新装版 海も暮れきる

新装版 海も暮れきる

770円 (税込)

3pt

「咳をしてもひとり」「いれものがない 両手でうける」――自由律の作風で知られる漂泊の俳人・尾崎放哉は帝大を卒業し一流会社の要職にあったが、酒に溺れ職を辞し、美しい妻にも別れを告げ流浪の歳月を重ねた。最晩年、小豆島の土を踏んだ放哉が、ついに死を迎えるまでの激しく揺れる八ヵ月の日々を鮮烈に描く。(講談社文庫)

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新装版 海も暮れきる のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2023年12月03日

    読んでいる時と読後と、様々な感情が湧き起こる作品だと思った。そもそも『海も暮れきる』は、尾崎放哉の句の一部だが数ある句の中からこの語をタイトルにした理由を読みながら探したがわからなかった。
    何が放哉をここまで追い詰めたのか、なぜ酒に溺れるようになったのか。私は彼の激しい自尊心が自身を破滅に追いやった...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年01月24日

    口語自由俳律で知られる尾崎放哉。その小豆島での最期の8カ月を描いた作品。享年41。
    酒乱で酒を飲めば攻撃的になる。人の施しによってしか生きられない。どうしようもない人間だと思うのだが、「結核」を病み、家族から疎んじられ、長くは生きられないと悟ると、そうなるのかもしれない。もっと句を詠みたかっただろう...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年01月31日

    人生の最晩年、肺を病み、小豆島に辿り着いた俳人・尾崎放哉。
    五七五にとらわれず、自由な作風で知られた。
    放哉の人生も作風と同じく自由であった。
    むしろ自己中心的である。
    俳人としては有能かもしれない。
    しかし、人としては最低だ。
    日に日に痩せ衰えてゆく放哉を冷徹に克明に描き切った大名作。

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    Posted by ブクログ 2021年08月31日

    物語の半分(か、それ以上)は放哉のお酒の失敗エピソードなわけですが、“酒”というよりは“病”というものが、あるいは、“金が無い”ということがどれだけ人を卑屈にさせ、孤立させるものなのかと恐ろしくなった。

    最初に放哉の心に巣食った病はなんだったのか。
    物語が始まる頃には既に終わりが始まっていて、知る...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年04月05日

    どうしようもないアルコール中毒の俳人、尾崎放哉の最後をいとおしく描いた吉村昭の小説。戦艦武蔵などの戦記物しか知らなかった吉村だが、この放哉への心の寄せ方にこちらも心を動かされた。

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    Posted by ブクログ 2020年01月28日

    お酒は怖い…。一番の印象はこれ。才能があってもお酒に飲まれてしまう身体では、周囲も自分も損なってしまう。でも、お酒から離れられず醜い自分をさらし、あがきながらも生き永らえようとする放哉の姿は痛ましくも人間らしい。

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    Posted by ブクログ 2019年05月24日

    尾崎放哉の人間として最低な後半生を描く。いや前半生も最低な人間だったことも、章内のところどころで描かれており、典型的な才能のある禄でもない人間の人生と末期の苦しみがこれでもかと描写される。

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    Posted by ブクログ 2017年02月12日

    自由律俳句で有名な尾崎放哉の伝記小説。晩年の8ヶ月を描く。
    尾崎放哉の俳句は、高校の授業で習った事がある。種田山頭火や高浜虚子、萩原井泉水などと共に明治大正の俳句について勉強したが30年経った今でも覚えているのは、山頭火の句と彼の「せきをしてもひとり」という哀愁漂う句くらいだ。
    俳人の句は覚えていて...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年11月10日

    「咳をしてもひとり」「いれものがない両手でうける」が中学校の国語の教科書(三省堂)に掲載されている。それらは自由律俳句の代表作として所収されているが、そを作った俳人尾崎放哉(おざきほうさい)の晩年を、吉村昭が描いた伝記文学。
    放哉は、東京大学を卒業したエリートで、俳人としても認められている存在だった...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年03月14日

    吉村昭による自由律俳人、尾崎放哉の評伝。抑えた語り口のおかげで放浪、漂泊のロマンが過度にならず読みやすい。

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