだけに...続きを読む
  • 贈与論
    ほぼ世界の全域にわたる地域に関する資料を渉猟し、古代の法に関する文献を蒐集することによって、贈与、受領、返礼を義務とする文化が、太古から人類のあいだに、しかも地域を横断する仕方で息づいていることを、比較文化的に浮かび上がらせる文化人類学の古典的研究であるが、そのアクチュアリティは、発表から85年以上...続きを読む
  • 贈与論 他二篇
    武器としての哲学の推薦本であった。哲学ではなくフィールドワークである。ポトラッチについての説明である。アジアでは中国についてわずかのページが割かれているのにすぎないので、日本では柳田の本を読んだ方がいいであろう。