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回り道をしなければ、見えないことがある。仕事にも、人生にも。――未知の経験を求めて経営コンサルタントから転職した笹島彩夏は、社命を帯びて子会社に出向してきた乾紀実彦とともに、新しい営業補助システムの開発に携わる。しかし強烈な個性を持つ社長の岩佐が支配する子会社の中で、余所者の二人は周囲からの反発と見えない壁に翻弄されて……。「会社」という闇の中で、二人が見出したものとは?
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Posted by ブクログ
作者が『会社員とは何者か?――会社員小説をめぐって』で展開している論を、見事に小説へと昇華しています。 たとえば、源氏鶏太「英語屋さん」論において注目していた英語屋さんの社内でのヌエ的な立ち位置を、本作では子会社へと出向している男、その子会社に関連企業から派遣されている女という形で、再現させていま...続きを読むす。 また、会社員小説を書くときに私生活を紋切り型に描かないという課題にも、柔軟に取り組んで書いているのが伝わってきます。作者の作品を愛読してきた読者としては、現時点での集大成と思わせてくれる快作でした。
尻尾って何なのか、心臓って何なのか、わからなかった。乾と柿谷と来ればセレッソ大阪で、どこかにオマージュが隠れているのかと思ったけど、それも見つけられなかった。乾と笹島が微妙な立場でプロジェクトを成功させなければならない理不尽は、他人ごとではない。安藤課長から日報フォーマットをもらうだけのことになぜこ...続きを読むんなに時間や労力を使い、気持をすり減らさなければならないのだろう。「そういうことを含めて仕事」みたいに言う人もいるし、実際そうなんだろう。何をしたくて、何をするべきかがはっきりしていれば最短、最速で辿り着くことを考えたほうがいいんじゃないのかな。これまでの会社員生活を根性論でやり切ってきたほうだけど、働き方改革の中では無駄な努力になりかねない。カキヤやインナー・パスポートの仕事ぶりは、自分に置き換えてしまって楽しめなかった。オイラもそんな風だなぁなんて。
九州の食品会社から東京の子会社に出向してきた乾と外資系コンサル出身のデキる女性、笹島がコンビを組んで、営業アシストツール「セルアシ」の開発に取り組むお仕事小説。 よくあるサクセスお仕事痛快モノかと思って読み進むとそんな単純なお話ではなく、舞台となる会社「カキヤ」も気難しい社長も含めてかなり特殊で、...続きを読むこの2人の仕事もうまくいったかと思うと壁にぶつかったり。しかもこの2人もお互いに信頼しあっているわけでもなく、いまいちかみ合っていない。 とにかくとってもリアルです。その中で、最後近くで笹島が自分の母親とのエピソードと思い合わせ、仕事にはその人だけの人格、リアリティーが顕れると気づくあたりがテーマなのでしょう。 どんな仕事であってもそれは「自分を表現できる」場、たとえ努力がすべて報われるとは限らなくても・・・。同じ会社員として少し勇気をもらえる気がしました。
会社員小説というジャンルらしい。 外資のコンサルから、国内企業に転職した女性と、その会社に本社から出向になった男性を中心に、会社での業務を中心に話が進められる。 同じような経験を、実体験として持っているだけに、まぁ、そんなもんだよねとつらつら読んでいく。 途中、自分の経験ではありえないことも出てく...続きを読むるが、まぁ、会社によってはあるかもねと通り過ぎる。 そして、話は終わらない。 企業は継続していくのが使命の一つなので、いい企業は終わらない。そして、きっちりけじめをつけないのも、日本的企業の体質ではあるので、本書も終わらない.... うーむ。
九州の本社から子会社に出向となった乾は、外資系コンサルタントから転身した笹島彩夏と新規事業室で営業補助システムを立ち上げることになる。社内の協力を得られず孤立した二人の葛藤を描きながら、会社という組織で働き続けることの難しさが伝わってくる作品。
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