質屋の女房(新潮文庫)

質屋の女房(新潮文庫)

572円 (税込)

2pt

哀しい、無器用な劣等生は、社会にうまく適応してゆく人々の、虚偽を見抜く力をもつ……。先天的に、世間に対する劣弱意識に悩まされた著者は、いたずらに自負もせず、卑下もしない、明晰な自己限定力をもって、巧まざるユーモアのにじむ新鮮な文章で、独自の世界をひらいた。表題作ほか、処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』『悪い仲間』など、全10編を収録する。

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質屋の女房(新潮文庫) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    学生時代(出征前)を描いた作品が一番多く、終戦直後がひとつ、戦後10年以上経った時代を舞台にしたものが2つ。芥川賞受賞作を含む。
    発表された時期はバラバラ。安岡章太郎の代表作を集めたと言っていいだろう。
    「ガラスの靴」は恋愛(それも未熟な恋愛)小説の傑作。若さと才能だけではなく、あの時代に生きていた

    0
    2016年02月29日

    Posted by ブクログ

    短編集

    個人的には表題作の『質屋の女房』よりも、
    『悪い仲間』や『陰気な愉しみ』の方が好きで、
    社会に劣等感を抱きつつ中々前に進めない登場人物たちに非常に好感が持てます。

    『ガラスの靴』も読後感の素晴らしい作品です。

    短編で読みやすい作品ばかりですので、是非手に取ってほしいです。

    0
    2015年02月15日

    Posted by ブクログ

    青春期はある意味、モラトリアムであるとおもいます。
    産みの苦しみを経て青年は次のステージへと進んでいくのが一般的な成長だと思うのです。

    しかし、ここでの主人公はモラトリアムとも言えない、本当に無駄な時間、糞みたいな時間を過ごしています。
    「誇り」も「覚悟」も無いから、女も抱けず、軍人にもならず、学

    0
    2014年11月21日

    Posted by ブクログ

    10の短編集。しっかりとした文章が印象的。「陰気な愉しみ」は「檸檬」を彷彿とさせる。他の作品では総じて、母、父との関係、家族であるがゆえの空虚感や重圧感が、苛々と覆ってくる。12.6.20

    0
    2012年06月22日

    Posted by ブクログ

    母親への義務感と自己嫌悪に苛まれる、童貞の苦悩の結晶みたいな短編集。陰気さと笑いと愛憎のどっちつかずなバランスがおもしろい。処女作「ガラスの靴」の別次元の世界観は、いまなお新鮮で抜群にクール。

    0
    2011年07月17日

    Posted by ブクログ

    男になるための通過儀礼には二種類あって
    ひとつは女、もうひとつは戦争なんだけど
    結局、敗戦でなにもかもご破算になってしまったわけで
    結局、最後に残された、ギリギリ人間であるための手段は
    「裏切り」にあったように思う
    母を裏切り、友を裏切り、自分を裏切ることで
    かれはこのどうしようもない戦後日本と自分

    0
    2010年04月23日

    Posted by ブクログ

    初めての安岡章太郎

    短編集

    「悪い仲間」などの青年ものより、際立つのは「陰気な愉しみ」だ。

    傷痍軍人の悲しい愉しみ。
    楽しみではなく、愉しみ。
    人の目を憚りながら、生きながらえる中に愉しみをも見出せない儚さ。

    心の凹凸を顕微鏡で覗くかのように隆々たる山並に変えてみせる、良い作品。

    0
    2021年11月25日

    Posted by ブクログ

    慶応大学在学中に結核を患い、戦後、脊椎カリエスを病みながら小説を書き始めた著者が、世間に対する劣弱意識に悩まされた経験をベースに綴った10編から成る短編集。 
    戦中、戦後を哀しく、無器用に生きた学生の自堕落で屈折した日常をユーモアも盛り込んで描く。
    標題作「質屋の女房」は、戦時中、外套を質屋に持って

    0
    2021年07月09日

    Posted by ブクログ

    哀しい、無器用な劣等生は、社会にうまく適応してゆく人々の虚偽を見抜く力をもつ…。先天的に世間に対する劣弱意識に悩まされた著者は、いたずらに自負もせず卑下もしない明晰な自己限定力をもって、巧まざるユーモアのにじむ新鮮な文章で独自の世界をひらいた。表題作ほか、処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉

    0
    2019年07月17日

    Posted by ブクログ

    まぁ上手いんでしょうけど、長旅の中で読むには当方のリズムと合わなかった。それでも後半に収められている表題作はぐっと引き寄せる力がありまする。
    しかし吉行淳之介といい、このお方といい、今でいうところの風俗に題材を求めるところを見るに、昔も今も変わらんという陳腐な結論に辿り着いて良いものやら。

    0
    2018年06月16日

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