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権現市へ買い物に出かけたところ、うら寂しい祭りの主催者に見込まれ、「権現躑躅(つつじ)踊り」のリハーサルに立ち会う。踊りは拙劣。もはや恥辱。辟易する男の顛末を描いて川端康成文学賞を受賞した表題作や、理不尽な御老公が市中を混乱に陥れる、"水戸黄門"の町田バージョン「逆水戸」など、著者初の短編集。
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Posted by ブクログ
大好きです。 もうみんな言ってるけど、「ふくみ笑い」がすごい。 「何で俺ばかりがこんな目に」とかゆって。もーねどれ読んでもそんなんばっかりやで。 鶴の壺とか逆水戸もよかった。
古本で購入。 町田康の小説は精神が下向いてるときに読まない方がいい。 「夢とか希望って何ですか?」とでも言うような、湿った、黴臭い、底辺感が滲み出ていてきついのだ。 でも言葉のリズムに乗ってズンドコ読み進んでしまうのはさすが。 書き手のリズムと読み手のリズムが一致したときの感覚はなかなか心地いい...続きを読む。 収録されてる「ふくみ笑い」の終盤、 「半分は嘘。半分は本当、ところが、わははははは。また全員がしらこい虚わらい。あぱぱの踊り、福祉餅」 とかね。 このキチガイじみた感じが実にたまらん。 この「ふくみ笑い」の破滅感と「逆水戸」の狂騒ぶり。ステキだ。
1999年から2003年にかけて発表された短編を集めたもの。 表題作は川端康成文学賞受賞。 改行しねえ句点も打たねえ、文語と口語が混沌、感情の暴発、圧倒的な文圧。どこから読んでも安心の町田節。 短編集だから初めての方も読み易いかも?って思いながら久々に再読しましたが、やっぱり駄目みたい。苦手な人は...続きを読む徹底的に苦手だと思われます。だから無理には薦めない。 微妙に合ってないジグソーパズルのピースを見て見ぬふりして放置するような落ち着かなさ、坐りの悪さ。しかもそのままどんどん作り続けちゃったような取り返しのつかなさ。 町田短編の背後にあるようなないような、そんな「儘ならなさ」の虜。虚無すげえ。 作者の擬時代物も好きなので、『逆水戸』がお気に入り。
町田康の短編集。 表題作も素晴らしいですが(魂のカレーをばっさりと斬り捨てるあたりは痛快至極)、僕は何より『ふくみ笑い』を挙げます。 例えるならば、X軸にストーリー展開という時間軸、Y軸に不気味さ・気色悪さ・得体の知れなさ・えげつなさなどを取った「Y=3分の1Xの2乗」のグラフを想像していただけ...続きを読むればいいかな。傾きははじめのうちは緩やかなのですが、X軸が正の方向に進めば進むほど、Y軸の増加具合が著しくなっていくという放物線。すんげえ放物線。 SM店でバナナを売ってもらえないくだり→スタジオで猿愛児のリハに参加できないくだり→霊派Chバイサンコンクのワゴン車の男にギターを偸まれるくだり→そして、現実の亀裂と戦う聖人とのやり取り。ね。この流れ。間違いなく放物線。加速していく気色悪い世界観。そして最後に行き着いた先に待っていたもの。それ、虚無。もはや、えげつなさの∞、あるいはブラックホール。 この、現実と妄想との断裂・融合の反復は、『きれぎれ』や『けものがれ、俺らの猿と』でも見られる、町田康の得意とする小説展開手法だと思うのですが、本書に収録されている『ふくみ笑い』は、見事な完成度を誇っていると言わざるを得ません。 いうまでもなくフィクションであり、非現実的、否、明白な非現実なのですが、しかし、現実と完全なる乖離をしているわけではなく、何かの弾みで、自分の身近な世界がかような世界に一変してしまうかもしれないという危機感が迫ってくるのは、やはり町田康の表現力の凄さなのでしょう。 少しく追記しておくと、ふくみ笑いに完全に包囲されていく男の姿には、20年近く前に放送された、タモさんの『世にも奇妙な物語』にあった伝説のドラマ「ずんどこべろんちょ」の草刈正雄氏を彷彿とさせるものがありました。 そう考えると、「ずんどこべろんちょ」と「べらんがめらん」って響きも似ているよね。ひるまのちち踏み、あぱぱの肉揉み。うくく。 【収録作品】 ・鶴の壺 ・矢細君のストーン ・工夫の減さん ・権現の踊り子 ・ふくみ笑い ・逆水戸
初町田康なのですが面白かった…!なんだろうかなり好みでした。権現の踊り子や逆水戸は勿論ふくみ笑いとかもとても気になりました。もう一回読もう!もっと長いお話も読んでみたいと思います。
ロック文学とはこうでなくちゃ。 狂気と現実を彷徨う・右往左往するかのような、文学的モッシュピットな気さえする。ずるいのである。
傑作。暴力的に笑える話が多く、著者初の短編集ながら、全てが濃い内容だった。これは何度でも読み返したくなる作品ばかりで、最後の、逆水戸、これは傑作。そう、傑作。
「鶴の壺」 むかし一緒に暮らしてた女が死にかけてるらしい というので見舞いに出向いたがなんだかんだあって引き返す つるつるの壺はたぶん関係ない 「矢細君のストーン」 テレビ観戦で応援してたボクシング王者の敗北を機に 自らの石信仰をあっさり放棄するエキセントリック友人の話 「工夫の減さん」 ケチで...続きを読む怠惰な己の性格を満足させるために 様々な工夫を凝らしては たいてい大失敗を繰り返す友人の話 「権現の踊り子」 承認欲求の多い料理店 悲惨な踊りとパワハラを見せられて逃げることができない 「ふくみ笑い」 現実と被害妄想の区別がつかなくなって 気づいたらおそろしい世界にトリップしてる 「逆水戸」 水戸黄門のパロディ ドライな黄門さまご一行が目論む勧善懲悪は現実の前に爆砕される
『「猫の子をひろったので見に来て下さい。とても可愛い。名前をつけてください。今年の冬は厳しいキツイ、ピース」と書いており、ピースの後に、Vサインをする手の絵が書いてあった。減さんはたったこれだけのことを白紙に書き封筒に入れポストのところまで歩いていって投函したのだ。俺は減さんに電話をかけた。 「別に...続きを読む電話でもいいよ」』 『つまり貯蓄するためにいろいろの工夫をして節約するのだけれどもその工夫が一定の効果を上げぬため、精神が鬱屈・内向、これを散じるために入費がかかり、その入費が工夫によって節約した金高を常に上回っていたのであり、減さんが貧乏をしているのはなまじ貯蓄をしようとしたからであるといえるのである。 しかしそれとて減さんが工夫をせずいま少し地道な手段、方法をとればそんなことにはなっておらず、減さんはいわば工夫によって窮地に追い込まれていっているともいえるが、しかしそれをなんとかしようとして減さんはますます工夫をするのである。』 『減さんは自分が内向した気を散じるために酒場に出掛けている間、子猫が渇死せぬように自動水遣り器を拵えているのだった。おそらく千円かそこいら出せば町でいくらでも購入できるものだろう。けれども減さんはそれを貯蓄に回すために自ら工夫する、失敗する、鬱屈する、飲みに行く、貧乏する。』 『文字や言葉は全部嘘でこういう青空だけが本当なのだ。この焦げ臭さとかね。』 『ワインを飲むというプラスと殴り倒されるというマイナスをどう計算すればよいか。何度か計算をしたところ僅かにプラスになった。俺はどつきまわされてもワインを飲む。腰が砕けても焼酎を飲む。それが俺の生きざまだ。』
ボチボチって感じでした。 町田節はここでも炸裂はしていますが、他の初期作品の方が凄いと思う。それでも、純粋に評価は高いです。
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