作品一覧

  • 人はなぜ憎しみあうのか  「群れ」の生物学 下

    Posted by ブクログ

    国家という形の社会は永続的なものだ、と錯覚してしまうのは、私が日本という国にアイデンティティがあるからなのかもしれない。本書を読んでいてそのように思い至った。
    世界に目を向ければ、「国」というものは決して安定していないということがわかる。国を連帯させたもの、たとえばEUなどはなおさらだ。
    長い目で見れば必ず終わりがある「社会」。ではなぜ社会などというものがあるのか思いを馳せてしまう。
    単純に読み物として面白いし、社会というものへの認識に一石を投じてくれる、実に学びの深い一冊。

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    2021年06月12日
  • 人はなぜ憎しみあうのか  「群れ」の生物学 上

    Posted by ブクログ

    人間だからこその産物、と思いこんでいた「社会」というものは、実は他にも形成している生物がいるというだけでもまず驚きだった。そして、社会という観点では人間よりも進んでいる種がある、ということも。
    上巻の終盤はいささか気が滅入る内容だが、それにしてもエキサイティングな本だ。
    人間の外側から人間を知る、というアプローチは、案外よいのかもしれない。

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    2021年05月27日
  • 人はなぜ憎しみあうのか  「群れ」の生物学 下

    Posted by ブクログ

    ユヴァルノアハラリのサピエンス全史と重ね合わせるように読み進めていった。
    ハラリは、人間の特殊性を「虚構を信じる力」にあるとし、これによって種として圧倒的繁栄を実現したことを論じつつ、個体としての幸せは種としての繁栄とは連動しないと説く。そして、虚構は繁栄と幸福のための極めて有意義な手段であって、虚構のために不幸になることのないように、俯瞰的な観点から助言してくれる。

    一方、本書は、著者のマークWモフェットの専門であるアリとの共通点と相違点を説明しながら、人間とアリだけが匿名性社会を形成できるが、化学物質によりこれを実現するアリに対して、人間は恣意的なしるしによってこれを実現すること、そして

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    2020年12月03日

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