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狩猟採集民の集団から、部族社会、首長社会、そして国家へと、人間はより複雑な社会を築いてきたが、それは同時に、集団同士の縄張り争いの歴史でもあった。人間社会に潜む崩壊につながる「危うさ」の正体を、昆虫社会の生態を研究する著者が明らかにする。
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Posted by ブクログ
国家という形の社会は永続的なものだ、と錯覚してしまうのは、私が日本という国にアイデンティティがあるからなのかもしれない。本書を読んでいてそのように思い至った。 世界に目を向ければ、「国」というものは決して安定していないということがわかる。国を連帯させたもの、たとえばEUなどはなおさらだ。 長い目で見...続きを読むれば必ず終わりがある「社会」。ではなぜ社会などというものがあるのか思いを馳せてしまう。 単純に読み物として面白いし、社会というものへの認識に一石を投じてくれる、実に学びの深い一冊。
ユヴァルノアハラリのサピエンス全史と重ね合わせるように読み進めていった。 ハラリは、人間の特殊性を「虚構を信じる力」にあるとし、これによって種として圧倒的繁栄を実現したことを論じつつ、個体としての幸せは種としての繁栄とは連動しないと説く。そして、虚構は繁栄と幸福のための極めて有意義な手段であって、虚...続きを読む構のために不幸になることのないように、俯瞰的な観点から助言してくれる。 一方、本書は、著者のマークWモフェットの専門であるアリとの共通点と相違点を説明しながら、人間とアリだけが匿名性社会を形成できるが、化学物質によりこれを実現するアリに対して、人間は恣意的なしるしによってこれを実現すること、そして、しるしによって「我々」と「彼ら」を区別することと社会形成により協力し合うことは表裏一体の人間の本質であると説く。 ハラリは虚構といい、モフェットは恣意的なしるしという。 ハラリは虚構=手段と割りきれといい、 モフェットは偏見や迫害の加害者にも被害者にもなりうる人間の捨てられない本質が存在することを認識したうえで対処せよという。 どちらも興味深く、面白く、根は同じなのだと思わされた。
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