川崎長太郎のレビュー一覧

  • もぐら随筆
    時系列が前後するので、川崎長太郎のいくつかの作品を読んでから読むのがいいと思う本。
    どこか、阿部昭と根っこが似ている、そんな気もするが(文体は全然違う、何か根本が、というところ。)軍人の父が見た戦前戦後が、阿部昭には何か…何といっていいか分からないけれど、そこに何か夜があるんだけれど、川崎長太郎はそ...続きを読む
  • 抹香町 路傍
    川崎長太郎を初めて読みました。
    徳田秋声、宇野浩二の流れを汲むとは知らなんだけど、この流れは西村賢太にも続いていると思う。

    年老いた頃の作品も多くあり、過去の回想も交えながらも、静かに時間を眺める視線は読んでいて安心感をすらおぼえる。

    芥川や太宰とは違い、長々と生き抜く。それは見方によっては退屈...続きを読む
  • 抹香町 路傍
    主人公は文学に憧れて家業を放り出して上京するが食えずに生家に戻り、実家からほど近い海岸にある漁師が網などを保管する物置を住処に寝起きする50過ぎのダメ男。

    定職もなく妻もなく、物置小屋をねぐらに、ビール箱を机に私小説や匿名批評などを書き送って暮らしをたてる、負け組、駄目男の日常を綴った私小説を集め...続きを読む
  • 鳳仙花
    つげ義春の本に出てきた作家で、作品が気になって一冊買ったらはまった。

    なんかもう、死んじゃうんじゃないか、どこかその辺の道で、倒れてそのまま息絶えるんじゃないかとはらはらしながら読む。私小説なので、山も谷もない。人生の、「どうにもうまくいかないけれど、流れてはいく」、そんな小説。

    どこかいつも死...続きを読む
  • 抹香町 路傍
    講談社文芸文庫ダメ人間私小説といえば葛西善蔵、嘉村礒多、そしてこの川崎長太郎である。
    奇しくも「か」から名前が始まるこの三人の作品が書店で近くに並んでいることを考えると恐ろしい偶然を感じる。
    誰だって己の芸術に可能性があるのならば貧しい魚屋家業など継ぎたくはないのだ。
    いや可能性はなくとも魚屋...続きを読む
  • もぐら随筆
    まあ、読んでて特段面白いものではないですねぇ…つげ義春先生の漫画に出てきた作家さんですから読んでみたものの…うーん…といった感じ。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    この著者の小説も読んでみたんですけれども、まさに私小説!といった感じでユーモアだとかまあ、面白みはあまり無いのでした…社畜死ね!!

    ヽ(・...続きを読む
  • 抹香町 路傍
    しっかりしろよーと言いたくなる作者の、私小説。
    でもついつい読んでしまうのはなんでだろう。好きなんだろうなぁ、この時間の流れが。

    劇的な何かが起こるわけでもない。
    きっとみんな、こうした人生を送っている。
  • 鳳仙花
    もう一人の自分と我慢比べをしていて、永遠に勝ち負けの無い生き方をしているように感じました。
    這いつくばりながら生きていると思いながら読みつ進むうちに、主人公の感覚は漂うような生き方をしているのかなと思え、当時の社会を主人公というフィルターを通して見せてもらえている感じがしました。