兵藤裕己のレビュー一覧

  • 太平記 二
    分冊の中で最も厚い巻であると思われる。東京多摩のの場所としては、小手指と久米川が出てくる。前半は、源氏と平家(旧幕府軍)の争いが主である。後半では足利尊氏と新田義貞の戦いが中心で、足利尊氏が負けている。
  • 太平記 一
    現代仮名遣いでさらに活字も大きいので意外と読みやすい。古文書を読むという形式でないのでスラスラ読め、さらに校注も多いので読むのに苦労はない。
     そして、巻の初めに概略が書いてあるので、それを読んでから本文をよむことで無理なく筋が頭に入る。
  • 太平記 一
    中国古典を典拠とする表現・逸話がこれほど多く含まれてるとは思わなかった。 明治時代の人間ならずとも、楠正成の活躍に心躍り護良親王の冒険に感嘆する。赤松らはさほど活躍できてない印象。
  • 太平記<よみ>の可能性
    太平記よみの語りは、中世.近世を通じて人びとの意識に浸透し、天皇をめぐる二つの物語を形成する。その語りのなかで、楠正成は忠臣と異形の者という異なる相貌を見せ、いつしか既存のモラル、イデオロギーを掘り崩してゆく。天皇をいただく源平武臣の交代史、宋学に影響された名文論が、幕末に国体思想に読み替えられ、正...続きを読む
  • 太平記<よみ>の可能性
    楠木正成の実像を知るために、三冊を同時に読み始めました。しかし本作は史実を詮索することがテーマではなく、芝居や講談で繰り返し再生され、現在も日本の社会や国家を呪縛している楠木氏的な物語がテーマです。それは太平記に起源を持ち、近世、近代に流通するフィクションとしての南北朝の歴史であり、その影響力は、同...続きを読む
  • 太平記<よみ>の可能性
    いや、この方の本はホントにおもしろいです。「南北朝」という物語的言説が先にあり、それにあわせて「南北」の対立構図ができあがっていったという話は、読んでいてひざを打つ思いでした。「言説(物語)としての歴史といったばあい、歴史は書物のような『もの』としてあるのではない。それは、ある制度化された言表行為と...続きを読む
  • 太平記 六
    この巻はわずか200ページであり、足利義満を保護する新田氏の下りでハッピーエンドであるがそれはわずか1ページである。その後の解説には太平記の江戸時代における武士の指南書としての役割と江戸後期の攘夷までの関連が書かれている。
  • 太平記 三
    南朝が滅んでいく過程である。新田義貞がついに死亡する。足利氏の完全勝利とはいかず、各地での新田勢の反乱がある。学習する歴史では簡単に南朝から北朝にということであるが、実際は複雑であることが理解される。
  • 太平記<よみ>の可能性
    北畠親房と足利尊氏の理想が同じという点に驚いた。楠木正成はじめ、武臣ではない者たちが好意的に語られる点において、太平記の作者を考察するところが面白い。鎌倉〜室町時代の前例主義がうかがえるところも読んでいて気持ちがよかったが、100ページで断念する。
  • 〈声〉の国民国家 浪花節が創る日本近代
    こういう本こそ、電子書籍で読みたいのだ。とにかく、桃中軒雲右衛門を始め、ちょんがれ、デロレン祭文などが頭に思い浮かばない。
    とはいえ、とても面白く読めた。論理展開や論証はやや強引な感もあるので、全面的には賛成できないが、他の芸能分野との比較などで、きちんと考えていくべき内容だと感じた。
  • 説経節 俊徳丸・小栗判官 他三篇
     説教節とは、近世初頭に大道の語り芸として行われていたもので、それらのうち人気を博したものが「正本」として出版されたとのこと。本書はそんな説教節5作品を収録している。

     本書を読む直接のきっかけとなったのは、だいぶ前に舞台を観て感動した横浜ボートシアターの『小栗判官・照手姫』、代表者の逝去等を乗り...続きを読む