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フリーの校正者として働く秋川美苗は、パーティーで出会った大学准教授の葉山郁夫に急速に惹かれていく。結婚を前提に交際をはじめた美苗だったが、ある晩、葉山が寝言で「マリ」とつぶやくのを聞いてしまう。マリは彼が以前付き合っていた女性で、髪を赤く染めた彼女の“呪縛”から逃れられないという。さらに問い詰めると、葉山は自分がマリを誤って殺してしまったかもしれないと告白した。それを聞いた美苗は、思いも寄らない行動に出る……。
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Posted by ブクログ
校正の仕事をしている秋川美苗.大学教員の葉山郁夫を紹介され気持ちがときめく.食事を重ねるうちに恋が芽生え,将来を話し合う仲になる.郁夫の寝言で西岡麻里の存在が明らかになり,郁夫のやったことを洗い出すが,崖から突き落としたことを突き止めた.証拠を隠滅するために現場に行くが,今度は美苗が同じ目に合い,郁...続きを読む夫は失踪する.麻里の消息を尋ねる中で同居していた宮下昌代に出会い,麻里の状況を把握する.郁夫がトロントでプレゼンをすることがわかり,資料の中に衝撃的な絵を潜り込まで,郁夫のプレゼンを台無しにすることで復讐を成し遂げる.脇役として義妹の絵津子の存在が良い.
美苗は地方都市で校正を仕事にしている。 つまらない印刷物だと思っても、自分の仕事に誇りを持ち、一生懸命やってきた。 しかし、独身貴族とまではいかない。 毎日がやりがいと虚しさで包まれている。 そんな中、彼女は理想的な男性、葉山と出会う。 完璧な男、シックで、知的で......。 しかも彼は結婚を前...続きを読む提にして美苗と付き合うというのだ! しかし、そんなめでたしめでたし、のわけがない。 彼が呼ぶマリという女。 彼女は人格破綻者だった。 愛した男を苦しめる恨みがましい女。 美苗はこの女を抹殺することにする。 ホラーと呼ぶべきだろうか。 せまりくるマリの恐ろしさ、そして、人々の豹変。 人間とは恐ろしい。 脇役ではあるが、美苗の義理の妹、絵津子が私はとても好きだ。 レディース上がり、高校中退、自分より一回り下の絵津子を美苗は好きではない。 彼女の娘(美苗の姪)は知的で恥ずかしがり屋で読書家で、全く両親に似ていない、と美苗は感じ、親近感を持っているのだが、義理の妹は金を要求してくるばかりで好きになれないのだ。 ところが、人は必ずしも学歴で判断はできない。 エリートと不良、単純な対比ではあるが、「筋を通す」「人を見る目」という点では美苗は絵津子に及ばない。 何より素直で裏表がなくて気持ちがいい。 マリは愚かであったかもしれない。 美苗もそうだ。 だが、人を愛するということは愚かで、悲しくて、それゆえに純粋なものなのかもしれない。
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