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「なぜかくも多様な生物がいるのか」。ダーウィンはひとつの結論にたどり着いた。すべての生物は共通の祖先を持ち、少しずつ変化しながら枝分かれをしてきたのだ。つまり、「じつに単純なものからきわめて美しく、きわめてすばらしい生物種が際限なく発展し、なおも発展しつつある」のだ。予想される反論や異論を封じ込める緻密な議論を展開してその驚異的先見性を見せつけた、科学における最重要書のひとつ、ここに完結!
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Posted by ブクログ
下巻では、生物の緻密な観察に加えて、主に地質学などの地理的条件を交えて「自然選択説」に関する論証を重ねている。 本書は、有名なガラパゴス諸島の生物についての考察がメインであると勝手に想像していましたが、実際は少しだけ登場するだけだったので驚きました。 「自然選択説」は誤った解釈に用いられるこ...続きを読むとが多いですが、ダーウィンが本当に伝えたかったのは「全ての生物は共通の祖先を持ち、環境に応じて姿形を変えながら少しづつ変化を遂げてきた」ということを理解しました。現代の「生物学」の幕開けを感じる大作でした。
Unlimitedで読んだ上巻がよかったので下巻を自費で購入。 地質学まで踏み込んで、進化の途中段階が見つからないのはなぜか、を解説。さらに、古い地層には原始的な種が見つかり、基本的に原生の種は出てこない。 とにかく驚くのは、メンデルの遺伝の法則も、大陸移動説も知られていない時代に、かなり核心を...続きを読むつく考察を行っていること。 なぜそれができたのかは、自然についてじっくりと向き合ってきたからだろう。20代のうち6年も費やしたビーグル号の航海も大きく影響したはずだ。 進化論に異論は多いが、彼らがダーウィンほどに自然と向き合っているのかは疑問に思う。
言わずと知れているが、未だ必ずしも正しく理解されていないところがある、ダーウィンの主著。 本書は、ダーウィン自身が述べるように、その全体が大きな1つの論証となっている。 すなわち、生物の起源を説明する理論として、自然淘汰説がいかに正しく、他方で創造説がいかに誤っているかを、膨大な論拠をもって論じて...続きを読むいる。 自説への反論をも「難題」として詳しく検証し、分からないことは分からないと明言する姿勢は、極めて潔く、「科学的」である。 全体を通して、創造説と闘いながら、生物の起源に見事なロジックで迫っていく、ダーウィンの強い意気込みが感じられる。 下巻末の「解説」では、ダーウィン以降の生物学の発展に触れられており、その進歩の著しいスピードや、ダーウィンの先見の明に改めて驚かされる。 この部分を先に読んでおくのもアリだろう。 入念すぎるほどの論証であり、すぐに読み切ってしまえるようなものではない。 しかし、ダーウィンの思考をよく理解できるように丁寧に訳されており、訳文はかなり読みやすい。
チャールズ・ダーウィン『種の起源』と 川端康成の『山の音』を平行して読み上げました。 『種の起源』は言わずと知れた近代生物学の礎となった大著、 方や。あの山本健吉をして「戦後日本文学の最高峰」と言わしめた名品です。 実を申し上げますと、『種の起源』は学生時代から何度か挑戦し、 いつもその難解さに断...続きを読む念していました。 それが、光文社古典新訳文庫版でやっと読み終えることができました。 原書を読んだことがないのでよくわかりませんが、 翻訳家によりますとダーウィンさんは悪文で有名なんだそうです。 だから、英国国教会が「あなたを誤解し、最初の我々の反応が誤りだったために まだ他の人々があなたを誤解していることに対して謝罪する」 という表明をようするまで、150年近く時間を要したのでしょうか(笑) 一方、『山の音』は透明で繊細な筆致は、 『伊豆の踊子』『雪国』を読んでいるようです。 その分、主人公の年齢は徐々にあがり、この作品にいたっては 私と同年代になっています。 私は自分のことのようにして読みふけりました。 さて、『山の音』を読んでいますと、野良犬のテルの話が出てきます。 息子の嫁がその犬の乳の数を数えると10個あるそうです。 で、調べてみますと、猫は8個、牛4個、豚ななんと14個、 そして猿は人と同じ2個だそうです。 でも、雄にも同様の数の乳があるはずです。げんに私だって2つあります。 所がダーウィンさん自然淘汰の説に寄れば、 不要器官はやがて退化し、無くなってゆくのではなかったでしょうか? つまり男性のオッパイは無くなってゆくハズですが~ そこで昔読んだ本のことを思い出しました。 永田和宏「タンパク質の一生」(岩波新書)という本の中に、 『元々は雌になるべく発生してきた胎児が、 ある特定のタンパク質を作り出した場合だけ雄になる』 つまり、女は「存在」だが、男は単なる「現象」にしかすぎないのだそうです。 それがため、染色体の数も女性の方が1.020個多いそうです。 世の男性諸君、崇高なる女性に喧嘩を売ろうなんてこと ゆめゆめ思ってはなりませんぞ! 敵はあなたのはるか上をいっております。
感動した。 前半は難しくて頭に入ってこなかった()けど、中盤以降は膨大な時間の流れを感じてぞわぞわした。身の回りの生き物皆同じ祖先を持つのかと思うと目眩がする。となると人間なんて皆兄弟とか親戚みたいなもの。そう考えたら他人にも少し優しくなれそう。解説のところにもあったけど、人間がどこから来てどこへ行...続きを読むくのか、人生とは何か、などなど考えさせられました!150年前にこの考え方が出てくるのがほんとにすごい!
読もうと思った理由 前巻と同じ 気づき ・自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。 個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出さ れ維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らか の利点を有しているからである。一方、そうした利点 のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる ...続きを読む・変化した子孫をたくさん生み出す優勢な種類は、長い 時間をかけて分布を広げていく。そしてその結果とし て、類縁関係にある変化した子孫が世界を席巻してい く。一般にその理由は、優勢な種類の子孫が生存闘争 において劣った種のグループにとって代わっていくか らだと考えればよい 進化論は当時、社会から認められなかったが事実をきちんと理論立てて説明して根拠をもって語っていることがすごいと思いました。
「種の起源」を読むと進化論の発表に際してダーウィンがどれほど慎重だったか窺える。宗教家やナチュラリストからの想定反論に対してあらゆる視点から検証し論理武装した結果、学者から一般読者に至るまで広く遍く多大な影響を与える一冊となったといえる。地質学や地域分布も面白いが、特にシンクロニシティに触れている点...続きを読むは革新的な着眼点だと思う。 歴史的名著は、エッセンスを知っていても、実際に読むことが新しい着想を得られるものだ。
上下巻合わせて約15時間かけて読み終えた。用意周到で徹底的な論証を追うのはここまで大変なものなのかと肌で感じることができた。この経験は分厚い本を読むかどうかの一つの判断として役に立つだろう。
下巻では地理的条件などさらに議論の範囲が広がっている。 あくまでエビデンスを身上とし、そのため不確定なところでは断定を避けている。 そのためか、ページ数のわりに主張に精彩を欠くように感じてしまう。 それは現代からみるとそうだ、というだけなのかもしれないが。 なんにせよ冗長ではありつつ読みやすいので、...続きを読む一読してみることを勧める。
上巻に続き、とても深い研究書である。150年前に書かれたとは思えないほど、進化論について緻密な研究に基づく詳細な記述がある。驚きの一冊。 「自然は、個々の生物自身の利益になりそうなことならば、膨大な時間をかけてゆっくりとたゆむことなく生物の体のつくり全体に働きかける。そして、どれか一つの種に由来す...続きを読むる複数の子孫の生殖機能を、相関作用の法則を通じて変更することができる。つまり、一カ所を変えると、それに応じて次々と別の箇所の変更も進むのだ」p56 「長い目で見ると、同じ地域にすむすべての種はなぜ最終的には変化するのかという理由がわかってくる。変わらない種は絶滅してしまうからなのだ」p129 「自然淘汰説が基盤としている考え方は単純である。個々の新しい変種、最終的には個々の新種が生み出され維持されるのは、競争相手となる種類よりも何らかの利点を有しているからである。一方、そうした利点のない種類は、ほぼ必然的に絶滅することになる。これが基本的な考え方なのだ」p137 「私の学説によれば、ある特定の意味では、新しい種類の生物ほど、高等なはずである。なぜなら個々の新種は生存闘争において、先行する他の種類よりもなにがしかの利点をそなえることで形成されるからである」p164 「小型ほ乳類が野生化した島は、必ず大増殖している」p255
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