沖縄の戦後の状況、とりわけ「返還」後の動きを中心に書いてあるのだが、まるで教科書のような、新聞記事のような、色気のない事実の羅列になっていて、ざっと読み通して数週間後にはもう全部忘れてしまいそうだ。
しかし、基地を巡る沖縄県民のダイナミックな大衆運動の力感がすごい。本州以東の人間にとってはふだん
...続きを読む、はっきり言って「ひとごと」になってしまいがちだが、日本の戦争のツケを一身に背負わされた沖縄のことも、やはり頭にとどめておきたい。観光地として経済的に寄与するのはいいけれど、「南の楽園」などというステレオタイプなイメージでとどまってしまうというのは、負の情報を隠蔽しようという影の動きにまんまと載せられることになるだろう。
結局のところ、アメリカ合衆国の大戦後の戦略構想にうまく使われているだけで、どうしても追随せざるを得ない日本政府の立場というのも、まあまあわかるけれども、情けない。少なくとも、米兵による県民に対する暴力(少女へのレイプなど)に関しては、米国任せにするのではなく、日本人としても納得のいく処罰を与えられるよう、法改正できないものだろうか。前評判の高かったオバマさんも、しょせんはアメリカ右翼なのか。何がノーベル平和賞だ。
ところで皇太子に火炎瓶投げた人や、沖縄国体で日の丸燃やした人はその後どうなったのだろう。
その後日本全体が右傾化するほうに進み、行政による学校への「日の丸・君が代」強制など、えげつない手口が全国的に進んでいき、国民はさっぱり問題意識も持たず相変わらずのうのうと暮らしている。
日本戦後史の暗部としての、沖縄の事実は、我々はもっと学ぶべきだろう。文部科学省はそんな姿勢は決して示さないだろうが、国民に良心があるならば、みずから学ばなければならない。
しかし時代と共に、すべての焦点は薄れていっているような気がする・・・。