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遊牧民が発明した「戦争機械」は国家の外部にあり、国家をたえず危機に陥れる。「国家装置」はそれを捕獲し、労働を発明し、やがて資本主義の公理系と結び合う。しかし戦争機械とマイノリティの革命的な生成変化がやむことはない。かつてない国家、戦争、技術、資本への問いから、平滑空間/条里空間の考察を経て非有機的生に向かう壮大な歴史哲学。
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Posted by ブクログ
「リゾーム」「多様体」「器官なき身体(CsO)」「強度」「顔貌性」「非正確(不正確ではなく)」「存立平面」「戦争機械」「抽象機械」といった数々のD-G用語について、おぼろげながら理解した。 本の主題は、資本主義と分裂病なのだが、内容は資本主義の分析にとどまらず、「人間」「言語」「国家」「生命」を、...続きを読む歴史的・宇宙的な規模から考察するどえらい内容となっている。 思考のフィールドが広大すぎて、さすがの翻訳者(宇野邦一先生)も、その全貌をとらえきれないという感じで、あとがきを書いておられる。発刊後43年が経過して、まだ、この本の本格的な解説書は現れていない。 リゾーム概念は、おそらくブロックチェーンやDAO、DeFiといった非中枢型・分散型組織/経済が実装化した現代においてこそ、さらなる発展可能性をもっているような気がしている。
かつて、高価で分厚くやたら重いハードカバーのドゥルーズを、こづかいはたいて買っていた身としては、河出文庫で次々と廉価・軽量に発売されていく状況を見て悔しい気持ちがつよい。 『千のプラトー』だけは買ってなかったので、文庫で購入、早速読んだ。 面白い。 ドゥルーズと言えば「ポップ哲学」などと言われたりも...続きを読むするが、この著作にはまさにぴったりな言葉だ。 ポップということは、ヴィヴィッドで人の目をひくカラフルな表現、そのシニフィアンの連鎖に内容=シニフィエの重さが伴わない、むしろ空疎な構造体を指すが、この本はまさにそんな感じである。 『アンチ・オイディプス』よりもずっと「面白い」この本は、かなり独自で奇抜な着想に満ちており、読者に小説的なスリルを体験させるが、読み終わってみてその体験が非常な重さで影響を残すことは、ない。 ところどころよくわからない部分もあるが、よくわかる部分もある。いずれにしても興味を惹き付ける呈示の仕方は抜群で、興奮させる。 しかし「リゾーム」「遊牧民(ノマド)」「脱領土化」といったキータームの数々は、最終的に「だから何なのよ?」という感じがする。刺激的で革新的ではあるけれども、結局は空疎で、ポップ特有の軽さの感覚しか残らない。 ずいぶんフロイトを批判しているが、実はそのやり方はステレオタイプで、陳腐な感じがした。『アンチ・オイディプス』を読んだラカンが感動してドゥルーズに「君のような弟子がほしかった!」と言ったらしいが、ラカンはその本を理解しきれなかったのではないか?と思える。 だがまあ、頭脳を刺激し、いつもとは違う視点で世界を考え直してみたいとき、高度に難解な小説を読むような気持ちで哲学書を読んでみたいとき、この本は得難い価値を持つだろう。
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