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19世紀末のパリに現れたふたりのゴッホ。のちの天才画家の兄フィンセントと画商の弟テオドルス。 子どもの頃から兄の才能を評価し、その絵を世界中に広める野望をもった弟は、マイペースを崩さない兄にやがて嫉妬と怒りを覚えはじめる。だが、兄の身に起こった衝撃の事態を前に、弟はある作戦を仕掛ける決断をした・・・。 兄と弟の切ないまでに純粋な伝記ロマン、堂々の完結。
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Posted by ブクログ
19世紀末のパリ。 画壇界を席巻するパリ一の画商 グーピル商会のテオドルス・ファン・ゴッホ。 街に生きる普通の人々や 労働者たちのありのままの姿を描きたいと願うテオドルスの兄で、 のちの天才画家フィンセント・ファン・ゴッホ。 この漫画はそんな二人のゴッホの絆や確執を描いた 伝記ロマンです。 ...続きを読む高い志を持った 日の目をみない芸術家たち(ボヘミアン)から 権威の犬や保守側の人間だと思われていたテオドルス・ファン・ゴッホが、 「体制は内側から壊すほうが面白い」と言った まさかのセリフから 一気に引き込まれました。 (巨悪や権威に立ち向かう男たちほどカッコいいものはないもんね~笑) 貴族の肖像画や神話を元にした従来の権威主義の芸術とは違い 生活の中にある「ありのままの素晴らしさ」を描いた テオドルスが企画したアンデパンダン展によって 美術革命を起こそうとする若き志士たち。 そしてその行動は 金持ちの美術蒐集家ではなく 一般の街の人たちから圧倒的な支持を受けるのです。 上流階級のためにあった「芸術」というものを 市井の人々のものにし、 貧しさに喘ぐ多くの人の人生を 美術によって救おうとする若き志士たちの行動は 素直に胸を打つし、 美術は労働者たちにも解るものだと唱え、 人間のありのままの姿を包み隠さず描く革命は 危険であったハズのロックという音楽が1970年代に入り テクニックを重視しどんどん高尚なものに鳴り果てていく中で現れた 「パンク」というロック界の「揺り戻し」現象とカブってきて 個人的にはかなり共感しました。 もし、誰もが知っているゴッホのストーリーが 実は作られたものだったとしたら… そんな斬新な発想と視点から 新たに紡がれたストーリーは 二人のゴッホの絆と 兄の才能を嫉妬する弟の葛藤を 実にスリリングに そしてミステリアスに描いていきます。 しかし、作者の穂積さんは デビュー作の「式の前日」のときから思ったけど、 やっぱこの人は天才ですね~。 わずか2巻の中に これだけ濃厚なドラマを凝縮できる才能は稀有だと思うし、 天性のストーリーテラーだなと思いました。 映画『アマデウス』のモーツァルトとサリエリ、 西川美和監督の傑作『ゆれる』の オダギリジョー演じる写真家の弟と香川照之演じる冴えない兄、 『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』の凡人の姉ヒラリーと天才の妹ジャッキー、 『ソーシャル・ネットワーク』の 真面目な優等生だが仕事のセンスのないエドゥアルドと 友達のいない変人だがやることなすこと上手くいくセンス抜群のマークなどなど、 才能を持つ者と持たざる者の対比を描いた映画や小説は多い。 才能を持つ者は持たざる者の苦悩を理解できないし、 そもそも自分が才能を持つ者であることにすら気付かない。 反対に才能があるが故の 誰にも理解できない孤独感ってのもあるんですよね。 兄と弟の絆や確執がメインテーマではあるけど、 保守的な美術界を変えるために戦った 若き志士たちの記録として見ても なかなか面白い作品です。 全2巻。
よかった
ずっと書店でみて表紙で面白そうだなと思ってたけど、なかなか手に出せなかったものでした。 でも、読んでみて2人のゴッホ の物語が何処からが本当か何処からが作り物かわからなくなるようなゴッホの絵が見てみたくなるような素敵な作品でした。
こんなお話がもっと読みたい
何の気無しに読んだのですが、読めて良かったと思いました。 ゴッホの、自画像や亡くなり方から受ける気難しいイメージがガラリと変わりました。 この話の主役、テオの行動や想いが切ない。描かれてる二人の関係が胸に来ます。 読んだ後ゴッホの絵を何度か観に行きましたが、このお話を思い出してちょっと泣きそう...続きを読むになります。
#切ない #感動する #深い
すべては兄のため。 フィンセント初めての怒りの果ては、 兄弟の絆と宿命への道。 兄の死に、テオがとった行動は驚愕!! ものすごい想像力です! こんなゴッホ兄弟、考えつきませんよ~。
これは良かったな~。2巻完結っていう潔さも素敵。長く続けようと思えば続けられたと思うけど、作者的に一番描きたかったのが、きっと2巻の後半、ゴッホの人生はでっち上げられたもの、っていう設定だったんでしょうね。個人的には正直、ゴッホの絵によって救われる人たちを描いた、1巻の展開の方が好きだったんですが。...続きを読むでもそれを続けたら今度はマンネリっていう問題が出てくるだろうし、作品全体のバランスで見ると、絶妙なのかなって思います。
創作の醍醐味か。 歴史小説をはじめとして、実在の人物をモデルに創作することはよくある。しかし、通常はそれが創作だと分からないように、あたかも本当であったかのように描く。読者はすっと受け入れるのが通例だ。 この作品の漫画史を画する部分は、確信犯的に、読者にそうと分かるように、創作したことだ。正直す...続きを読むぎるといってもいい。たいていの読者は、すでにある意味、作られたゴッホ兄弟のイメージを持っているため、裏切られたと思う。評価もしないだろう。 しかし、本作で見逃してはならないのは、二人のゴッホの本質を捉える努力をしていることだ。わざとらしい構成を使いながらも、「いまの時代」につらなる美のあり方を伝えることに成功していると認めないわけにはいかない。
死んでから有名になった画家。と有名な絵くらいしか知識ないまま読みました。 当然、昔の人だから生い立ちはいろんな仮説があって、おもしろい。これ読んでつい調べてしまいました。 確かに絵だとかアートで評価されることの難しさを感じました。ただうまくだけでは注目されない。後半の生い立ちの捏造の件は引き込ま...続きを読むれました。
テオとフィオの兄弟の絆のお話。 途中でゴッホのお話だって気付いたけど、ゴッホは亡くなってから有名になった事と自画像くらいしか知らなかったので先入観なしに読めた。 一巻では、一見完璧な男テオの、兄の才能に嫉妬してる様が垣間見れたあたりで切なくなってしまった。 二巻ではそんな2人の兄弟の絆に涙。 ...続きを読むもう少しフィオがテオの元を離れてからのフィオが見たかったなー。 怒りの感情を知ったフィオが、絵を描きながら世界の美しさを改めて実感した三年間。 読んだ後の充実感が二巻で完結とは思えない!
どちらが本来の、画家・ゴッホの人生だったのかは私はわからないけれど、どっちにしろ「炎の画家」の気質はしっかり持っていた人物なのだろうと思う。 才能がある人間のその才能を目の当たりにした時の絶望とか哀しみとか嫉妬とか、弟のその葛藤を昇華させるほどの才能だったのだろうな、兄の才能。 そして兄が憧れた弟の...続きを読む才能もまた、優れたものだったのだろう。 たまたま広告で見かけて買ってみた作品だけど、面白かった。 ラストがちょっとありきたりだったので(事実なのだろうからしかたないけど)★4つ
なるほどな〜〜。こうやってテオが作り上げた「フィンセント・ファン・ゴッホ」を見ているのが今の私達なのか。テオ最期まであっぱれだったよ。 上下2巻でとてもよくまとまった話だと思った。 このテオを良知真次さんで演じられる姿を見れるかと思うと、とても楽しみ。
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穂積
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