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創立60周年を迎えるにあたって神戸新聞社は、兵庫県出身で82歳の柳田國男に回顧談を求めた。柳田はこれを快諾、25回にわたって聞き書きがおこなわれ、200回にわたる連載記事「故郷七十年」に結実した。一回の談話は3時間、長いときで5時間に及んだという。本書は近代日本の知識人の自己形成の物語、明治文学史の重要な一部、民俗学の誕生を語るもの。数ある自伝、回顧録のなかの白眉を文庫本でお届けする。
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Posted by ブクログ
初めて読む、柳田國男の本。 子供時代から老年にいたるまでの、心に残ったことが書きつけてある。 子供時代は、何に心を惹かれて民俗学に興味を持ったか、どんな経験が作用したか、壮年からは自身の問題意識と民俗学を通した解決に向けての思いが書かれている。 民俗学会のおこりの話や、外国人が日本を研究することを...続きを読む推進し、国内の研究そのものを活発にさせたいという意図があったことは印象的だった。 単に民俗学を振興するだけではなくてそれをとおして解決できるのではないかという示唆もあり、例えば四民平等になって、農民は士族を批判していたが結局士族の真似をし、自分たちのこれまでの生活を軽蔑する向きがある。これは民俗学でしか解決できないと述べている。 また、当時議会では昔ながらの文法で発言している慣習を批判し、わかりやすい言葉で話さないと普通選挙にした意味がないと主張している。そこではわからないものはわからないとはっきり言えるよう教育することの大切も訴えている。現代にも通じる問題意識を持っていたことが印象的だった。 また、珍紛漢の由来が儒者がやたら小難しい言葉を使うことを冷やかしてできた話も初めて知ったように思う。 民俗学として面白いと思ったことは、地名学と地理を研究している話。同じような名前が散らばっていることなど、そういう視点から見ると面白いと思った。 また、裸体か身体を隠すかということは文明の度合とは比例しないという文章も興味深く読んだ。
・友人からのプレゼント。今まで読んだ事のない分野だったけど、語り口調な文体で読みやすかったです。 ・著名人が沢山出てくるのも面白く、『へぇ〜、そういう人なんだぁ〜』と思いながら出てくる著名人の本をチェックしたりしました。 ・私達がまだ生まれていない頃の日本。 ドラマや映画でしか見たことないから、...続きを読むこの本を読み進めながら脳内で映像化しても作り物っぽくなるし、ちょっとしたニュアンスが汲み取れない古い言葉もあって現実味を感じる事が出来なかったけど、もし、お爺ちゃんが生きていたならこんな感じで話聞かせてくれたのかなぁって思う。
島崎藤村の「椰子の実」は柳田が伊良湖岬で体験したことを聞いて詩にしたもので、島崎の体験ではないと。 島崎が「台湾で兄に会ってくれ」と言うので会ったら、土地の払下申請に在留期間が足りないので口利きを頼んできた。藤村も承知のことと知った柳田は、自然主義とかいって、やってることは役人(当時柳田は農商務省勤...続きを読むめだったか)を馬鹿にしたこんなことか、と憤慨して絶交したと。 民俗学絡みの話は興味深いが、真剣には読めない。遠野の話は一つも出てこないし。 80歳を過ぎてからの口述筆記なので、話が前後するし、体系立っていない。 念のため付記。面白くないわけじゃないです。
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