小泉義之のレビュー一覧

  • 方法叙説
    だいぶ訳文が硬い(あとがきにあるように意図的なもの)ので、一読で意味の取りにくいところがけっこうある。なんかメルロ=ポンティの訳書みたいだと思った。論の進め方も似ていてフランス哲学の伝統の源なんですね。この本の初読にはちょっと勧められないかなぁ。
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    度肝を抜かれた。前半部が最高にいい。今年ベスト。「なんでいきるのか」「幸福になるために生きている」……これは非常に凡庸な問い(と答え)だ。
    そこからの、小泉=レヴィナスのよる、問題構造の立て直し方がすごい。
    目的を問わなくても、人は生きていける。息を吸って、食物を食べて、風景を眺めること…、我々はそ...続きを読む
  • ドゥルーズと狂気
     いつもドゥルーズの求めた「新しい人間」は仏陀みたない存在なのではないか、と思うわけだけど、他方で、ドゥルーズは第一の自然としての欲望を捨て去った先に「新しい人間」を見ているわけでもなさそうなので、あらゆる欲望(煩悩)を消滅させる仏陀のイメージとは、やはり、違うのかなぁ。でも、いつもドゥルーズの「新...続きを読む
  • なぜ人を殺してはいけないのか?
    構成は
    ・永井ー小泉の対談
    ・永井論考
    ・小泉論考
    <文庫版書き下ろし>
    ・永井論考
    ・小泉論考


    対談は恐ろしく噛み合ってない。
    それは永井先生も論考内で「この対談に際して小泉氏は私の以前の著作をずいぶん勉強してこられたようで、氏の発言には私の用語がちりばめられている。しかし、その用法が私の理解...続きを読む
  • 方法叙説
    訳者解説で書いているように文章が原文に忠実?なせいかだいぶ意味がとりにくい。とはいえ、こんなもんだろうという気もする。訳者解説が骨子になっているが、17世紀の人の文章はこんなに持って回った言い方をしないといけないのかという気もする。ただ、このような言い回しがないとデカルトともいえず、それがないとこん...続きを読む
  • ドゥルーズと狂気
    継続して読んでいる小泉義之さんの新作。歯に衣を着せない文体は私にとっては痛快で、危険な香りが漂い、好みだったりする。
    今回は講義形式で書かれていて、かなり分かり易い。といっても、論じられている問いはかなり難しいことばかりだけど。
  • 病いの哲学
    「はじめに」、「あとがき」における著者の思いが熱い。

    本編はプラトン、ハイデッガー、レヴィナス、フーコーなどの哲学者を引きつつ、病いや生死についての論考を重ねていくもの。著者がアレコレと現実の問題を切っていく…みたいなものを想像しているとちょっと噛み合わないかもしれない。

    でも、「はじめに」と...続きを読む
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    『ヨーロッパ思想入門』で震えた「他者」の概念にも触れられているが、本書の肝は「繁殖」の概念。適所で例示を示し、レヴィナス思想の核心に迫る試み。

    気になった記述。
    ・働きながら生きている。ということは、なにものかを享受して生きていることになる。
    ・人生は無条件に幸福であり、「人生は人生への愛である」...続きを読む
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    [ 内容 ]
    真の人生は、どんな人生なのか。
    人間は、生まれて、生んで、死んでゆく。
    この事実をどう受け止めるか。
    レヴィナスと共に、人生の意味と人生の目的について根底から考え直す。

    [ 目次 ]
    はじめに 生きていてよいのか
    第1章 自分のために生きる(こんなもののために生まれてきたんじゃない;...続きを読む
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    レヴィナスの噛み砕き本。
    内田樹を読みなれている人ならスッと読める。

    たまに思い出して読んでハっとしたい本
  • ドゥルーズの哲学 生命・自然・未来のために
    ドゥルーズの単著としては、彼の主著と呼ぶこともできる『差異と反復』の議論を紹介しつつ、ドゥルーズの思想を新しい「生命論」に根ざした自然哲学として読み解く試みがなされています。

    普遍数学や分子生物学、スピノザ、ニーチェ、フーコーといった思想家たちや、画家のフランシス・ベーコンなどにかんする章がならん...続きを読む
  • 病いの哲学
    生きるか死ぬかそれが問題だ、という言葉への疑問から始まり、プラトンの尊厳死へとつながっていくあたりはたのしい。

    その後、末期状態、安楽死、臓器移植などを取り上げつつ「生死の境目」について考察し、さまよう感じと、165ページからのマルセル『存在と所有』の引用から始まる<絶望と希望>は、障害とはなにか...続きを読む
  • ドゥルーズの哲学 生命・自然・未来のために
    テキストの印象は確かにドゥルーズに似ている。ドゥルーズのやったと著者が思うように様々なことについて書いている。が、ドゥルーズそもそもが具体的なことをいろいろと語っている人なのでそれをなぞるとドゥルーズに注目するピントはどんどんぼやけてくる。あくまでも著者のドゥルーズ理解に基づく個別の話で、ドゥルーズ...続きを読む
  • なぜ人を殺してはいけないのか?
    永井の『これがニーチェだ』(講談社現代新書)の刊行を受けておこなわれた、当時話題になった「なぜ人を殺してはいけないのか?」という質問をめぐる対談と、永井と小泉それぞれの論考が収録されています。

    個人的には、小泉の問題提起の鋭さに感銘を受けました。対談のなかで「生活」と「生」という対概念が提出されて...続きを読む
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    何のために生きるのかという問いは、他者のために生きると、また、他者のために生きることを通して人類のために生きると答えられた。そして、何のために生きるのかという問いを駆り立てる欲望は、そんな欲望に駆り立てられる子どもを生むことによって充たされる。ここにきて、何のために生きるのかという問いは、人間の繁殖...続きを読む
  • レヴィナス 何のために生きるのか
    レヴィナス入門てかんじ。読みやすいかな。何のために生きるのか、が冒頭では淡々とわかりやすくかかれてる。
  • なぜ人を殺してはいけないのか?
    いつもどおり(?)、永井さんはおもしろことを言う。小泉さんは、なんかあまりピンと来ないことも多かったけど、社会契約説の欺瞞性について、興味深いと思った。いづれにせよ、まだ頭の中でまとまってないので、また読み直したい。
  • 病いの哲学
    [ 内容 ]
    病み衰えて末期の状態にある人は死ぬほかない―。
    死の哲学はそう考える。
    しかし死にゆく人にもその人固有の生命がある。
    死の哲学はそれを見ようとせず、生と死の二者択一を言い立てる。
    ソクラテスもハイデッガーもレヴィナスも、この哲学の系譜にある。
    そのような二者択一に抗すること。
    死へ向か...続きを読む
  • なぜ人を殺してはいけないのか?
    タイトルに対する答えは、「ない」。これが2人の意見である。本書を読んでいると、この問いを結論づけようとすること自体がナンセンスだと考えさせられる。重要なのは、その答えを模索する過程だというのが、著者両氏の主張の唯一の共通点ではないだろうか。本書の内容に共感したり疑問を持ったり考えていくことが意味を持...続きを読む