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賛否両極の問題作! デビュー15年、第一創作集、3度目の復刊! 不遇に果てた大正期の私小説家・藤澤清造。その負の存在に心の支えを見出し“歿後弟子”を目指す男の捨て身の日々。“師”に明け暮れ墓守りを行い、資料探しに奔走して全集作りに注力する情熱は、自らの人生を完全に賭した、不屈で強靱な意志と同義のものであった。同人誌発表の処女作「墓前生活」、商業誌第一作の「一夜」を併録。現在に至るも極端な好悪、明確な賞賛と顰蹙を呼び続ける問題の第一創作集、3度目の復刊。
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Posted by ブクログ
風格ある文体もあいまって、古くマイナーな作家をひとり熱心に研究しているだなんてずいぶんと高尚なと思いきや、急にはさまれる頽廃美などとはほど遠いだらしなさに意表をつかれるとともににやりとしてしまい、当初そういう惨めさとの懸隔を演出するかに思われた文学的な情熱もどんどん(清造の墓が汚ないアパートに持ち運...続きを読むばれたかのごとく)その最低な暮らしぶりになんじでいって、もうなにもかもがどうしようもない、なのに女が出ていったのちにおのれの醜態を緻密に振りかえるそのいじらしさのようなものになんだか泣きそうになる、ほんとに最低なのだが。
藤澤清造愛に溢れている私小説。読んでいてあまりいい気分はしないDVの場面はあるけれども、なぜか読み進めてしまいたくなるほど不思議な小説だ。それを解説がわかりやすく書いてくれていた。 『藤澤清造に少しでも近づけることを求めながら、自らは小説家になることを目指していなかった西村賢太の私小説にその種(作家...続きを読むになることを目指し私小説というジャンルを選び、自分を美化して描くこと)の美化はない。なるほど彼の小説に登場する「私」は常に愚者である。すれはすがすがしくも本当の愚者である。だから西村賢太の小説は不思議にあと味が悪くない。』 それにしても、「根は◯◯なので~」が好きだ。 この小説内では彼の根はわがまま/未練にできている/ペシミスト/虫のつくほど青臭い文学青年/テレクラ嫌い/姑息/狡猾/甘ったれ/苦労性 らしい。 「便座あげとけって言ってんだろがっ!」と怒鳴る場面の理不尽さは笑ってしまった。
「どうで死ぬ身の一踊り。これで最後の一踊り。それでもダメとなれば、その時はそう深刻ぶるがものはない。脳をマヒさせた上でこの人を追い、芝公園に行けばいいだけのことではないか、と考えたら急に心が楽になった。」
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