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14歳の中学生に「なぜ人を殺してはいけないの」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?―日本を代表する二人の哲学者がこの難問に挑んで徹底討議。対話と論考で火花を散らすスリリングな一冊。
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Posted by ブクログ
構成は ・永井ー小泉の対談 ・永井論考 ・小泉論考 <文庫版書き下ろし> ・永井論考 ・小泉論考 対談は恐ろしく噛み合ってない。 それは永井先生も論考内で「この対談に際して小泉氏は私の以前の著作をずいぶん勉強してこられたようで、氏の発言には私の用語がちりばめられている。しかし、その用法が私の理解...続きを読むと食い違っているため、逆に理解しにくかった。」(p82)と言っていたり、「小泉氏の発言の意味がわからなかった」といった趣旨の発言をかなりの回数使っているところからも伺える。(逆に小泉先生はそのような類の発言はしていなかったように思う) ただ、この噛み合わなさ、対談後の論考の議題設定のあまりの違いが非常に良かった。 個人的には永井先生のほうに与する。永井先生の方が、表題の問に真摯に答えているように思うからだ。 小泉先生の議題設定は、(私はよくわからないので、あくまで直感的に「そうではないか」という予想で言うならば)極めて脱構築的であるように思った。 その議題設定が悪いなどというわけでなく、今ひとつ私にとってはスカされた印象を持ち、永井先生の方が<子ども>としての立場から誠実に答えているを印象を受けたという話である。 もちろん文庫版にして200頁に満たない書籍である。永井先生も頻繁に以前の著作を前提としていることを提示しながら論理的補完を行っていた。この一冊で成敗することなどできるわけもなく、ただその導入としては非常に良い一冊だと思う。
永井の『これがニーチェだ』(講談社現代新書)の刊行を受けておこなわれた、当時話題になった「なぜ人を殺してはいけないのか?」という質問をめぐる対談と、永井と小泉それぞれの論考が収録されています。 個人的には、小泉の問題提起の鋭さに感銘を受けました。対談のなかで「生活」と「生」という対概念が提出されて...続きを読むいますが、永井は大江健三郎のような世間的な意味での道徳的言説を「生活」に、ニーチェの権力意志を「生」に割り振っています。これに対して小泉は、永井のそうした立場が、「生活」と「生」の境界線を引きつづけるという振る舞いを通じてのみ担保されるほかないということへの問題提起をおこなっています。これはいわばハイデガーのニーチェ批判を道徳の領域で再演したものということができるように思います。 こうした小泉の問題提起に対して、永井は「分からない」といいつづけていますが、けっきょくのところそうした永井の振る舞いもまた、小泉の言説を「生活」のほうに繰り込むことにほかならず、結果的に小泉の提起している問題をいっそう裏づけているのではないかと感じました。 小泉にしてもおそらく、こうしたみずからの永井批判の言説に何ら特権性がないことを理解しており、その批判が言葉にもたらされたとたん、否応なしに「生活」へと繰り込まれてしまうほかないことを十分に承知しているはずです。そのうえで、「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに対しては、後は殺す実践あるいは殺さない実践によって答えられるほかないと述べているのだろうと思われます。
いつもどおり(?)、永井さんはおもしろことを言う。小泉さんは、なんかあまりピンと来ないことも多かったけど、社会契約説の欺瞞性について、興味深いと思った。いづれにせよ、まだ頭の中でまとまってないので、また読み直したい。
タイトルに対する答えは、「ない」。これが2人の意見である。本書を読んでいると、この問いを結論づけようとすること自体がナンセンスだと考えさせられる。重要なのは、その答えを模索する過程だというのが、著者両氏の主張の唯一の共通点ではないだろうか。本書の内容に共感したり疑問を持ったり考えていくことが意味を持...続きを読むつ。それだけ、「生死」に関わる問いは、1つの答えを求めてはいけない慎重に扱うべき問題だ。2人の激論がその危険性を物語っている。本書で興味深いのは、著者両氏が哲学者であるという点。同じ哲学者でも主題へのアプローチがまったく異なる。そして、決して熱くないトーンで冷静に「論理の抜け」を指摘する。内容がシリアスなだけに、その状況はとてもスリリング。しかし、殺人という狂気的な議題をニーチェやニヒリズム、神を絡めて哲学的に捉えて考えるのは、実はとても正しい手段なのかもしれない。そういう観点を持てたことが私なりの本書からの収穫だ。ただ、最後の両氏それぞれの章で、永井氏の<私>が本題にどう繋がるのか理解できなくて、小泉氏の「ただ、殺さない絶対的悪」には最後の最後にピントがずれてしまった気がして、尻すぼみの印象を受けてしまったのが残念。
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永井均
小泉義之
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