雲

出張先のメキシコで、突然の雨を逃れて入った古書店。そこで見つけた一冊の書物には19世紀に、スコットランドのある町で起きた黒曜石雲という謎の雲にまつわる奇怪な出来事が書かれていた。驚いたことに、かつて、若かった私はその町を訪れたことがあり、そこで出会ったある女性との愛と、その後の彼女の裏切りが、重く苦しい記憶となっていたのだった。書物を読み、自らの魂の奥底に辿り着き、自らの亡霊にめぐり会う。ひとは他者にとって、自分自身にとって、いかに謎に満ちた存在であることか……。幻想小説、ミステリ、そしてゴシック小説の魅力を併せ持つ、マコーマック・ワールドの集大成とも言うべき一冊。

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雲 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    序盤、黒曜石雲の描写から始まり、終始どんよりした空気を感じながら読み進めた。
    度々差し込まれた奇怪なエピソードが鋭く心に残る。
    決して明るい物語ではないが、読書体験としては新鮮に感じた。

    主人公ハリーとその息子フランクとの関係性が独特(互いを尊敬しつつ、なんでも話せる関係、ではない感じ)で、こんな

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    2023年06月04日

    Posted by ブクログ

    出張で訪れたメキシコの古書店で、偶然手にした一冊の本「黒曜石雲」。そこにかつて暮らした街の名を見つけた事をきっかけに、物語が主人公の過去へと展開していく。スラムで生まれ、恋に破れ逃げるように世界を転々とし、各地で様々な人と出会い別れ、流されるように生きたハリー。時々「黒曜石雲」の調査の進展が挟み込ま

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    2021年08月02日

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    彼の今までの作品はグロテスクで奇想な展開が多かったのだけれど、本作にはあまりそういう展開はでてこない。
    所々出てはくるのだけれど、あまりメインの話に有機的には絡んではこない。
    ただ、そんなグロテスクで奇想な展開は、今までに彼が発表してきた作品に登場したエピソードに似た内容が多いので、彼

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    2021年05月07日

    Posted by ブクログ

    古書店で、とある本を見つけるハリー。
    そこから彼の半生が語られる。
    滾々と湧きいでる泉水が虹を放つような言葉で。

    タイトルどおり、ぽっかりと浮かびいつしか形を変え消えゆく雲のような挿話。ほんとうに、雲を眺めるような心地よい読書時間がもてた。

    ラストは、波乱に満ちていくのか穏やかに過ぎゆくのか、ど

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    2021年05月02日

    Posted by ブクログ

    『ひょっとしたら、一見ごく取るに足らない要素 ― 聞き間違えた一言、誤った想定、無理もない計算違い ― こそ実は、物事の連鎖における何より強力な環なのかもしれないのだ』―『学芸員いま一度』

    旅先の鄙びた古本屋で目に留まる一冊の古書。物語がそのように始まると、ついウンベルト・エーコの小説を思い浮かべ

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    2021年02月02日

    Posted by ブクログ

    めくるめく怪奇、ユーモア、官能。やがて脳内で文章が諸星大二郎作画に変換されていく。物語の描かれ方はマジックリアリズム的だが、南米のものとはずいぶんパースの取り方が違う印象。ヨーロッパの魔術的風景だなぁと感じる。人智を超えた非科学の世界と、素面で合理的な世界の両方を愛し、愛される主人公が誰より特異で魅

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    2020年05月03日

    Posted by ブクログ

    グラスゴー近郊のスラム「トールゲート」で育った主人公ハリーの魂の遍歴の物語であり愛を渇望し目の前にあることに気づけなかった物語である.メキシコの田舎町の古書店で出会った一冊の古書「黒曜石雲」から糸が解けて大いなる大河のような物語が始まる.スコットランド,ダンケアンでのゴシックホラーのような味わい,ア

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    2020年03月16日

    Posted by ブクログ

    これは色んな面白さが詰まった物語だった!!古書店で見つけた「黒曜石雲」という不思議な雲についての本。そこに記された「ダンケアン」という地名は若い頃、苦い経験をした地だった。そこから物語は彼の半生へ。両親を悲劇的な事故で失い、大学を出て職を得たダンケアンでのミリアムへの情熱的な恋、そして裏切り。失意の

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    2020年02月22日

    Posted by ブクログ

    「パラダイス・モーテル」では風呂敷を広げるだけ広げて「これちゃんと畳める?」とこちらがワクワクと不安でいっぱいになったところで手その風呂敷を手品で消してしまい、こちらの胸にぽっかり穴を開けて茫然とさせ(褒めてます)、「ミステリウム」では一度きれいに畳んで見せた風呂敷を残りページも少ないのにもう一度ク

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    2020年01月22日

    Posted by ブクログ

    仕事で訪れた町で、雨に降られて偶然入った古本屋。そこで見つけて本には、かつて若かった頃に短期間過ごした町のことが書かれていた。
    その本の内容は奇怪で、真偽を確かめようと専門家に依頼する。その調査で判明することや、再び街を訪れて出会うこと、思い出が交錯する。
    意味深な思わせぶりなシーン、人物が多く、薄

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    2024年02月26日

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