マンシェットのレビュー一覧

  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    【本の内容】
    精神を病み入院していたジュリーは、企業家アルトグに雇われ、彼の甥であるペテールの世話係となる。

    しかし凶悪な4人組のギャングにペテールともども誘拐されてしまう。

    ふたりはギャングのアジトから命からがら脱出。

    殺人と破壊の限りを尽くす、逃亡と追跡劇が始まる。

    [ 目次 ]


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  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    素晴らしくスタイリッシュな作品。

    他のハードボイルド小説が野暮で芋っぽく見えるほどだ。
    ただ、あまりに淡泊で読みごたえが無いと思う人もいるかもしれないが
    そういう人は放っておいて問題無い。

    無駄の無い文体は読み手にも洗練を要求するのだ。

    シンプルだからと言って人物が記号化していたりはしない。
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  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    まるで映画を見ているよう…登場人物の余計な描写や心情が一切排されると、小説はこう言う感覚を生むのか、と衝撃を受けた。ジュリーの精神疾患の危うさと同じくらいギリギリの所にいるその他の登場人物たち。ペテールを抱えて、写真で見たお城に向かってひたすら逃げるジュリーに姿は鬼気迫り、精神に異常を来した女性が執...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    通勤電車の中と昼休みと就寝前に分けて1日で読んだ。小気味良い展開なので、ほんとにあっという間だった。

    不条理バイオレンス犯罪小説と思いながら読んでいたが、最後はしっかりハードボイルドミステリーとして終わった。振り返ると、確かに仕掛け人はこいつしかいないよな、と思えるのに、あまりのドダバタ劇だったの...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    70年代ノワール小説の最高峰マンシェット新訳だ。精神病院を退院したジュリーは企業家で慈善家のアルトグに雇われて彼の幼い甥っ子ペテールの世話を始める。屋敷のまわりではアルトグの昔の共同経営者で凶暴なフェンテスがうろついていた。ある日散歩中の2人は凶悪な4人の殺し屋に誘拐されてしまう。ジュリーは1人を殺...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    これが古典なのか、と思うわね。でも50年前か。50年前というとけっこう昔か。そういう意味じゃ古典か。そして年を取ったものだ・・

    それはさておき中身は古典というよりノンストップ・バイオレンス・アクション、って感じ。これをハリウッドの適当な監督が映画化すれば絶対にB級の酷いものになる、間違いない。
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  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    裏社会の闇で身悶える者どもの情動を切り詰めた文体でクールに描き切るロマン・ノワールの雄マンシェット1972年発表作。マンシェットは推敲を重ねる完全主義者の面もあったらしく、作品数も限られている。単に冗長なだけの小説にはない張り詰めた緊張感がみなぎり、贅肉を極限まで削ぎ落とした骨肉のみで、人生の一瞬の...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    実業家の甥と、その世話係の女が誘拐犯にさらわれる。二人は命からがら誘拐犯の手を逃れ、どたばたの逃走劇が始まる。

    話のプロットやミステリの本筋自体は別段珍しいものはない。
    ただもう、世話係の女、本作の主人公?のジュリーが奮ってる。
    ジュリーは精神病院を出たばかり。過去の経験から極端に警察を嫌い、抑う...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
     中条昌平が岡村孝訳の『狼がきた、城へ逃げろ』をタイトルからして誤訳であるして、自分がもっとマンシェットの雰囲気をと、ペンを執り直し、改めて訳したものだそうだが、見た限りでは、訳者なんていうレベルではなくマンシェットのラディカルなパワーしか感じることができなかった。

     他者訳のタイトルを批判しなが...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    普段、ロマン・ノアール系統は読まないのに
    妙に文章が「入って来る」のが楽しかった*
    どうも、こういう文体が好きらしいと
    気づきましたとさw
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    主人公たちが殺し屋たちから命からがら逃げる逃げる。彼女らが通った後は死屍累々(かな?)。
    余計な心情も入ってなくて、スカッと読めました。
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    マンシェットをこれで2冊読んだ。
    ともにタイプは似ていて、ハードボイルトというよりピカレスクに近い。登場人物の多くが自分の欲に忠実、ともすればその欲求すらあいまいな中で、逃走劇を繰り広げる。
    当然、追うものも追われるものも己のことしか考えないので、通常の善悪の基準は当てはまらず、それゆえ感情移入がし...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    即物的で無味乾燥な味の、いい具合な一品。ハードボイルド的に心理描写をやめているのに、何故かメランコリックなのが微笑ましい。
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    精神病院に入院していたジュリーがある日アルトグという富豪の甥のベビーシッターになるが、殺し屋のトンプソンに誘拐される。ジュリーは子供を連れて必死の思いで脱出する。果たして2人は無事に逃げおおせることができるのか?というのが粗筋。特異なのはジュリーにしろアルトグにしろ殺し屋にしろ、どこか行動が狂ってい...続きを読む
  • 愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える
    久しぶりに、バイオレンスな小説を読んだ気がします。なんというか、黒社会を描いた80年代後半から90年代前半にかけての香港映画みたいな、もしくは今ほど有名になる前の三池崇史監督作品のVシネマというか。ある程度、物騒な話だろうとは思っていたものの、作品と著者に対しての予備知識を全く持たずに読んだので終盤...続きを読む