万延元年のフットボール

万延元年のフットボール

1,716円 (税込)

8pt

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。谷崎賞受賞。

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万延元年のフットボール のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    読み終わった後しばらく放心して、自然と一人一人の決断や行動の意味をずっと頭の中で考え直していました。読む人によって受け取り方が大きく変わる、そして考えさせる非常に奥深い作品でした。
    一言で到底言い表せないけど、「破壊」と「再生」という言葉が私にはキーワードとして浮かびました。

    登場人物の多くは、地

    1
    2025年09月07日

    Posted by ブクログ

    大江健三郎はあまり好きじゃないけど、これは面白かった。人が暴徒化する過程がしつこく書かれていて読み応えある。

    でも、この“しつこさ”が活きたのは初期の頃までかな。後の「同時代ゲーム」とかは読んでいられなかった。
    正直言って、この人がノーベル賞とったのは日本の文学界にとって不幸だったと思う。わかりづ

    1
    2019年07月07日

    Posted by ブクログ

    今の我々、若者にはこのフットボールの精神などはない。ましてや、一揆などという気概は殆どといっていいくらいない。それが良いか悪いかではなく、自分の内として経験ないことがこの評価たらしめる要因ではあった。(蜜にもないと思う人もいるが、蜜自体は一連の流れに身を任せていないだけで経験はしている。)
    だからこ

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    読み終えるのに時間がかかった。なぜその場面が組み込まれているのか、登場人物の言動は何を意図しているのか、理解できていない部分も多いと感じる。

    主人公は、ほかの登場人物や故郷の谷間から一歩引いてそれらを観察し、自身についても内省を重ねているが、谷間での出来事を通じて自分自身に気付いていく。その気持ち

    0
    2025年05月23日

    Posted by ブクログ

    ノーベル賞作家・大江健三郎の骨太な長編。安保闘争に敗北し「政治の時代」が終わりを迎えた鬱屈した時代感の中で、性や障害、記憶、歴史といった実存主義的なモチーフが次々に繰り出され、グロテスクで仄暗い小説世界が形成される。

    全編を通じて飽きさせないが、中でも第1章が出色。一文が極端に長く、比喩も多用され

    0
    2024年08月20日

    Posted by ブクログ

    大江健三郎の最高傑作と評されていたので、温めて置いていましたが、現時点では個人的にもやはり最高傑作でした。読み終わってすぐ2周目を始めてしまったほどです。

    重厚な構成、有機的で現実的なメタファー、極限状況からの脱出、魂の浄化。巧みな文章力に、自室で1人でため息を漏らしていました。
    「魂の浄化」とい

    0
    2023年06月02日

    Posted by ブクログ


    文学的な位置でも自身の中の位置でも最重要な一冊。
    この特濃の内容とゴテゴテの文体を1人の人間が描いているのが恐ろしい。
    初オーケンでこれを選ぶと胸焼けする可能性があるが、本作以降も擦られ続ける主題であり向き不向きを決める上でも必読書だと思う。

    0
    2022年09月15日

    Posted by ブクログ

    日本人でありながら、自国からのノーベル賞受賞作家作品を読んだことがないのもいかがなものか、と思いまして。で、その大江作品の中、例の福田書評集で最も高評価だった本作をチョイス。勝手な印象だけど、何となく読み心地は村上春樹風。それをもっと小難しくした感じというか。あと思ったのは、英語みたいな日本語だな、

    0
    2017年08月28日

    Posted by ブクログ

    彼自身の状況を象徴するような「どん詰まり」の谷間の中で、最後に思いもかけない地下室を発見するところがなんとも言えず爽快。この頃から円環の要素が出てくるのか?万延元年の出来事に似たことが再び繰り返されるならば、出来事というものが反復されるならば、万延元年の事件の思いもかけない「抜け道」であった「地下室

    0
    2013年04月06日

    Posted by ブクログ

    カラマーゾフ読み終わってから毎日ベローチェに通ってます。
    気持の入った読書の時間じゃないと、とっつきにくかったかもしれないなと思いました。僕には難解なところも多かった。

    「期待」のない主人公がアメリカから帰ってくる弟、その親衛隊、障害を持った子供を産んだ妻とともに「草の家」「新しい生活」を見つける

    0
    2011年08月22日

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