成熟と喪失 ―“母”の崩壊―

成熟と喪失 ―“母”の崩壊―

1,430円 (税込)

7pt

4.4

「成熟」するとは、喪失感の空洞のなかに湧いて来るこの「悪」をひきうけることである(本文より)――「海辺の光景」「抱擁家族」「沈黙」「星と月は天の穴」「夕べの雲」など、戦後日本の小説をとおし、母と子のかかわりを分析。母子密着の日本型文化の中では、「母」の崩壊なしに「成熟」はありえない、と論じ、真の近代思想と日本社会の近代化の実相のずれを指摘した、先駆的評論。

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成熟と喪失 ―“母”の崩壊― のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    再読。人生で読んだことのある本の中で10本の指に入る私にとってとても切実な本だった。指摘のあまりの鋭さに涙が止まらなかった。

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    2018年08月15日

    Posted by ブクログ

     1967年に発表された、戦後評論における屈指の名著と言っても差し支えのない一冊。エリクソン『幼年期と社会』で語られている米国の母子関係というものを日本のそれと対峙させ、日本の戦後文学で家族というものがどの様に描かれているかを分析することで、その社会構造が持つ問題点を炙り出す。
     本書では、日本の家

    0
    2011年12月18日

    Posted by ブクログ

    自分が感じている不安を説明されたようだった。

    日本とアメリカの「母性」の違いの考察も途中でなされていて、欧米のジェンダー学と日本のジェンダー学が食い違ってしまうことに通じる気がします。


    上野千鶴子氏の解説つきで、文芸の知と社会学の知のうれしいコラボレーション。



    またあとでつづきかきます。

    0
    2010年10月24日

    Posted by ブクログ

     「成熟」するとは、喪失感の空洞の中に湧いてくる「悪」をひきうけることである(本文より) "母の崩壊"と"父の不在"というイメージはかつては文学上の虚構に過ぎなかったが、現代ではもはや完全に現実のものとなった。観念的に”母”を捨て、他人になること。その悪の意識

    0
    2012年02月09日

    Posted by ブクログ

    第三の新人の小説を論じ、西洋(父性原理)に直面した日本(母性原理)が「成熟」(母子密着関係の「喪失」)を「急速に」強いられた結果、とり返しのつかない「母の崩壊」を招いた、と指摘する長篇評論

    0
    2011年02月05日

    Posted by ブクログ

    言いたいことは理解る。母の崩壊、というより意識的な自壊、それは近代化が原因の不可避のこと。解決策として父の復権の持ち出すのは安直、それは滑稽に帰結。みたいな。実際面白いんだけど、いれこめなかった。それこそ「泣いた」と方々で発言するほどいれこんでいた上野千鶴子の解説だけで充分。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「海辺の光景」と「抱擁家族」について自分がよみきれなかったところをこの本が肉付けしてくれた。
    「星と月は天の穴」についてをいちばん興味深く読んだとおもう。この小説が小説家界隈のための小説だというのは興味深かった。「濹東綺譚」を対比として出しているのが自分にとってわかりやすかった。
    なにより「夕べの雲

    0
    2021年11月29日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     江藤淳氏が、第3の新人について、「母」と「息子」という観点から論じている。
     普段あまり読むことのないジャンルだったこともあり、非常に難解に感じた。母や父を、文字通りに捉えるのではなく、自然や近代化などの事象の比喩として捉えないといけない。

    0
    2020年07月23日

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