ツタよ、ツタ

ツタよ、ツタ

1,584円 (税込)

7pt

3.7

千紗子という新たな名前を持つこと。心の裡を言葉にすること。自分を解放するために得た術が彼女の人生を大きく変えた――。明治の終わりの沖縄で、士族の家に生まれたツタ。父親の事業の失敗によって、暮らしは貧しくなるが、女学校の友人・キヨ子の家で音楽や文学に触れるうち、「書くこと」に目覚める。やがて自分の裡にあるものを言葉にすることで、窮屈な世界から自分を解き放てると知ったツタは、「作家として立つ」と誓う。結婚や出産、思いがけない恋愛と哀しい別れを経て、ツタは昭和七年に婦人雑誌に投稿した作品でデビューする機会を得た。ところが、待ち受けていたのは、思いもよらない抗議だった……。「幻の女流作家」となったツタの数奇な運命。一作ごとに新しい扉を開く、『ピエタ』の著者の会心作!

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ツタよ、ツタ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2017年06月25日

    大島さんなのにハズレなの?と途中で投げ出してしまいたくなるほど序盤戦はつまらない。
    筆を折った女性の一代記、書けない人を書ける人が描くわけだからそのたどたどしさは演出かと思うのは勘ぐり過ぎか。
    兎に角そこさえ我慢してしまえばあとはいつものようにグイグイと物語に引き込まれ名を変え不遇を生きたヒロインを...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年05月03日

    「幻の女流小説家」と呼ばれることになったツタは、けれどただの一度も本を出版したこともなければ、自身でそう名乗ったこともなかった。彼女がどうしてそう呼ばれたのか、その半生からたどってゆく物語です。

    耳元に呼びかけるような、話しかけるようなどこか柔らかな抑揚のついた文章で紡がれるのは、まっすぐで不器用...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年11月12日

    幻の女流作家ツタの生涯を
    ツタの心の内が細かくや丁寧に描かれていて
    小説を書く、書かざる得ないその衝動や
    また、書いたものへの反響に潜む
    偏見や差別が透けて見え
    本当に興味深かった。

    ツタが辛い時、文章を書くと
    それを俯瞰してみることができ
    心が解放されたのに対して
    それは、私の本を読む
    というこ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年11月03日

    明治の終わりに沖縄に生まれた「幻の女流作家」の数奇な運命。

    「書くこと」に目覚め、そのことによって現実の生活から離脱し、自分の心を解き放てると知ったツタ。
    千紗子という名で思いがけず婦人雑誌に投稿した作品でデビューする機会を得るも、待ち受けていたのは、思いもよらない抗議。
    翻弄され、時代の隙間に落...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2016年12月16日

    沖縄で生まれたツタはいまわのきわで来し方を振り返る.作家になりたかったツタ,結婚して子供を亡くしたツタ,離婚そして年下の夫との恋と生活,この一代記が,ツタが千紗子になってツタに戻る最後の場面に凝縮されて胸を打ちました.同時に沖縄の哀しみのようなものも伝わってきます.

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2021年02月06日

    「久路千紗子」として「ツタ」が書いた琉球の話をめぐる騒動は、沖縄への差別と女性に対する差別の二重構造だったのだろう。
    この話とは別に、差別される側ではさらに女性はその下、という事実は昔からよくある話。
    先日の、森喜朗(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の会長)の女性蔑視発言を見ても、...続きを読む

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2018年06月23日

    明治の終わり、琉球の士族の娘として生まれたが、没落。名古屋へ嫁いだが、離婚。別の相手との結婚。投稿を繰り返していた雑誌から、突然掲載の話が持ち上がる。
    「千紗子」というもう1人の自分は、幼い頃から書きたい!という衝動を育んできた。ついにその時が来たのだ。全てを注ぎ込んだその手記は、掲載されるや否や、...続きを読む

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