井上文則のレビュー一覧

  • 軍と兵士のローマ帝国
    ローマ帝国については色々な視点から出版されているが、この本は軍と兵士を中心として書かれており、視点が違うだけで新しい発見があるものだと気付かされる。

    歴代の皇帝はどうやって兵隊を集めたか、その給金はどうしたか、給金を捻出するためにどんなことをしたかなど、ちょっと普通には知れなかったことがあり面白い...続きを読む
  • シルクロードとローマ帝国の興亡
    シルクロード交易の盛衰とローマ帝国の興亡を関連付けて論じた本。

    筆者の井上先生は本書を「試論」とし、議論の、あるいは読者の探究の機会になればと仰っていた(あとがきより)
    西ローマ帝国の滅亡を、シルクロード交易という長く広い視点が興味深かった。

    教科書的な理解では「ゲルマン人大移動」が原因とされて...続きを読む
  • 軍と兵士のローマ帝国
    素直に面白かった。こういう視点でローマ史を眺めると物事が違って見えてくるし、現代にも示唆がありそう。

    強さを誇ったローマ市民らの国民軍の中でまず所得制限が次第に緩和され、後にプロの軍人に徐々に移行し始める。それを強力に推し進めたアウグストゥスであっても元老院に遠慮してローマには側近の近衛兵のような...続きを読む
  • シルクロードとローマ帝国の興亡
    一般的にはシルクロードといえばNHKの番組などからユーラシア大陸を横断する陸路をイメージする。しかし古代のシルクロードは海路が主流だった。ゆえにペルシャ湾、紅海がいかに重要だったということは驚きで、ローマがパルティアやササン朝と死闘を繰り広げた意味が理解できた。そして国の存亡は軍事やリーダーの資質の...続きを読む
  • シルクロードとローマ帝国の興亡
    シルクロード交易が帝国の繁栄に大きく寄与した点を明らかにし、政治的混乱による交易への悪影響が、いかにローマの基盤を揺るがしたかを論ずる試み。当時の交易実態の紹介も興味深い内容。
  • 素朴と文明の歴史学 精選・東洋史論集
     宮崎市定の著作を愛好し、評伝まで著した編者によるアンソロジー。
     古代、中世、近世、最近世及び現代という時代区分と、東アジア、西アジア、ヨーロッパという地域区分を組み合わせて、歴史の骨太な見方を論じた『世界史序説』から始まり、宮崎の専門とする中国史について、古代、中世、近世からのセレクション、さら...続きを読む
  • シルクロードとローマ帝国の興亡
    ローマ帝国の興亡についてシルクロード交易という新たな切り口から描いた本。一般的にローマ帝国の興隆は領土の拡大から、衰退はゲルマン民族の侵入からなされたとされている。しかし、本書ではユーラシアに起こった他の帝国との同時代性に焦点を当てることで、シルクロード交易が1世紀から3世紀にかけてのユーラシアに大...続きを読む
  • 軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡
    ローマ文明が国と共に滅亡したのは、その担い手たる文人貴族に脆弱性があったからとする。文人貴族が武人支配に敗退したのはなぜか? その脆弱性を時に国が滅んでも文明としては存続した中国と比較しながら解き明かしていく。軍人皇帝時代以降のローマ帝国で中国のように軍人貴族が文人化しなかったのはなぜか? 文人貴族...続きを読む
  • 軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡
    同著者の「軍人皇帝時代の研究」の発展編とも言える内容。イリュリア人皇帝の分析から、元老院の質的変化も追いつつ、帝国の衰亡要因の考察までが語られている。中国史との共通項とその違いについての記述は興味深かった。
  • 軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡
    軍人皇帝時代に焦点を当てたローマ帝国(文明)衰亡論。
    衰亡の原因を元老院貴族から軍人への支配層の変化に求めた一冊。

    五賢帝時代までに政治的支配層である元老院身分の制度化に伴い文人化が加速した一方、領土拡大に伴う外圧・内乱の可能性は帝国全土に広まった。
    その中で軍事経験に乏しい元老院身分に代わって、...続きを読む
  • 軍と兵士のローマ帝国
    古代世界において繁栄を極めたローマは、一方では、対外戦争や内乱を繰り返す戦闘姿勢の国家であり、兵士が皇帝位をも左右する軍事体制の国家であった。建国から西ローマ帝国滅亡まで、軍隊と政治・社会との関わりを多角的に追跡、兵士たちの生涯にも光をあてて新たなローマ史を描き、その盛衰をユーラシア史のなかに位置づ...続きを読む
  • 軍と兵士のローマ帝国
    軍というファクターからローマ帝国を読み解いていく。最初は戦争のたびに参集していた軍が常備軍となり、当時ではめずらしい定期給を貰う存在として経済の中心ともなる。
    さらには権威の象徴となり、皇帝への決定権を持つような存在ともなる。
    国とその指導者にとって、軍というのがどういう存在かということはローマ帝国...続きを読む