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理想に胸を焦がした権力者の「焦燥」と「妄想」――既得権益に淫(いん)する輩(やから)と国内で対峙(たいじ)し、外交では唐・新羅の侵略を畏(おそ)れる。いったい、真の敵は誰なのか? 人望高まる弟に嫉妬し、妹に肉欲を覚える権力者の胸中には、孤独感と猜疑心が膨らんでいった。そして最大の理解者・中臣鎌足がこの世を去った後、改新の英雄の体にも異変が……。歴史巨編、ついに終末へ! <上下巻>
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Posted by ブクログ
(上巻から続く)黒岩はその冒険に成功したといえるだろう。もちろん現代人の黒岩が中大兄皇子の思考や心情を完全に把握することなどできるわけがない。しかしこれは歴史を題材にとった小説なのだ。小説であると思えば、読者は黒岩の創出した新しい中大兄皇子像に共感にせよ反発にせよ、その傑出した生涯に何かを感じられる...続きを読むはずだ。 黒岩は、中大兄皇子の人物像について、「激情家である反面、冷静さと冷酷さを兼ね合わせに持つ人物で、ぼくは入鹿より凄いと思う」と述べている。本作でもその中大兄皇子観が反映されている。決めたことはそれがどんなに大胆で非難を浴びる行為だとしても断固としてやり抜く執着心。それは晩年に実弟の大海人皇子を廃し、我が子の大友皇子を即位させる決断にも表れている。後の悲劇を生んでしまったのではあるが。小説の鬼・黒岩が古代の傑物・天智天皇を見事に描き切った作品を楽しんでほしい。
上巻で大化の改新が終わってしまうので、少しトーンダウンしてしまうのはまあ、しかたないかな。でも、弟への嫉妬、憎しみというまた新しい見所があります。一人称で書かれているのがその効果を更に増しています。
下巻 人物自体に魅力を感じてないせいか、どうも最後まで馴染めなかった。革新者という人物像は普通もっと魅力を感じるのだが 通説通り実妹との姦通は問題となるのか。 人間老いるとやはり目が曇ることのこれも典型か?
既得権益に淫する輩と国内で対峙し、外交では唐・新羅の侵略を畏れる。一体、真の敵は誰なのか?人望高まる弟に嫉妬し、妹に肉欲を覚える権力者の胸中には、孤独感と猜疑心が膨らんでいった。そして最大の理解者・中臣鎌足がこの世を去った後、改新の英雄の体にも異変が―。歴史巨編、ついに終末へ。
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