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ワールドカップ開催、それにともなうスポンサー、放映権――。70年代半ばまで欧州中心だったサッカー界を大きく成長させ、そして腐敗させたアベランジェとブラッターというFIFAのドン。その背景には、日本の総合広告代理店・電通の影があった。誰がサッカーを“仕切る”のか。2月末の会長選を前に、サッカービジネスを知り尽くす電通元専務取締役が、すべてを語った。巨大化するサッカーとカネの関係にメスを入れる、意欲作。
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Posted by ブクログ
今回、五輪に関する贈収賄が事件として注目を集めていたので読み直しました。スポーツビジネスに興味を持つ人にはFIFAや電通がサッカーに限らず、スポーツビジネスの世界でどのような影響力をもち、どのような役割を果たしてたかを知ることはもしかしたら必修科目ではないかと思います。
FIFAの腐敗の歴史、と言えば簡単なのだが、現実はそう簡単で単純ではない。それより話は大きく、五輪や国際陸上のマネーの話も出てくる。 欧州中心主義と戦ったアベランジェ、マルチリンガルでバランサーのブラッター、その周りに企画と集金係としての電通(特に高橋治之)、スポーツをマネーにしようと企てた張本人の...続きを読むホルスト・ダスラー(アディダス創設者の長男)…。 その他、ピーター・ユベロス(ロス五輪組織委員長)、高橋治之の弟・治則(「長銀を潰した男」)、等々。 著者の長年の人脈を活かした著作であり、この田崎健太氏ではないと書けない本だと思う。文章もとても読みやすく、先へ先へと読み進めてしまう技量が素晴らしい。 カネにまつわる部分が当然ながら曖昧になってしまったが、それはカネの実際の配分に関わらない(関わると日本法では犯罪になる)人へのインタビューが中心では仕方ないと思われる。 いずれにせよ、大量のカネが悪いのではなく、生き金死に金、如何に使われるかが善悪判断の要点となるのだとも改めて気付かされる。 スポーツに関わる人だけではなく、スポーツに少しでも興味がある人は必読の本。
東京五輪に関連して電通の存在がクローズアップされる中でタイトルを目にして面白そうだなと思い、本書を手に取った。 本書には電通やFIFAの他にアディダスが重要な存在として登場する。アディダスは電通と共同出資でISLという会社を立ち上げスポーツビジネスに切り込んできた。電通が嫌う汚れ仕事(お金配り)の部...続きを読む分を担ってきたのがアディダスである。このアディダスおよびISLの体質がIOCやFIFAの腐敗体質および放映権の高騰を助長してきたものといえる。本書ではこれらの組織における腐敗を描いてはいるものの、やはり取材が難しいのだろう、表層的な一面を描くのみで、その裏で本当に何が行われていたのかというジャーナリスティックな部分に踏み込むには至らない(特に電通に関する記述については電通側の発言を鵜呑みにした記載となっている印象がある)。とはいえ80年代以降のスポーツビジネスの急拡大の背景を知るには面白い本だと思った。高橋治之の一代記としても面白く読める。
日本のスポーツの美談や美学とは全く違う世界なので、その時点でアレルギーを起こす人もいるかもしれません。 事実としてそういう世界があるということが、長い取材の賜物として分かりやすく書かれている本だと思います。
うわー。悪人ばっかり。 とも言えますし、 歴史って必然なんだなぁ、、、。 とも言えます。 スポーツには、明るい面と暗黒面が両方ある、とよく言われます。中でもサッカーは、中田選手が移籍するときの本などからも、その「半端ない」感が強いスポーツです。 こんな題名で今、出版して大丈夫なの?と思いま...続きを読むすが、中身は至って中立的です。誰が悪いとも決めつけず、当事者への取材と、事実を元にかかれています。 なのに、まるでよくできた物語のように、登場人物がみな「エッジのたった」ひとたちなので、歴史小説を読むかのような感覚になれます。 思惑はどうあれ、マラドーナが世界ユースのアルゼンチン代表として日本でプレーしていたことが、日本のサッカーが飛躍する大きなきっかけになっていたことがわかります。 黙って待っていて、自然にそんな機会ができるわけではありません。 「偶然」のような出来事を、現実にしたひとたち、一人一人の背景が、本当にドラマチックに感じられるはずです。 それにしても、あんなに日本のサッカーに貢献してくれた、ジーコさんに、何の協力もしなかったこと。それも、「返事をせず態度を明らかにしない」対応だったことが、恥ずかしくなります。日本人らしい、といえばそのとおりなのですが・・・。
FIFAの腐敗を語るのかと思ったが、それよりスポーツビジネスの歴史それへの電通の関わってうくプロセスが興味深かった。
現在、日経新聞に連載中の釜本邦茂さんの「私の履歴書」が日本とサッカーの出会いの陽のあたる歴史だとしたら、本書は本来だったら陽の射し込まない歴史なのかもしれません。まだまだ書かれていないこともあるのでしょうが、著者はよくぞインタビューを重ねたものだ、と思いました。たまたまこの前に読んだ小林至「スポーツ...続きを読むの経済学」でIOCとFIFAの巨大ビジネス化にISLと電通の関与したことが指摘されていて、日本の広告会社が巨大スポーツビジネスに「入った」のではなく「作った」ことに不思議な感覚を覚えていたのですが今回の読書によって、なるほど!がいっぱい得られました。
軽い気持ちで読んだ、スポーツビジネスの楽屋噺みたいな本です。 サッカーを観るのは割と好きだし、スキャンダル的なことも含めて、ネット記事を拾い読みするのも徒然に愉しんでいるので。 確かに、好きな人には面白いんです。 戦後から1990年代、いや、2000年代、というか現在にいたるまで。 サッカービジ...続きを読むネス、ワールドカップというビジネス、放映権商売。 オリンピックも含めて、「衛星中継ビジネス」とでも言いますか。 コレは、ほんとにビッグバンというか、ほぼゼロから始まって、巨大な娯楽になり、当然、巨大なビジネスになって、巨額のカネが動いています。 当然そこにはどろどろした人間ドラマもあるわけでしょう。 つまりは、正論から言うと、コネとカネと情実と賄賂が飛び交う、ぐっちゃぐちゃの不正だらけの「アウトレイジ」な世界なわけです。 そこに「日本」という視点を持ち込んで、電通という会社の「イケイケ時代」に、いかにワイルドで力強くてワルな「志士」たちが個人の力でビジネスを作って行ったか、というおはなし。 取材元が電通なり電通OBを含みますから、批判という訳でもなくて、微妙な温度の低空飛行を続けるあたりが、妙味と言えば妙味。 ただ、英雄譚、冒険物語、というエンターテイメントで言うと。 結局は高度成長からバブルという時代に乗った人々の群像という感じで、そこに「理想」や「思想」と言った起爆剤が無い物語、という感もありました。 もうちょっと、ビジネスというゲームに魅せられた人間模様、という切り口で書いてくれると面白かったのか。 ただまあ、ほんと、どれだけ不正があっても「スポーツ」という筋書きの無いドラマの生中継っていうのは、テレビと言う装置の至高のソフトであるんだよなあ、と、改めて思いました。
FIFAへの賄賂で放映権獲得や大会誘致した各国。電通、高橋 治之氏の話。インタビューベースであるため、内容の正確性や、各インタビューイーのバイアスありという点は注意。 ・2002年W杯日本誘致に向けた戦い 電通は子会社にFIFAとのW杯誘致に関するロビー活動を行うための資金を渡した。 具体的には、...続きを読む電通は10%の株を残してスポーツ子会社ISLを売却したものの、売却益のうち8億円はISLに渡した。この8億円は、2002W杯招致のためのFIFAへの“ロビー費用"。電通は手を汚したくないため、ISLに任せた。 のような記載がある。ロビー活動と賄賂の違いが調べても出てこない。グレーゾーンなのかな。 ・興味深い点メモ 坂崎は、自分がスポーツビジネスから離れた理由をこう話した。 「個人が知恵を絞ってやるという世界ではなくなってきた。スポーツのビジネスが組織対組織、大金を払って権利を押さえるという仕事になってしまった。その権利を押さえる金額がどんどん大きくなっている。それで一体、誰が幸せになるの?」 ・笑った 「マラドーナと当時のマネージャーの話は金と女のことばっかりだった。女いないかって。そんな手配はこちらではできないからね。ただ、ワールドユースの直後にマラドーナにコマーシャルをつけてあげたことはあった」 高橋治之氏は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事長。
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