ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
赤ん坊が、突然、何かに怯えて泣き出したり、何かを思い出したようににっこり笑ったりする。母の胎内で見残した夢の名残りを見ているのだという。私たちは、かつて胎児であった「十{と}月{つき}十{とお}日{か}」のあいだ羊水にどっぷり漬かり、子宮壁に響く母の血潮のざわめき、心臓の鼓動のなかで、劇的な変身をとげたが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演する。それは劫初いらいの生命記憶の再現といえるものであろう。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
地球、人体、言語、生命、果ては神の世界に至るまで、この世の究極の答えを細胞に語り掛ける宇宙誕生138億年の超絶アトラクション。 本の世界にのめり込むきっかけとなった偉大で思い出深い本です。文章量に圧倒され読み流しになるかと思いきや、読めば読む程引きこまれていくあの興奮が忘れられず何度も読み返してし...続きを読むまいます。
「命」を こんなにも 平易にわかりやすく説いてくれた書が これまで あっただろうか 私たちは 産まれてきた ただ そのことだけでも 神秘的であり、尊いことなんだ と あらためて 認識させてもらえる 自分の命の尊さに目覚めた者は 他者の命をも慮ることができる
胎児の相貌の変化に30億年の年月を読み込む。胎児の“上陸”のシーンは圧巻。ロゴスの世界に生きる筆者が、パトスに導かれて描いた世界。必読。
これは本当に生物学の本?と問いたくなるほど読みやすい。 発生学・古生物学・進化論・医学・人文科学・宗教・心理、等々、多岐に渡る分野の議論が“生命”の名の元に、ある一点を目指して集約してくるさまに感動。 こういう分野横断的な議論を、たった一冊の新書で実現してしまうなんて!驚きを隠せない。 語り口は...続きを読むドラマチックに、内容は純然たる自然科学の知識・見識を悉く、奥深く用いて記されていて 生物学の入門書としても、単に読み物としても大変面白い。 大正生まれの著者による三十年以上前の書物とは思えないほど内容に新鮮な輝きがあって、筆者の先見の命に脱帽。
人類の胎児は、母胎の中で成長する過程において、太古の原始生命体が上陸を始めてから経験した体内器官の変化と同じ変化を経験しているはず。そしてその顔も、まさしく生物の進化と同じく魚類、爬虫類、獣と経て、人間の顔となっているはず。それを確かめるには生の胎児を解剖するしかない。それを禁忌と筆者は感じつつも、...続きを読む解剖医としての本能には抗えず、堕胎した胎児を集めてその頭を落とす……。 序盤の、受精鶏卵の中で成長する胚子の血管に注射針で墨を流し込むとゆうのですでにショックを受けたが、思えばそういった研究がなければ現代医学もあり得なかった。 胎児の受胎から一箇月ころのスケッチがいくつか掲載されていて、みていたら『鋼の錬金術師』のエンヴィを思い出した。魚類のような爬虫類のようなよくわからない生物が、鋭い歯で人などに噛みつき、寄生し、憑依してしまうとゆう設定で、それはまあ置いといて、あの容姿がその受胎一箇月の胎児を聯想させる。勝手に何か納得してしまった。 自らの解剖医としての考察や体験についてはとても興味深いものがあったが、それ以外のところ、椰子の実の話とか、終盤の道教の話とか、なんとも新興宗教的な内容もあって、牽強附会なのも目立った。勿体ない。 抄訳 生命体の母なる海洋で生まれた古代魚は、気候変動などの原因により上陸を志し、あるものは陸にのこり、あるものは海へと引き返した。そこからある者は陸にのこり、ある者は海へ引き返した。 陸の環境に適応する前に海へ戻った者は、肺臓を鰾(うきぶくろ)に変化させた。いま魚類と呼ばれる生物のうち、鰾をもたないのは鮫だけであるとゆう。 陸にのこった者の中からは哺乳類が誕生した。人間の顔面の筋肉を観察すると、口から目、耳、頬と繋がっているのがわかるが、この一帯の筋肉構造は魚類時代に鰓を開閉させるために使われた筋肉の名残であるとゆう。つまりそれは皮膚感覚とゆうよりも、より生命本来の感覚に近い内臓感覚を有つ。 脾臓の由来を明らかにしたい筆者は、受精鶏卵に来る日も来る日も墨を注入し続けることで、鶏の受精卵から雛が生まれるまでの過程で臓器がどのように発達するのかを観察した。しかし業者から買い受けた鶏卵はどれも四日目になると生命活動が急激に低下し、活潑のころには注射器の針を刺すだけで墨が吸収されていたのが、この頃になると斑らにしか行き渡らないようになった。 この頃の卵の中では、胃の附属機関として造血を担っていた部分が静脈を産み落とし、脾臓として独立した臓器になるための変化が起こっていたことを、筆者は研究の結果知った。その脾臓は海から陸にあがった生物にみられる特徴であり、受精卵の中ではまさに上陸作戦が繰り広げられていた。受精卵の中の生命が衰弱していたのは、上陸作戦に生命そのものを賭していたことの表れであった。 --- p.16 「いうなければ」ってなに? p.42 「『記憶』とは『憶を記す』であるが、この『憶』は『啻=言中也』と『説文解字』にあるように、……過不足ない状態を象るものといわれる。」 何が言いたいのか、特に後半は全然意味わからんけど、憶は記の賓語(目的語)ではなく、どちらもオボエルの意味の動詞。
この本を誰に勧められたのか? 福岡伸一かもしれない。 養老孟司が絶賛していたことは間違いない。 とにかく、信用できる人の推薦文読んで手に入れたはずだ。 そして、その推薦は正しかった。 胎児の解剖を通じて、「個体発生は系統発生の短い反復である」という脊椎動物一億年の歴史を封じ込めた胎児の不思議さが開...続きを読む示されて驚くばかりだ。 胎児の経時的変化を示した写真の説得力は大きい。 そこには、有無を言わさぬ系統発生の証拠が示されている。 羊水は古代海水であり、母乳の存在が人の口の形状を生み出すという。 科学と文学的想像力の融合。
読み初めはオカルティックでどうだろう、眉唾なものなのではないかと思ったけど、読み進めていくと、生物学者の筆者が実際に研究した末にオカルト的勘と結果が結びついてくる面白さがあった。人間の胎児のみならず、様々な生物の胎児、原初生物を出して論じている。 途中、夢野久作の「ドグラ・マグラ」に出てくる胎児の夢...続きを読むという架空の論文の話が出てくる。その中にもやはり胎児は十月十日の間に長い生命の夢を見ているのだという趣旨の描写があり、この実験が行われる前、昭和の時代から夢野久作はこれを先見していたのではないかと書かれていた。この本を読んだ後に「ドグラ・マグラ」を読むとより楽しめるのではないか、と思った。
すんません。わたしには最後の方が難しすぎて,何を言いたいのか(というか,言いたいことは分かるけど,なんか科学的なお話ではないような気がする…)という本でした。 本書を手に取ったわけがすでに思い出せないんですよね。本書の次に読んでいるのも同じ著者のものです。先に紹介した『ながいながい骨の話』共々,...続きを読む一緒に読もうと思って手に入れたのですが,それがどうしてなのかを思い出せないんです。おそらく昨年の12月ごろのことだと思うんですが…。 さて,本書の発行は昭和58年で,わたしが勤め始めた年のことです。そんなずいぶん前の科学読み物なのですが,「研究」というものの楽しさというか夢中さというか,新しい発見に向けて実験をしている科学者の興奮する姿がビンビン伝わってくるので,なかなか面白く読むことができました。 人の胎児の発育の変化など,今じゃあ,発生学の本では当たり前に出てくる絵や写真についても,死んでしまっているとはいえ,人の胎児にメスを入れる怖さというか大胆さというか…,著者の迷いも含めて描かれています。科学者という生き物は知的好奇心を満たすために、そうせざるを得ないんですよね。 羊水を満たした、暗黒の空間のなかで繰りひろげられる胎児の世界ーそれは人類永遠の謎をして神秘のヴェールのかなたにそっとしまっておく,そんな瀬会なのかも知れない。この世には見てはならぬものがある。近代の生物学は,しかし,この一線をいともやすやすと乗り越える。自然科学の実証の精神,というより人間のもつ抑え難い好奇心が,その不文律を破ったのだ。(本書,150ぺ) そして,そこから得た知識は,ヘッケルの「個体発生は系統発生の短い反復である」ということを証明するものでした。
ミクロからマクロまで生命にリズムが生まれて波及する。それは空間や時間を旅するように移動を重ねて時折振り返るように反復する。その記憶は自身の経験なのか、それとも受け継がれるDNAなのか。宇宙は自然であり、人の意識の産物ではない。故に誰にも世界を制御できないし必然とも偶然とも解釈できる運命に委ねられる。...続きを読むそもそも意識を積み重ねた記憶は不確かなもので常に変化を遂げていく。諸行無常、万物流転、この言葉にしっくりくるのがこの書籍の読後感である。
本書は確か『READING HACKS』で紹介されていて購入したのだと思う。 ちゃんと理解できたか?と訊かれると言葉に詰まってしまうぐらい、読むのに骨が折れたが、とても大きな浪漫が語られている。 個体の発生から誕生までというミクロな話を、地球上の生命の発生から人類の発生に至る大きな流れに重ね合わ...続きを読むせ、感動をもって語られるとき、われわれ読者は、圧倒させられてしまい言葉も出ない。 科学なのかどうかはよくわからないが、現実を解釈する、というのは、こういうイメージを膨らませることを言うのではないかと感じた。 [more] (目次) ? 故郷への回帰――生命記憶と回想 民族と里帰り 「椰子の実」の記憶 絹の道 里帰りの生理 母乳の味 母乳と玄米 哺乳動物誌 味覚の根源――「憶」の意味 羊水と古代海水 出産 脊椎動物の上陸 いのちの塩 ? 胎児の世界――生命記憶の再現 ニワトリの四日目 墨汁の注入 四日目の出来事 上陸の形象 胎児の発生 胎児の顔 受胎1か月の像 おもかげ――原型について 再現について 個体発生と宗族発生 奇形の意味するもの 胎児の夢 ? いのちの波――生命記憶の根原 食と性について ヤツメウナギの変態 植物メタモルフォーゼ 食と性の位相交替 内臓波動 いのちの波 万物流転――リズムの本質 胎児と宇宙 永遠周行 東洋の「道」 遷宮の意味 母なる海
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
胎児の世界 人類の生命記憶
新刊情報をお知らせします。
三木成夫
フォロー機能について
「中公新書」の最新刊一覧へ
「学術・語学」無料一覧へ
「学術・語学」ランキングの一覧へ
生命とリズム
試し読み
「三木成夫」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲胎児の世界 人類の生命記憶 ページトップヘ