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話題短編を集めた珠玉の作品集。「この世に平凡な人なんかいません。近づいてよく見ればみんな変。この世の平凡な真実です。でも近づいて、よく見ることは実は難しい。「近づいて、よく見る」には小説が役立ちます。小説はこの世の真実を映す、歪んでいるのに真正な鏡だから(そうでありますように! )。この小説集に収録されているのは、鏡の6つの破片です。この本は、愛や癒しや殺人を求める人には向きません。」(著者敬白)
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Posted by ブクログ
私は十分な癒しとちょっとの愛を感じられた。まえがきにある通り、一般の小説に見られる愛や癒しや殺人は少ない。なんというか、石橋をミリ単位で叩いて渡るような繊細な作業が重ねられたんだろうなと思えるような文章。愛と癒しと殺人を避けるというはあと今だと露悪とか、とにかくそういう盛り上がりを排除して小説を仕上...続きを読むげるのはきっととてつもない技術なんだろう。 「ヌード・マン」と「えりの恋人」が好きでした。
週刊ブックレビューのお勧めを見ていてタイトルにググッツと来たので買ってみた。実は、このタイトルが示唆するような「何もないような話」というのがすごく好きなので。この分野(?)での個人的ナンバー1は保坂さんの「カンバセイション・ピース」なのですけども。柴崎友香さんもその流れで大好き。 残念なことに読...続きを読むみ始めて直ぐに気付いたのだけど、この本はタイトルが言うほど何も無い日常の中の特異さみたいなものは描かれておらず、むしろきわめてフィクショナルな設定のストーリー性が少々鼻につく小説という感じがする。どうせそういうことなら、三崎亜記みたいに不自然な枠組みの中でとことん日常に徹する(それでいて物凄い皮肉が利いている)ようなものであればよいのに。その線でいうと最初に置かれている「ヌード・マン」はよかったね。ある意味鮮やかな小説性があります。 期待したものと違っていた点だけ、それも作者の前書きを読み終わった時点でもその期待が高まりこそすれ勘違いであることに気付かせてくれなかったことを含めて、自分には珍しく星一つ足りません。
話題短編を集めた、伊井氏の第二小説集。 「ヌード・マン・ウォーキング」のロングバージョンをいれた珠玉の作品集。 読売賞作家の魅力が満載された、特異の前書き付きの話題作。
小説は世界を映す鏡という二百年前の人物による定義に、だれに頼まれてもいないのに、今さら一票を投じることにする。世界は理解されなくてはならず、世界は生きている人々の眼前に像として提出される必要がある。小説にはそれができる、と信じたい。私の小説がどうかのかは、また別の話。 (P.14)
タイトル&前書きがあるという珍しさに惹かれて。6つの物語。それぞれ話は違えど全体的なトーンは似ている。しょっぱな「ヌード・マン」の世界についていけず。最後の展開が私の嫌いなタイプ。なのでその後の話にあまり期待しなかったんだけど、思いがけず楽しめたものも。この中では「掌」がいちばん好き。最後の「えりの...続きを読む恋人」も嫌いではないけど、ちょっと分かりにくかったために後味が微妙。
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伊井直行
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