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Posted by ブクログ
飛浩隆先生。SFなんだけど、簡単にそうくくってしまうのが勿体ないような中編集。
「デュオ」主人公はピアノ調律師。チューニングハンマーを武器に闘う調律師なんているんだ…!それもジョークではなく、洗練された戦術とゆるぎない殺意をもって。音楽の描写も凄い。バイエル8番がこんなにも不穏で、読み手をざわつかせ昂らせることってある?
個人的な「癖に刺さる」という意味でも稀少な一編。
表題作「象られた力」。圧倒的。宇宙世界に生成された多層の文化と、その破壊。文章の美しさ、映像を惹起する力が凄まじい。多文化のひびきに酔い、人々と図像のふるまいに魅了され、そして善悪を超えた圧倒的な力に平伏すしかない。
きわめて映像的でありながら、じゃあ実写?アニメ?CGでなんとかなる?なんて考え始めると、見たいような、でも何を見せられても追いつかない、物足りない気がしてしまう。
主人公、クドウ圓(ヒトミ)がいい。牡鹿みたい、と恋人(も、悪くていい)に評される男。もつれた黒髪、食事の所作までどこか色気がある。彼に見惚れる(文字で書かれた情報なのに見惚れてしまう)そのためにだけでも読む価値はある、そんな愉しみもある小説です。
Posted by ブクログ
三本の短編と一本の短めの中編からなる作品集。
この手の本を読んでいつも思うのは「これがSFか?」ということ。
別にSFに拘る必要もないし、読んで面白ければそれでいいのだけれど、例えば本書の冒頭の作品「デュオ」なんかは、SFのS……科学……というよりも、非科学的事象を題材にしている。
江戸川乱歩や夢野久作が書いてもおかしくない内容なのに、SFなのか……。
あるいはSFってもっと広義の意味合いが含まれているものなのか。
まぁ……いいけど(と書きつつも、どうもいつもひっかかってしまう)。
その「デュオ」なんかはブライアン・W.オールディス の「ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド」なんかを思い起こさせたりもした(あちらはロック・バンドだし、内容は全然違うんだけど)。
SF云々でケチをつけたような書き方をしたけれど、実はものすごく面白く読み進めることができた。
意表を突く題材に、きっちりとした伏線の張り方、その伏線の回収の仕方、読みやすい文章。
読者である僕ととても相性の良い作家のようだ。
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小説・文芸
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