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水の都ヴェネツィアは、たぐい稀な「美の都」でもある。千年以上にわたり独立を保ち「アドリア海の女王」と呼ばれた都市国家は、ティツィアーノらの天才画家を生み、ヨーロッパ中から一流芸術家が集まった。町のあちこちに息づき、いまも新しさを加えている建築や美術を切り口に、ヴェネツィアの歴史と魅力を存分に紹介する。(カラー写真多数)
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Posted by ブクログ
ロシアに興味を持ったのはアイスホッケーとフィギュアスケートが きっかけだった。そうして、私をイタリア、なかでもヴェネツィアに 導いたのは漫画家・森川久美と作家・塩野七生だった。 ロシアとヴェネツィアのキーワードに過剰反応する私の書庫には、 本や漫画にこのタイトルの入っている作品のなんと多い...続きを読むことか。 当然のように積んだままの作品も多いのだけれど。買ったら早め に読めよ、自分。 本書も新刊書店の棚を眺めていたら目に飛び込んで来たのだ。 買うでしょ、当然。ヴェネツィアだし、芸術だしね。 ロシアには何度か行っているけれど、ヴェネツィアには未だ足を 踏み入れていない。それでも、本やテレビの紀行番組で目にする 街の建物や絵画、彫刻は「アドリア海の女王」と言われ、繁栄を 誇ったヴェネツィア共和国の素晴らしい遺産なのだと感じた。 その都市の歴史と共に芸術作品を追うのが本書なのだが、新書 という形式上、教科書的であり、駆け足になってしまうのは仕方ない のかな。 ただ、トゥカーレ宮殿やサン・マルコ大聖堂などにある絵画や彫刻 を解説しているので、芸術巡りでヴェネツィアに行くのであれば、 下手なガイドブックよりも役に立ちそう。 カラー、モノクロのでの写真も豊富なのだが全体像ばかりなのが 少々残念。新書だとどうしても写真の大きさも限られて来るし、 細部が見たいと思っても無理な注文になってしまうのだもの。 彫刻も、絵画も、私にはほとんど知識がないのだが、それでも 西洋美術には惹かれるものが多いんだよね。なんで絵なのに こんなにも光を描くことができるのだろうかとか、布の優美な ドレープ感まで表現できる彫刻とか、見る度に「凄いな~」と 思うわ。 やっぱり行かなきゃな、ヴェネツィアに。特にサン・マルコ大聖堂の 祭壇の後ろに飾られた「パラ・ドーロ」が見たい。黄金の背景に、 惜しみなく宝石を使った、まさにヴェネツィアの繁栄の象徴では ないか。 尚、1586年に日本からの大正遣欧少年使節がヴェネツィアを訪問 した際に、ヴェネツィア側は元首はじめ、大歓迎してくれ、等身大の 肖像画まで描いてくれたそうだ。この肖像画が現存していないのが 惜しい。日本とはこんなところで繋がりがあったんだね。 ああ、益々ヴェネツィアへの想いが募るわ。本書巻頭には全島を俯瞰 した地図に、主要な建造物の場所が記されているのでヴェネツィア中 を隈なく歩き回りたくなる。 やっぱり長期滞在で行かなきゃいけないだろうな。まずは資金調達 が問題だ。私にヴェネツィアに興味を持たせた森川久美と塩野七生 を恨むわ。
書名だけだと(特に著者を知らなければ)通史や概説書と誤解する可能性があるが、美術史の本である。ヴェネツィアがまさに美術の宝庫であることが改めてよくわかる。
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ヴェネツィア 美の都の一千年
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宮下規久朗
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