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日本が最も激しく揺れ動いた一八五七(安政四)年から一九三七(昭和一二)年までの八〇年間。近代日本の劇的な歩みを六つの時代に区分し通観する。わずか数十年の間に「近代化」を実現しながら、「崩壊」へと突き進まざるをえなかった原因はどこにあるのか。史料を精緻に読み解くことで近代史をダイナミックに捉えなおす。
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Posted by ブクログ
幕末から昭和初期までを解説する一冊。 教科書の年表では1行で述べられる事件・出来事を有機的なものとして関係づけていることに価値がある。 たとえば、 板垣退助がうっかり(?)「納税者には政治参加の資格がある」と書いたことが、当時唯一の国税(地租)納税者であった地主層の政治意識を刺激し、開設された国会...続きを読むにおいては地主層の主張(地租軽減)が主流になり、「超然主義」を生んで膠着状態になったが、日清戦争の賠償金を地方振興に回すことで地租軽減の代わりとし(インフレによって絶対額であった地租の負担が相対的に低下したこともあって)、政府と結びついて利益誘導を図る自由民主党の源流が生まれた… のような感じで、連続的な因果関係が述べられている。 一方で、その時々において複数の主張・勢力が争っている様も描かれていて、歴史の進展が一直線な、必然的なものではないこともわかる。 それだけのことを丹念に述べるのだから、新書版で400ページを超える大部になるのも無理はない。 その作業を追いかけて読み終えたところで「あとがき」の一文はとても説得力がある。 「「国難」に直面すれば、必ず「明治維新」が起こり、「戦後改革」が起こるというのは、具体的な歴史分析を怠った、単なる楽観にすぎない。」
結構分厚い新書ながら一挙に読めて面白い。 政治の主導権を誰が握るのか、どういった構想が支持を得られるのか、さまざまな政治主体が絡み合う複雑な日本近代史(1857-1937)を改革、革命、建設、運用、再編、危機6段階に分けて叙述され、説得的な説明・解釈がなされている。ただし、これはあくまでも政治史か...続きを読むら見たネーミングであるので、その辺は気をつけたい。例えば、1880年代、松方財政の始まりとともに政治上の勢力としての「富国派」は挫折するが、民間主導の経済発展はまさにこの時代(運用の時代)から始まるのだから。
タイトルの通り、1857年から1937年の80年間の日本近代史を、「改革の時代」、「革命の時代」、「建設の時代」、「運用の時代」、「再編の時代」、「危機の時代」の6つに区分して概観する本である。とにかく、史料を丁寧に読み解き、一般的に理解されている日本近代史の歴史的な理解をさらに迫っていく。 高...続きを読む校時代、日本史Aを習ったが、高校日本史の一般的な知識があると、教科書的な理解よりももっと深く、強いて言えば当時の政局判断・政策判断のウラの面がより分かって面白い。高校時代に習った日本史の内容がまさにドンピシャリだった。 特に大日本帝国憲法(明治憲法)制定後の帝国議会の政局について、教科書の一面的な理解を超えて、現代よりもいろいろと制限が多かった時代の中でも、民主的な社会を目指して試行錯誤が繰り広げられていたことがよく分かる。読んでいくと、戦前の日本の国家運営の失敗やなぜ大規模な戦争へと暴走していったのかの理由として、一般的に言われている「軍部の暴走」とか「市民的自由の権利を制限した」とかもあるけれども、政治家、軍部、官僚が個々の思惑や外交情勢、経済情勢、社会情勢などの要素ファクターを鑑みて政策判断をしようとしても、憲法や議会や制度上での手続きによってすぐに政策決定ができない仕組みによるものもあることが分かる(所謂「決められない政治」と言うもの)。乱暴に言えば、議会や軍部や官僚らのいずれかが行動しようとしても、相互に統一した決定がなされない以上、すぐに政策として実行できないことが挙げられる。要は戦前の日本は戦後以上に個々の縦割りが強かったことが分かる。 その後、戦争へ突入し敗戦へ至る時期を著者は「崩壊の時代」としているが、ここについて書く前に内容を終えている。
凄い本である。何があったのかを教えてくれる歴史書は数多くあるが、おきた歴史的事実の意味を政治風景まで理解しやすくつづった本として、本書は最高の本ではないだろうかと思えた。 本書は1857年(安政4年)から1937年(昭和12年)までの80年間を「改革期」「革命期」「建設期」「運用期」「再編期」「...続きを読む危機期」「崩壊期」の6段階に分けて考察している。 そのどれもが単に事実の羅列に終わることなく、どれもが興味深い指摘と考察を繰り広げている。 「革命期」において「江戸城総攻撃が行われ、旗本から会津藩までのすべての幕府勢力が降伏したとすればどのような事態になったであろう。江戸落城で形の上では官軍の圧勝に終わったとしても、新政府の関東、東北支配は名ばかりになったのではなかろうか」とは、実に冷徹な指摘である。 なるほど「旧幕勢力を温存させた上での王政復古とそれを内戦で壊滅させた上での王政復古の違いは説明を要さない」。「単純なる勝利」より「血を流した勝利」とは、果たして西郷隆盛はそれを意図していたのだろうか。 「明治憲法」を伊藤博文が大変な情熱で導入したことは知ってはいたが、その背景に「中央政府の正当性の根拠があまりにも薄弱だった」ことがあるとは驚きである。 「建設の時代」を読むと、「征韓論分裂」や「西南戦争」を引き起こした明治政府内部が4つの「政治勢力」に分かれて「路線」をめぐる「政治抗争」を行っていたことがよくわかる。 これも現在とは違って、当時は、政治方針を大衆にわかりやすくアピールすることはないから、本書のような解説・考察がなければ当時の政治風景は読めない。 「運用の時代」にしても「議会を開設すれば、当時地租以外には直接国税はなかったのだから有権者の多数は農村地主になる・・・議会を開設したら議会の第一要求は自分たちだけが負担する地祖の軽減になるだろう」「松方デフレと国会開設は両立しないのである」とは慧眼である。なるほど、当時のシステムはこういう問題を抱えていたのか。 また、大隈重信・福沢諭吉の「イギリス型議院内閣制」にたいし、伊藤博文・井上毅の「ドイツ型専制憲法体制」との争いを読むと、「大隈重信の明治14年の政変」の理由も背景も理解できるように思えたが、もしこの時に日本が「イギリス型議院内閣制」を選択していれば、その後の太平洋戦争の破綻の道とは違う道があったのだろうかと慨嘆する思いを持った。 本書は、「歴史的事実」のみではなく、「政治システム」「経済」まで網羅した説得力のある考察を行っている。 「再編の時代」の考察では「人口4000万人のうち、わずか約50万人の農村地主が参政権を独占」とある。なるほど、これでは議会で地祖の増税が通るわけがない。当時の政治の選択にはそれなりの理由があることが、やっと見えてきた思いを持った。 1930年代・昭和初期の「危機の時代」の風景はさらに凄みがある。本書で引用した「宇垣一成」の日記の記載「現在では、政党-軍部-官僚-左傾-右傾・・・如何にも争いが小キザミとなり来たれり」には驚く。 政治はやはり多くの政治勢力の大同団結によって安定するのだろう。「情勢の流動化」とは、「小キザミとなった政治勢力」がコントロール不能にバラバラに動き出すことだということがよくわかる。 ここまで読んで、2012年の民主党政権の崩壊を思い浮かべた。政治の動きは時代をこえて繰り返すのだろうか。現在の安倍政権も支持は「アベノミクス」次第である。これが上手くいかなければ「小キザミとなった政治勢力」の動きにより、一気に情勢は当時のように流動化するのだろうか。 本書は、日本の歴史を新しい視点で見ることができる凄い本であるが、表題は実に陳腐である。これでは本棚にあってもなかなか手に取る気にはなりにくい。もう少し工夫はなかったのだろうかとも思った。
明治維新から大政翼賛会までの怒涛の450ページ!近代は現代の先駆けであり、現代は近代の再構築であることという、歴史の連続と非連続がめくるめく。ちょっとEテレの「さかのぼり日本史」の1年目を見た時の「そうだったのか!」という納得感を思い出しました。きっと歴史という時計の針が進むのはそれ以前に針を進ませ...続きを読むようとする人々の模索の積み重ねであることがテーマだからでしょう。とにかく個人という点が相乗作用しあって歴史という線になっていく。教科書的には「富国強兵」と四文字熟語でくくられてしまうスローガンも大久保の「富国」vs西郷の「強兵」というように対立し紆余曲折を経て生まれてきたもの、という事例のように数々の論点が様々な個人の主張によって勝ち負けが決まり、ターニングポイントを曲がってきたことがライブ感を持って迫ります。ただ、勝ち負けといってもそれは一瞬のことで今日の勝者は明日の敗者となり、近代史の登場人物はすべて結局、勝てなかった人々であり、彼らの構想を超えて進んでいくのが歴史なのだ、という印象を持ちました。しかし、いや、だからこそ、議論すべきテーマをちゃんと設定出来るかどうか、ちゃんと決定出来るかどうかで、未来の在り方が変わるということを本書は訴えていて、それこそが2013年の今日的なテーマなのだと思います。
間違いなく良書だと思います.浅学な私にとってはお腹一杯の一冊なので,また改めて読み返したいと思います.
日本史(歴史)嫌いで、高校の授業はほぼ昼寝でやり過ごした私ですが、この本を機に歴史への興味を取り戻せそうです。 明治維新から日中戦争までの近代を6つのフェーズで捉えなおし、それぞれにキーワードを与えて論じていますが、区分自体に大きな意味は無いように思えます。むしろ、これらのフェーズを通じ現れては...続きを読む消えるさまざまな対立軸(e.g.「公議輿論」-「富国強兵」、「積極財政」-「緊縮財政」、「政友会」-「憲政会」etc.)に焦点が当てられており、これらの対立軸が3次元的に重なり合いながら時代を織り成すさまが鮮やかに描かれています。 個人的には、二・二六事件直前の混乱期、宇垣一成(朝鮮総督だそうですが、この本を読むまで知りませんでした)の言葉「現在では…如何にも争いが小キザミと成れり来り。これは果たして何を物語るか?」が印象に残りました。政治的対立軸の過細分化とリーダーシップの弱体化を案じての言葉ですが、現代日本のおかれた政治的状況と相違点を探すのが困難なほどです。
すでに評判が高くなっていますが、なかなかおすすめできる一冊です。題名は「日本近代史」ですが、「日本近代政治史」というほうが正確でしょう。80年位前までの歴史とはいえ、自国の政治史を誰もが納得できる様に客観的、実証的に記述することは、困難というより不可能だと私は考えています。この本にしても、引用してい...続きを読むる史料は、著者の提示する構図を補強するものばかりが選択されている可能性もあります。それを疑念を持って読むことも良いでしょうが、まずは著者の提示する歴史像を理解することでしょう。 随所に散りばめられている、著者の現代日本政治に対する危機意識にある程度共感できるなら、面白く読めると思います。
現在の日本の現状を、1937年の、崩壊の始まりに直面していた日本の当時になぞらえる著者のあとがきは、本文を読めば納得させられるものがある。危機を深化させ崩壊をもたらした昭和維新に、今のどのような状況を見ているのかも良くわかる。筆者は、亡の次には興がくる、そのリーダー達はすでに出番をなっているはずだと...続きを読む書いているが、今、我々が選択を間違えば、再び「崩壊」を経験しなければならないことになるのだろう。しかし、選択肢は余りにも乏しく感じる。
東京大学名誉教授(日本近代政治史)の坂野潤治(1937-)による、近代日本における憲政史概説。 【構成】 第1章改革 1857-1863 1 「尊王攘夷」と「佐幕開国」 2 西郷隆盛の「合従連衡」論 3 単独出兵か合従連衡か 4 「尊王攘夷」の台頭と薩長対立 5 混迷の文久二年 第2章革...続きを読む命 1863-1871 1 西郷隆盛の復権 2 公議会 3 薩長同盟 4 「公議会」か「武力倒幕」か 5 革命の終焉 6 「官軍」の解散と再編 第3章建設 1871-1880 1 「建設」の青写真を求めて 2 「強兵」と「輿論」 3 「富国強兵」と「公議輿論」 4 「公議輿論」派の分裂と「富国」派の全盛 第4章運用 1880-1893 1 農民の政治参加 2 「富国」路線の挫折と立憲政体構想の分化 3 「強兵」の復権と日中対立 4 憲法発布と議会開設 第5章再編 1894-1924 1 積極主義と立憲政友会の結党 2 日露戦争と政界再編期待 3 大正政変 4 「民本主義」の登場 5 「憲政の常道」と「苦節十年」 6 原敬内閣と「民本主義」の対立 第6章危機 1925-1937 1 内政・外交の両極化 2 危機の顕在化と政党の凋落 3 危機の渦中の民主主義 4 「危機」から「崩壊」へ 本書はそのタイトルに日本近代史を謳っているが、その中身を見れば、憲政史の通史と言えるだろう。外交史でもなく政治過程論でもないので、痛快さも泥臭さもない。政体の模索-確立-運用のダイナミズムが示されている。 冒頭から一般的な通史とは異なる分析が連続する。幕末史を尊王-佐幕、開国和親-佐幕という二つの二項対立だけではなく、いかなる「政体」を求めるかという点、その軸に西郷隆盛を据えるあたり面白い。そして、諸侯からなる上院と志士層からなる下院の合従連衡を目指すステップの具現化が「薩長同盟」であり「薩土盟約」であっと論じる。 ただ、辞官納地した大大名・徳川慶喜に対して、新政体における薩長のプレゼンスを維持せんがために武力討伐に踏み切る部分については、やはりしっくりこない部分がある。 憲政史である本書のクライマックスは明治新政府が憲法を制定するまでの過程すなわち、第3章と第4章となる。 征韓論争、台湾出兵、西南戦争を経て、西郷が死に、木戸・板垣が野に下った。 残ったのは大久保が唱道する「富国」つまり殖産興業への道であったが、これも早期に限界が見える。その限界の主因となったのが、唯一の直接国税にして、金納固定税であった「地租」であったとは、これまで意識したことがなかった。 しかし、1880年代の農民民権の拡大、議会開設直後の初期議会が地租軽減を叫ぶ地主層の意見表明の場となったことを考えれば、この租税の重要性は計り知れない。 西南戦争後の松方財政によるデフレ政策と、山縣有朋による軍拡志向の板挟みにあったのは地租を納める農民であった。結局は規模の小さな自作農が没落し、地主の腹が肥えて、減税を訴える求心力となった。 本書の面白さは帝国憲法の特色を、天皇大権等(後半の章で触れているが)ではなく、予算編成と徴税権に求めるところにある。しかし、著者が主張するこの文脈を押さえることで、その後の自由党から立憲政友会へのブリッジが見えてくる。 伊藤博文が総裁に座った立憲政友会の設立以降の政治史については、坂野氏自身の先駆的な研究成果も相まって、これまで他書において十分語られてきた内容とそう変わらない。 紙幅の関係もあるだろうが、原敬や浜口雄幸の人物像にしろ、本書における政友会と憲政会(民政党)の政策軸にしろ、いずれもやや単純化し過ぎているように感じる。 ごく短い期間ながら機能してはずの、政党政治がなぜ機能不全に陥ったのかについては、その時々の情勢もあろうが、もう少し構造的な課題があるのではないか。 しかし、いずれにせよ、政党政治・議会政治の危機に瀕していた1935年に、最大政党であった政友会が、美濃部達吉の天皇機関説を批判し、議員辞職に追いやったことが、近代日本の議会政治の未熟さを象徴していたと言えるだろう。 評者はこれまで、まともに日本近代史を勉強したことがなかった。 そのため日本の近代が築き上げた構造について、考える材料すらもたなかった。 本書はそのような勉強不足の人間に、考える材料を提供してくれる格好のテキストである。 政治を形作る場である「議会」とそれを支える「憲法体制」がいかに確立され、運用されたのかを知ることで、日本近代史が破滅へと向かった原因一つが見えてくる。 それにしても、法律学の学者が言う大日本帝国憲法の特色と歴史学者が提示する大日本帝国憲法と議会政治の運用はなぜかくも乖離しているのだろうか。言うまでも無く、法学部の教科書に指定されている憲法の本よりも、本書の方がはるかに明治憲法体制の本質を論じている。 実証主義を旨とする歴史家にとって、通史を書くのは並大抵のことではない。 しかも日本近代史80年の通史である。 新書とは言え450頁あまりとなるこの大著を完成させた近代政治史研究の泰斗に改めて感服する。
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