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1807年刊行のヘーゲルの主著。意識が感覚という最も低い段階から経験を経て自己意識に、さらに理性から《絶対知》に到達する過程を描く大著の下巻。定評ある翻訳の改訳補訂版。
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Posted by ブクログ
『精神現象学』のうち、精神、宗教、絶対知の各部を収める。理性にまで達した人間の意識は、それからも遍歴を続ける。精神においては、人倫、教養、道徳が問題とされる。しかし道徳に至ってなお、精神と対象の分裂が終わったわけではない。そこで宗教へと精神は展開されるが、そこでもまた分裂は終わらない。最終的に、意識...続きを読むないし精神と対象との和解がもたらされるのは、絶対知すなわち学の境地においてであるとされる。人類の知の展開と自己の意識の展開とをパラレルなものとして把握しながら、自己の知を歴史のもとに把握する、というのは卑俗な概括かもしれないが、ヘーゲルの目指した学の何たるかを理解しようとするのであれば、この書は非常な重要性を持っているだろう。
読み通すだけで一年三ヶ月かかった。 キリストの死と再生と三位一体、ギリシャ悲劇「アンティゴネー」の解読(というのか?)などまで飲み込んでしまう破格の展開にびっくり。
再読。 しかしヘーゲルは苦手である。何度読んでもやっぱり苦手だなと思った。 西洋哲学史上最も重要な代表作の一つとして尊重されている本書、最初の方は、「どうしてわざわざここでこんな概念を持ち出さなくちゃならないんだろう」と腑に落ちないながらも、まあ、すこぶる複雑な論理に知的興味を惹き付けられないでもな...続きを読むかった。しかし、ヘーゲルの言う「精神」は実体化し、いつのまにか共同体や果ては「国家」をも支える原理となってしまう。このへん、ルソーの「一般意志」とも共通点があるのかもしれないが、それと同様に危険な思想でもある。本書を読んでいると、あの「エーテル」というヘンテコな(誤った)当時の科学的常識が思い出される。 最後の方は、人類の宗教(インド、エジプト、ギリシャ、キリスト教)を発展史的に解読してゆくのだが、ここではあの「歴史哲学」の西洋至上主義的傲慢さが顔を覗かせる。このくだりはかなり恣意的なのではないかという気がした。 苦手とはいえ、ヘーゲルくんはあくまでも西洋哲学の巨人なのだし、本当はもっと違った読解が可能なのだろう。今回の再読でもまた、私はその「真の価値」をとらえることができなかった。 いつかまた読み返して、あっと思い至ることができるだろうか?
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