金井利之のレビュー一覧
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直截的というか、身も蓋もない表現で「行政」という複雑怪奇な存在の本質に迫ろうとする好著。以下は特になるほどと思った箇所(引用ではなく要約)
・与党政治家も野党政治家も、党派的選好を持った「一部の奉仕者」にすぎない。政権党に忖度する日本の官僚は著しく政治的中立性を欠いているが、万年与党の価値判断以外...続きを読むPosted by ブクログ -
地方創生の流れと原発事故の問題を中心に行政のあり方について述べている。
国の言いなりに地方がなっている構造。
何もしないことが許されない構造になっている。
一定の科学技術が成り立つには政治権力が必要。
弱者保護の観点で行政が運営されてきた、あるべき意義だと思ってきたが、弱者が増えすぎたのかと思った。Posted by ブクログ -
本書は、先日北大公共のシンポジウムにも来て頂いた金井利之先生の『自治フォーラム』での連載を単行本化したものです。
内容としては、「民主主義体制のなかの非民主主義的主体」である自治体行政と住民との実践的な関わりに焦点を当てたものとなっており、取り上げられるトピックも近年住民が関わることの多い自治基本条...続きを読むPosted by ブクログ -
コロナ禍だけでなくコロナ対策禍の影響がはっきりそしてより深刻になっている今だからこそ読むべき本である。
感染症対策を災害対策として扱い、集権型で対策を行うことの弊害が示されており、日々進行する現実と照らし合わせた時、かなりの説得力を持つ。
現実には前のめりに集権的に対策することが民衆やメディアから求...続きを読むPosted by ブクログ -
日本の行政を支配、外界、身内、権力の4つの視点から概観。理論的、学術的に語っている部分もあれば、明治以降の行政の歴史、高級官僚の生態、日米関係などリアルなパワーバランスに迫った項目もあり、ボリュームの割に飽きさせない。
特に面白かったのは、①日本の戦後行政をアメリカ『本国』による代行支配として捉え...続きを読むPosted by ブクログ -
地方という用語自体が国との対立概念であること、分割して統治され、互いに競わされて滅んでゆく実態であることが分かった。Posted by ブクログ
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人口減少⇒地方消滅⇒地方創生と新聞・マスコミを賑わしている。社会学者と政治行政学者の激論で、国家権力と地方政府、住民の関係性が炙り出されていた。
第1章 「国―自治体ー市民」の構造を問いなおす
1「地方創生」で自治体は困り果てる
2「震災復興」で何が起きているのか
3「地方創生」は地域への侵略...続きを読むPosted by ブクログ -
自治体内の行政職員などを「民主主義体制のなかの非民主的な主体」ととらえ、市民や市民の付託を受けた首長や議員がどのように非民主的な主体をコントロールするかを論じた本です。
特に自治基本条例・総合計画・行政改革・行政評価を取り上げ、自治体行政学の理論と事例研究により構成されています。
伝統的な政治学・行...続きを読むPosted by ブクログ -
よくも悪くもかなり尖った1冊。
政府・行政批判の側面が大きい。
読んでいて「確かにな」と思う点もあるが、それ以上に国批判が軒を連ねている。
読んでいて少々気に障る点もあるが、それは個々人の好みだろう。
個人的に学んだポイントは以下。
・離島や過疎地域のインフラコストだけ取り上げて中央にこい、というの...続きを読むPosted by ブクログ -
コロナ禍にまつわる現在の現象に、とにかく名前がつけられ、整理・分類がされている。「あるある」感はある。また、構造的にどうしてこうなってしまったのかがわかり、「あぁ・・・」という感じは得られる。
状況に当てはめた納得感はある。ただ、「それでどうすればいい?」というのは、現象を分類して名前をつけても答え...続きを読むPosted by ブクログ -
住民自治の充実のためには、住民も住民代表としての議員も、自治体議会をどのように取り扱うのか、すなわち自治体議会の取扱が問われているという問題意識の下、自治体議会の取扱のために、自治体議会の実態を冷静に見つめ直し、自治体議会の機能強化を目指していくための考察を行っている。自治体議会を巡る論説の主流とな...続きを読むPosted by ブクログ
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多少ボリュームはあるが、日本の行政に関する概観を述べており、読みやすい。
特に印象に残った点を述べるとするなら
・民主主義における行政の役割:民衆→政府→行政→民衆…というループがあるということ。そして、身内からの支配によって民衆が納得するのだから、行政が時折反発を受けるのは、このループがうまくい...続きを読むPosted by ブクログ -
地方創生や原発事故についての社会学者と行政学者の対談。行政学者と社会学者の違憲の相違が際立っており、その意味では読んでいて面白く感じたが、地方創生の危険性についての抽象的な対談(政府への批判を含む。)が多く、肝心の地方創生の具体的な内容や、具体的な内容への批判ではない点が残念でした。Posted by ブクログ
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地方創生の正体というテーマで、2人の立場の異なる学者が討論の形で進める形態。
東北大震災の国と自治体の動きを見ながら、これからの地方創生の在り方に警鐘を鳴らします。
どのような政策をとろうと財源を国が見ている以上、本当の地方が主導となるような新興策は困難。とはいえ、これをどう打開すべきかは、結論が出...続きを読むPosted by ブクログ