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自分以外のすべてに、彼は激しく牙をむいた。強さ、狡猾さ、無情さ……彼は生き延びるため、本能の声に従い、野性の血を研ぎ澄ましてゆく。自分の奥底にいまはまだ眠る四分の一のイヌの血に気づかぬままに――ホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれた一頭の孤独な灰色オオカミの数奇な生涯を、ゴールドラッシュ時代の北の原野を舞台に感動的に描きあげた、動物文学の世界的傑作。
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胸が痛くもなるけど引き込まれる
現代の日本の犬との関係を考えると、主人公であるホワイト・ファングの経験は時に辛く悲しくもあるけれど、それが当時の犬と人との関係性のひとつなのかと思えば、ひとつの歴史が感じられる作品でした。 そして狼犬目線の物語はとても興味深く、野生の狼や人に飼われている犬がどう感じ、何を思っているのか、真実は不明で...続きを読むも、なるほどそういう感覚なのかと納得出来る文章でした。特に彼らにとって人間は神に見えている。それがとても興味深かったです。
#切ない #感動する #エモい
Posted by ブクログ
2人の男が極寒の地で犬ゾリで棺を運ぶ冒頭の章に、ロンドンの真骨頂があると思う。これだけで短編小説のようだ。 犬の視点から人間を神々たち、と表現していて、人間の文明というものがあらゆる生き物の中でずば抜けていると感じる事になる。(文明を築けたのは一握りの人間による所が大きいので、あまり自惚れる事はで...続きを読むきないのだが。) ロンドンの著作はいつも新しい視点を与えてくれる。
表紙の孤独そうなオオカミ君に一目惚れして、レジダッシュした作品。 これは大当たりでした!本当に面白かった~~!! 主人公は、ホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれるオオカミの子。 それも純粋なオオカミではなくて、オオカミと犬の混血。 そのあたりの設定が最後の最後まで生きてきます。 ホワイト・ファン...続きを読むグの視点から描かれるお話がとても新鮮です。 虐げられてすっかり頑なになった彼の心を溶かしてくれる、新たな出会い。 泣いたり、怒ったり、ほっこりと幸せな気持ちになったり。 とても素晴らしい物語でした。
冒頭から、アラスカの雪の平原でハラペコ狼にとりかこまれ、一匹一匹食べられていくソリ犬・・・ついには人間も・・・な展開でつかみからがっつり。狼好きのバイブル。「野生の呼び声」が飼い犬が狼化して自然に還る話ならこっちは逆で、狼がよい主人に出会い、な話だった。なでるぞ!なでられる!の攻防は食うか食われるか...続きを読む!並みにハラハラである。
オオカミブーム到来中につき、表紙のオオカミの佇まいにも惹かれて、猛暑の中、北極圏(アラスカ?)の話を読みました。最初は、現実との気温差のせいかなかなか物語に入り込めなかったけど、子オオカミに名前がついたあたりからはかなりぐいぐい読みました。そして、苛酷な前半~中盤のせいで、後半は相当せつなく、胸にグ...続きを読むッとくるシーンの連続…。いやー、素晴らしい名作だと思います。 …ただ、残念ながら、個人的には翻訳がイマイチだったなと。光文社の方が良かったりするのかなー。表紙でつい新潮文庫の方を選んでしまったけど…。
北の荒野で2分の1イヌの血を持った母親キチーと老オオカミとの間に生まれた4分の1イヌの血を引き継ぐホワイトファングの数奇な生涯の物語。 動物文学の面白さを教えてもらった本。動物の行動心理、物事や人間に対する思考がとっても面白い!
自分以外のすべてに、彼は激しく牙をむいた。強さ、狡猾さ、無情さ・・・彼は生き延びるため、本能の声に従い、野性の血を研ぎ澄ましてゆく。自分の奥底に今はまだ眠る四分の一のイヌの血に気付かぬままに──。 森に暮らす一頭のオオカミが、人間のエゴによって虐げられ、恐怖を感じていたある日、今度はその恐怖を取り...続きを読む除き、愛情という無償のものを与えてくれる人間との出会いによって、徐々に人間に心を開いていく様子が、感動的だった。 動物を主人公にした小説だが、とても読みやすかったので、初心者にオススメしたい一冊。
「狼の仔」として生を受けたホワイト・ファング(白い牙)が、母方に混じった家犬の血の導きで人間社会に順応し、野性との葛藤に苦しみながらも、数奇な運命の果てにめぐり合った「愛」の力によって、アイデンティティと終の住処を獲得するまでを描いた、動物文学の古典。 ちょうど、先に読んだ「荒野の呼び声」のひっ...続きを読むくり返しのようなお話です。 ただし、完全に逆ともいえないのは、「荒野」の主人公が完全な家犬であったのに対して、「白い牙」は生粋の狼ではない。彼の母親が犬と狼の混血であるところがミソで、さもなければ、この小説はただの絵空事になってしまったでしょう。 「荒野」同様、作者の経験が生かされて、厳しい自然の描写や、動物の生態観察の細やかさが圧倒的です。 特に冒頭、荒野を犬ぞりでわたっていく旅人が、狼の群れに徐々に追い詰められていく場面は、ホラー小説はだしのスリル。 中盤以降は、アメリカ文学らしい、少々甘い展開ですが、この楽観性が心地よく、多くの人に受け入れられた要因だと思います。 狼にも犬にもなりきれないホワイト・ファングの心理を擬人的に描いてあるのが、傷ついた子供がトラウマから回復するメタファーのようにも読め、意外に古びていない、現代にも通用する作品と感じられました。
文句のつけようのない傑作。 一行一行、かみ締めるように読んだ。 四分の一のイヌの血を持った、孤独な灰色オオカミの数奇な生涯の物語。 作者のジャック・ロンドンは、ずいぶん波乱に満ちた一生を送ったようだが、なぜこんなにイヌの生態に通じているのだろう? かのコンラート・ローレンツが「人、イヌにあう」を著...続きを読むし、動物行動学者の目からイヌ、そしてイヌと人間の関係について考察したのは1953年。 この作品が発表されたのは、それからおよそ50年近くもさかのぼる1906年のことである。 偉大な小説家の洞察力とは、これほどまでに卓越したものなのか?! 実に驚くほどの正確さをもって、真実に迫る創作を成し遂げるものなのですね。 どんな優れたイヌの解説書よりも、イヌという種の本質を教えてくれる一冊である、と思う。
文句のつけようのない傑作。 一行一行、かみ締めるように読んだ。 四分の一のイヌの血を持った、孤独な灰色オオカミの数奇な生涯の物語。 どんな優れたイヌの解説書よりも、イヌという種の本質を教えてくれる一冊である、と思う。
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