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稀代の無頼、西村賢太の原点を炙り出す、新たな代表作。憬れだった築地市場での仕事をたった一日で失うことになった若き日の北町貫多を描く「寿司乞食」。すべてに無気力で受動的だった貫多を、やや向日的な世界へ引き戻したのは梁木野佳穂という女性だった――「夜更けの川に落葉は流れて」。後ろ髪を引かれる思いでいた"あの店"。貫多と店主の20数年にも及ぶ蟠りがある深夜に最高潮を迎える「青痰麺」。表題作含む三篇収録。
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Posted by ブクログ
西村賢太お得意の私小説、北町貫多シリーズ。3作品が収録されている。 気が弱いくせに相変わらずの愚行を繰り返し、着実に破滅に向かう寛多の生き様は、寛多ファンにとっては清々しい。心の底では平穏を望んでいるのに、どうやっても破滅に向かってしまう寛多の運命を傍観するのが、ファン心理だ。悪代官が水戸黄門の印...続きを読む籠にひれ伏すのを待つようなものだ。 そんな主人公の破滅への道は3作品それぞれ。新たな職場の初日の歓迎会で飲みつぶれ、翌日から無断欠勤。恋人を殴りつけて、その父親に土下座謝り。店主の態度が気に入らず、出されたラーメンにゴミを打ち込んで店から逃走。これぞ、北町貫多で、何者でもなかった若き著者。 と、過去の何者でもない著者の話ばかりだと思っていたら、小説家として大成した著者は今でも変わることなく、破滅に向かう。そんな衝撃的なラストが展開される。
この人の小説を読むと非常に憂鬱な気分になる。読後の胸糞悪さは計り知れない。主人公貫多の病的な性格はまるでコント。あまりの不憫さに笑けてくるほど。まあいつものこと。 でも何故か、不思議とこの作者の作品を読むのはこれで11作目。読後のあの胸糞悪さを求めて、作品にまた手を伸ばしている。そんな私はもはや西村...続きを読む賢太作品の中毒者なのかもしれない。
クリスマスイブの華やかな店内。見渡せばほとんどが若いカップル。その只中、四人掛けのテーブルに揃いの作業着姿の男が6人。女に一切縁がなくテーブルには一様にミックスグリルとライスの大盛り。皆一様に押し黙り、ただひらすらに箸やフォークをカチャカチャ動かしている。その座のそれぞれが虚しさと寂寥を漂わせている...続きを読む。短気さえ起こしていなければこんな場所にいなくてもよかった。加えて意想外な方向からワリカンと知らされる。自分で払うのなら吉野家で良かった。悔恨の波が次から次へと押し寄せる。 普段はえらく大人しく小心者が、何かを契機にスイッチが入ってしまうと、人が変わり暴言が暴力に発展し破滅へとまっしぐらに落ちてゆく。水戸黄門ばりのワンパターンだが、物語は初から終わりまで引き締まっており一寸の隙もない。終始唸らされながら読まされた。二度読み三度読みしてよい傑作。凄すぎる。
中卒、免許なし、北町貫多の20歳過ぎから50歳位までの人生、アルバイトでの飲酒での失敗、彼女との別れ、食事の際の性癖を描いた連作3話です。寿司乞食、夜更けの川に落葉は流れ、青痰麺。西村賢太「夜更けの川に落葉は流れ」、2018.1発行。食事中、我慢できないことの性癖を鮮やかに?描ききった第3話、青痰...続きを読む麺に大拍手です!
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夜更けの川に落葉は流れて
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