松村栄子のレビュー一覧
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とても大好きな本の一冊。
心の機微が丁寧に描かれていて、現実味のない人物設定ではあるが、妙なリアリティ、説得力がある。
ただ、読むことで心に寄り添ってくれる、安らぎを得られるような本ではなくて、心が抉られるような焦燥感が残る。
それは、アイデンティティとしての「僕」を確立しようとする少女に同情...続きを読むPosted by ブクログ -
読み易く、かつて抱いていた繊細な感情を思い出させてくれたり、抱いたこともない感情を追体験させてくれる作品でした。アバトーンについては、作品の舞台の描写が秀逸で、行ってみたくなりました。Posted by ブクログ
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復刊記念。
文庫版だと、単行本と異なり、大分レイアウトが詰まつてゐて、またいくらか最低限ではあれど、筆者本人の手直しが加へられてゐるので、初めて読んだ時のような透明感とはまた違つてみえる。
けれど、ひとりの人間が生きること死ぬこと、存在するといふことを真剣に考へ、表現したといふ事実には変りない。かう...続きを読むPosted by ブクログ -
ああああーっ!!!
また最後に爆弾ぶっこんできたー!!!…ってのが読後、いや読み終わる直前に湧き上がった感想。
もとよりシリーズ化を意図していたのかそうでないのかは分からないけど、しかしシーリズそれぞれ、1作の物語としてみたときに、最後の最後に何かを書き置いていくんですよねえ、このシリーズ。
作品の...続きを読むPosted by ブクログ -
表紙がちょっときつい…
お茶によるお茶のための物語というよりは、その先を超えて三道が交わる「生」による「生」のための物語と感じた。前作と比べて、かなり用意周到に物語が構築されている。
なぜだか知らないが「ここ」にいるというまさに「ご縁」。何者であるか強いたり与えたりを、物語で決してしない。する必要が...続きを読むPosted by ブクログ -
前作「雨にもまけず粗茶一服」の続編。
あれ?前後編だった??って思うほど前作のラストと繋がっていてびっくり。
遊馬が寺で自分を見つめなおし、弓道に改めて取り組んで自分の茶道を探る修行をする物語。
前作よりも遊馬が格段に格好よくなりました。
そして番外編(?)「雪にもまけず粗茶一服」ではカンナと雪麿の...続きを読むPosted by ブクログ -
純粋に面白い。キャラもテンポも最高です。読み始めるといつも一気読みしてしまいます。有名じゃないのが本当に勿体ない作品。
友だちとN○Kの朝ドラにしてほしいって話をよくします。Posted by ブクログ -
『雨にも負けず粗茶一服』シリーズ第2弾。
主人公の遊馬が、人生修業のため、比叡山のお寺へ。
ここでの生活が面白おかしく描かれています。
山の中で、天狗?に会うのですが・・・・
その天狗の正体は!Posted by ブクログ -
茶道の家元の後継ぎを放棄し、家出した青髪の主人公・遊馬の紆余曲折ストーリー。
最後のページまで飽きさせない展開と、遊馬をはじめとする不穏や幸麿といった、愛すべき個性的な登場人物たち。そして何より、お茶の世界の魅力に興味をそそられずにはいられなくなる一冊。なんて奥深くて、面白いものなんだろう。
弟...続きを読むPosted by ブクログ -
私的キーワード
時期:現代
舞台:京都
主人公:前髪を青く染めた次期茶道家元の青年
内容:次期茶道家元の青年による自分探し(?)のための家出騒動
主人公を中心に、個性的なキャラがたくさん出てきます。
一見やる気のなさげな主人公ですが、茶道の姿勢はもちろん弓道剣道合気道等いろいろできる。
のに、本...続きを読むPosted by ブクログ -
好きだー!!大学で茶道部に入ったのは、単純ながら高校生のときにこれを読んだからっていう理由がなかなかデカイ。普段から当たり前にやっていることだと、それを好きでやっていることに、なかなか気づけないものです。しかもそれがまわりから与えられたもので、当たり前のように自分の進む道が見えていたら、ついつい反発...続きを読むPosted by ブクログ
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すごい面白かった!
登場人物のキャラクターが愉快すぎです!!
特におじいちゃんと弟と先生。
ぜひ読んでほしいですが、特に京都在住に方には読んでもらいたい。
京都とお茶に興味を持てる一冊です!Posted by ブクログ -
弱小茶道家元・友衛家の後継ぎを放棄して家出した主人公、遊馬くんの京都での成長物語。いやはや、めちゃくちゃおもしろかったです。それぞれの脇役も個性にあふれストーリーもテンポよく進んでいくので飽きさせません。一気読みしてしまいました。Posted by ブクログ
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短い作品だけどなかなか読み進まない。
平易で読みやすいストーリーなのに一語一語に込められた思いが濃厚で、自ずと時間が掛かってしまう。「僕はかぐや姫」はそんな作品。
残りわずかな17歳の物語は、高校時代の自分と激しく共鳴する。濃厚なのは作者の思いではなく、呼び覚まされた17歳の頃の自分の思いかもしれな...続きを読むPosted by ブクログ -
表紙も扉絵もいい。『僕はかぐや姫』は高校生の話で、『至高聖所』は大学生の話だった。前者には、高校生は高校生らしい痛々しさのようなもどかしさのようなものが詰まっていて、後者には大学生時代に感じたような空気感をびしびしと感じた。この本に出会えたので、『僕はかぐや姫』をセンター試験の問題で読めてよかった。Posted by ブクログ
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センターの過去問でその一部を読んで衝撃喰らった思い出。ひりつくけれども甘い感傷を舌の上で転がし味わうように読みたい一作。
ライ麦論争で引き下がるくだりはそれとなく裕生の行く末を現している。詳細は省かれているが、ライ麦畑に向ける彼女の感情はおそらく同族嫌悪。
男でも女でもいたくない、何にも規定され...続きを読むPosted by ブクログ -
とっても好きな作品でした。青春小説って今の自分を超えるために足掻く人の姿を描くことなんだなあとしみじみ。
主人公の遊馬くんを始め、すべての人がそれぞれに等身大で、自分の持ち場で悩みながら答えを選んでいく様には共感しかないです。
と同時に何かを選んでも物事はあるべきところに納まるという大きな流れも...続きを読むPosted by ブクログ -
今から26年前の私が当時中学生だったころであった作品。上條敦士氏の表紙に惹かれ読んで衝撃を受けたことを思い出した。自分のことを「僕」と名乗る主人公に共感。表紙カバーが二重になっておりめくると色違いのイラストが現れる。長年絶版だったが復刊してくれて嬉しい。Posted by ブクログ