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一八五三年、ペリー来航を機に外交政策で揺れる幕府に一筋の光を与えたのは、一介の小普請組・勝麟太郎が上申した「海防愚存書」。国防組織の近代化を訴え、老中の目に留まった意見書は、後に江戸城無血開城を実現させる男が世に躍り出る端緒となった――。坂本龍馬が師と仰ぎ、幕末期に日本再生の礎を築いた稀代の政治家の生涯を描く傑作史伝。
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Posted by ブクログ
麟太郎は、斉昭が終始幕府を代表して外国と交渉すれば、今のような混乱には至らなかったと見る。 不遇であったため、心にもない暴説を主張し、付和雷同の攘夷派を誘い出し、道を誤った英雄であるという。「惜しいかな、正大高明、御誠実に乏し」 彼は剣術と禅によって心胆を練っているので、物事に動じなかった。人は天...続きを読む運が尽きたときは死ぬ。尽きないときは、いかなる危険の渦中に身をおいていても死なないと信じている。
---こののち天下の体勢は、門望(声望)と名分に帰せず、かならず正に帰すであろう。 私に帰せずして、公に帰するにきまっている。これはわずかな疑いもいれないことである。--- ---麟太郎は市井の無頼、侠客の名誉心をかきたててやれば、幕臣よりはるかに頼りがいのある、義侠の徒となるのを知っていた。--...続きを読む- 無頼漢の扱いをよく知っていて、上手く利用する采配…すごい。人の動かし方を本当に心得ています。 ---おれは自分の胸をさして兵隊にむかい、いずれ今明日中には何とか決着すべし。決定しだいにて、あるいは足下らの銃先にかかって死ぬることもあろうから、よくよくこの胸を見覚えておかれよ、といいすてて、西郷に暇乞いをして帰った。--- 薩摩屋敷で江戸城攻め中止の話し合いに出掛けた勝さんが、屋敷に詰め掛けている官軍の兵隊に取った言動です。惚れる…っ フィクションで見かけたりしますが、これを本物の武器を持った兵隊の前で出来てしまうのが凄い…これが明鏡止水の境地なのか。 上下巻共に読みました。勝さんの細かい足跡や言動を知れたので良かったです。航海で死にそうになったり、何度も暗殺されかけたりしながらも激動の時代を生き抜いたのはやはり凄いと思います。幕臣達を無能だと思いながらも徳川家に最後まで尽くしたり、敵味方隔てなく相談に応じたりと、その人柄にも惹かれました。
いやー、よく暗殺されなかったな。ドラマなどで描かれるまんまのキャラな感じですね。 確実にこの人いなかったら歴史変わってたんだろうな。偉人だと思う。
■読みたい理由(2010年4月29日) 「勝海舟」を読み比べよう祭開催!ってことで ■読み終わった!(2010年5月8日) 正直なところ、「あれれ?『村上版勝海舟』とは印象がずいぶん違う」と第一に思った。 村上版は「欠点はあれど家族思いで熱い魂を持つ、清廉潔白な男」という印象が強かった。津本版は愛...続きを読む人はいるは(こっちが史実に近いのかもしれないが)、かくまってくれとお願いに来た人を冷たく帰すわ(もちろん逃走の軍資金は渡してるんだけれど)、船酔いでぐでぐでだわっていう「ただ強い態度なだけ」という感じがしてしまう。そうそう。こちらは「出世しようという野心」が強く見えるのだ。これだけを読むと「勝海舟ねぇ。ふーん。エリート役人でしょ」で終わってしまうかもしれない。苦労ばかりの幼年期を中心に描いた村上版と異なり、幼年期よりも実際の活躍期をこと細かく書いていることも影響している。 でも、津本版が村上版よりもページ数が多い(こちらは上下巻)のは、勝の周辺だけではなく、そのときの社会情勢についても描いているためでもある。臨海丸に乗った人数、訓練に要した時間、その他その時代の特性が記載してあるので、幕末と言う時代をいっぺんに知るにはいい本だと思う。 ■次に読む本は 勝海舟 下巻。
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勝海舟 私に帰せず
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津本陽
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