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「ミミヲキリ、ハナヲソギ……」日本中世の猟奇的風俗の謎に迫る! なぜ「耳なし芳一」は耳を失ったのか。なぜ豊臣秀吉は朝鮮出兵で鼻削ぎを命じたのか。史料博捜と耳塚・鼻塚の現地踏査の結果、日本史上最も有名な猟奇的習俗に隠された意外な真実が明かされる! 耳鼻削ぎ図版と「爪と指」に関する論考を増補。身体部位から、日本社会の豊穣なシンボリズムを拓いた画期的論考。解説・高野秀行
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Posted by ブクログ
解説で高野氏が称賛しているように、キャッチーな話題で読者の興味を惹き付けながら史料引用と考察を重ねていく、著者の筆力が本作でも冴え渡っている。 耳鼻削ぎというグロテスクな話題から、日本中世~近世の文化を著述する手腕はお見事の一言。 柳田國男と南方熊楠といった二巨頭の論戦を冒頭に記すことで一気に引き込...続きを読むまれる。 中世の事例より、耳鼻削ぎは女性や僧侶に対して、死刑相当の罪一等を減じる宥免罪としての地位を持っていた。女性は一人前の判断能力がないと思われていたため、僧侶は聖界の人間のため。また日本中世の荘園での刑罰は、犯罪によって生じたケガレを除去することに重点が置かれたため、犯罪人は領域外へ追放するといった意味合いが強い。耳鼻削ぎを実際に行う人も、被差別部落民が担っており刑余の人間はそのままその民となっていただろう。 しかし、室町から戦国前期にかけて耳鼻削ぎは戦果を証明するための証拠であり、そのため鼻削ぎは髭の生えている上唇と一緒に削ぐことで正当な戦果と認められるといった作法まで生まれてくる。また、戦果証拠としてはあくまで首が本義であり、耳鼻は戦場と戦果認定のための中央権力が離れている場合に輸送の便のために執り行われた措置であった。そのため、各地の権力が収斂し戦場が大規模・遠隔で行われるようになる安土桃山時代に耳鼻削ぎの事例は増していく。それに付随して、耳鼻削ぎは宥免罪としてではなく、苦痛の見せしめ罪としての意味合いも付与されていく。 江戸時代も中期に入り徳川綱吉の生類憐れみの令により、「文明化」されていくと、耳鼻削ぎといった肉刑はグロテスクさと認識されるようになり、徐々に姿を消していく。 前近代のユーラシア大陸では、いち早く「文明」化した中国や朝鮮半島の王朝のみが耳鼻削ぎ刑を忌避し、それ以外の「辺境」的な地域にのみ耳鼻削ぎが残存し、女性のための刑罰という意味が付与されていたということになる。 こうした中国隣国型と辺境型という二類型でアジアの国々をみていったとき、日本社会は、古代において中国隣国型の国家体制をとりながらも、中世に入ると一転して辺境型の国家体制にシフトしたといえる。
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耳鼻削ぎの日本史
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