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“しかと定めもつかぬ颶風が荒れ狂い、その風の吹くまま”右へ左へ流されてゆく若者たち。荒涼たる時代の空間をえがきだして、戦中の暗い時間の中に成長する魂の遍歴の典型をつくりだして、青春の詩と真実を生き生きと伝える自伝長篇完結篇(第三部・第四部)。
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Posted by ブクログ
1936年2月26日、二・二六事件当日の上京から、1943年秋の学徒出陣壮行会後までの時間を切り出した作者の自伝小説。日中戦争・アジア太平洋戦争と続いた「暗い時代」に共に青春を送った、白井浩司、加藤道夫、芥川比呂志、鮎川信夫、田村隆一、中桐雅夫、中村真一郎、加藤周一らとの交流・交友が(仮名ではある...続きを読むが)分析的な筆致で、しかし濃密に綴られている。先輩作家として井伏鱒二や堀辰雄、芳賀檀も登場する。 確か学生時代に一度読み始めて挫折した(当時は何が面白いのか理解出来なかった。。。)が、いま改めて読んでみると、何をするにも国家の眼が光り、自分の身体が自分だけでは始末がつけられないことをつねに意識させられ続けた時代の若い知識人たちの鬱屈が、ひしひしと伝わってくる。桶谷秀昭の著書ではないが、まぎれもなく『昭和精神史』というべき内容。
戦間期に青春があった時代とはいかなるものか、内容は面白いわけだが、それよりもその軽快な筆致、話法に面白みがあるように思う。けして軽い話ではないのに、どーんと暗い気持ちにならず、クスクス笑ってしまうのも、いいな。
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