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混迷深まるスケート選手殺人の捜査は二転三転し、優等生と思われていた被害者の身の上にも驚くべき事実が明らかになる。だがそれは隠された秘密の一端に過ぎなかった。そしてサイラスによって施設から引き取られたイーヴィは、うそを見破る能力によって事件の証拠を発見するが……深い傷を抱えた少女と秘めた過去を持つ臨床心理士の交流は、うそにまみれた犯罪を解決できるのか?巧緻なる傑作シリーズ第一弾。解説/吉野仁
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Posted by ブクログ
まさか犯人がこの人か…と思わなかった結末。 最後までハラハラさせてくれる作品だった。 サイラスとイーヴィーのこの後がとても気になる。
実力派作家にも拘わらず日本での翻訳は不遇をかこつ実力派作家、マイケル・ロボサムの新訳が、魅力的なキャラクター・コンビを引き連れて登場した。 嘘を見抜く能力を持つ少女、イーヴィ・コーマック。拷問を受けて殺された謎の人物テリーの死体とともに発見された少女、新聞ではエンジェル・フェイスの呼び名で知ら...続きを読むれた少女。 本書では、少女スケーターが殺害された事件がメイン・ストーリーである。証拠を遺した性犯罪者がすぐに容疑者として逮捕されるが、家族や親族間という狭い世界で未成年の男女たちが複雑に絡む謎多い事件として、臨床心理士のサイラス・ヘイヴンが真相究明に乗り出す。 サイラスもまた凄惨な過去の記憶を持つ。両親と妹二人を殺害したのはサイラスの兄。サイラスは唯一の事件の目撃者として生き残ったのだ。女性警部レニーは、彼の臨床心理士としての能力を高く買っており、事件の捜査に対する強固な信頼関係が既にできている。 本書の事件では、サイラスが、イーヴィという人間嘘発見器と出会うことで、二人のコンビらしき体制を作りつつ、事件の謎を究明に当たるという骨組みである。現事件を追いながら二人それぞれの過去がプロット全体に黒い影を落としているところは、まさに本書の読みどころであり、魅力である。 スピーディな展開と、二人の独白で交互に綴られる読みやすい文体。あまりに個性的な二人の主人公のコントラストと、彼らの人間の心に迫る独自な捜査が、読者の心拍を上げる。これほどのページターナーはあまり経験がない、と言いたくなるほどだ。 事件の向こうに見え隠れする複雑な人間関係と、真相の追求という課題を抱えながら、二人は、それぞれの自身の過去とどう折り合いをつけてゆくか、という私的命題にもまた挑んでゆく。性別も年齢も異なりながら、彷徨う二つ魂たちの葛藤と心の繋がりとが、作品に温かく流れる血のようで、魅力的である。 この作品では、絡み合う迷路の向こうに予想外の真実を見出すのだが、イーヴィの思わせぶりな過去の体験については、二人のシリーズとして、改めて次作に持ち越されるそうである。キャラクター造形だけで大成功と言いたい本作なのだが、やはりイーヴィの真実を知りたい気持ちが心を捉えてならない。次作が早くも待ち望まれる。 マイケル・ロボサムは、オーストラリア人作家でありながら、前作『生か、死か』ではアメリカを、本作ではイギリス、ノッティンガムを舞台に描き、堂々ゴールドダガー賞の複数受賞という快挙を遂げた。ヒーロー、ヒロインのみならず作家そのものも怪物みたいである。
次々候補に上がってくる一癖も二癖もある容疑者達 被害者の裏で絡み合う欲望 浮かぶ矛盾 上巻から引き続き悪い方向へとその身を転がしていくイーヴィ 冷たい、閉ざされた心 ようやく届いたサイラスの無償の愛 その瞬間に涙 芽生える新たな感情 巧みな心理描写にやきもき 大人なサイラス 子供なイーヴィ 異なる...続きを読む視点と語り口が面白い トリックの部分はああなるほどと感心したけど個人的にはもう事件どうこうよりサイラスとイーヴィがただひたすら上手くいってほしいと見守っていた感 まだ明かされなかったイーヴィの過去 続編待ち
サイラスとイーヴィの話が中心の上巻とは打って変わって、下巻はジョディを殺害した犯人探しが加速する。 限られた登場人物、しかもそのほとんどが身内という中で、疑わしい人間を絞り込む緊張感をぎりぎりまで引っ張り続ける。読む側に『もしかして。。。』と考えさせる絶妙な情報の出し方にも感心した。 そして、ラスト...続きを読むは映画のクライマックスを観てるかのようにハラハラドキドキした。 イーヴィの過去は未だ謎に包まれたままだ。 アイルランドの切手が貼られた絵葉書や、彼女が『あいつら』と呼ぶ人たち、テリー・ボーランドとはどこでどう出会ったのか、そして彼女は誰に怯えているのか。 小出しにされた情報が続編への期待を高めてくれる。 サイラスならきっといつか彼女を救ってくれる。 大丈夫だと信じている。
全体を通して面白いのだが、手放しで全面的に肯定もできない作品であった。上巻では、イーヴィとサイラスの交流が始まると同時に、ジョディ・シーアン殺害事件の調査が始まる。下巻から本格的に真相が明るみになるのだが、真犯人の行動原理や、怪しげながら結局思わせぶりだった登場人物達など、もうちょっと何かあって欲し...続きを読むかったなと物足りなさが残ってしまった。えっ、もう終わり?って感じてしまったり、なぜそうなるの?って説明が不足したり。あまりウェットになりすぎる必要はないが、多少後日談的なものもあってよかったと思う。またサイラスの生活スタイルがいろいろ謎だったり(本業はなんなの?とか)、イーヴィになんでいきなりこんな熱を入れるの?とか疑問が残り、淡白な文章故か主人公サイラスの行動原理が良く分からず、あまり好きになれなかったのが残念だった。どちらかというと、イーヴィパートの方が楽しかったが、無駄に本編の登場人物が絡んできたりしてややこしく、その割に何もなかったりしたので、もっと壮大なドラマを期待した割には、って感じだった。 とはいえ、全体を見れば、謎が謎を呼ぶミステリーとして退屈とはいえず、続きが気になることは確かだ。
意外と話は小粒ながら、人間関係が丁寧に描かれているので、最後まで一気に読める。 とにかく、文章が抜群にうまいうえに、個性的ながら魅力的なキャラに引き付けられる。 主人公のトラウマ、何よりヒロインの凄惨な過去の顛末についてはほとんど描かれていないので、この1作目はあたかも序章のよう。 それぞれの過去...続きを読むに言及し、二人が協同しながら事件にあたるであろう、次回作に期待。
キャラやストーリーの面白さは別として、事柄が辛くて辛くて。辛くて難儀した。 しかし続編ではイーヴィのことがもっとわかるみたいだから、やはり読まなくてはならないのだろうか。
おじさんと少女という探偵もので、読んでいる最中に「ストーンサークルの殺人」が脳裏をチラついた。(あちらは少女ではないが、良い凹凸コンビ) こちらの方は二人とも不安定な感じがして、ミステリーパートと二人のきずなをはぐくむパートとが並行している。イーヴィは最後にはまた施設へと戻ってしまったが、彼女の心に...続きを読むは安らぎが残った。次回作ではイーヴィの蚕片が語られるらしい。 彼女に何があったのか気になる。
可及的速やかに第二弾を敢行してください(真顔 イーヴィの過去が超気になるううううう。 (そもそも何冊続くの?わたしの本棚余白ないよ?)
なかなか、読みやすい。 次作も、出るそうなので、解明されていない、サイラス達の、生い立ちに関わる謎等、楽しみ
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