幻の光

幻の光

小説・文芸
605円 (税込)

3pt

人は精がのうなると、死にとうなるもんじゃけ――祖母が、そして次に前夫が何故か突然、生への執着を捨てて闇の国へと去っていった悲しい記憶を胸奥に秘めたゆみ子。奥能登の板前の後妻として平穏な日々を過す成熟した女の情念の妖しさと、幸せと不幸せの狭間を生きてゆかねばならぬ人間の危うさとを描いた表題作のほか3編を収録。芥川賞受賞作「螢川」の著者会心の作品集。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    幻の光
  • タイトルID
    :
    223047
  • 電子版発売日
    :
    2013年10月04日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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幻の光 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    若い頃、宮本輝さんが大好きでほぼ全ての作品を読んできたのですが、『幻の光』だけはまだ読んでいませんでした。たまたま手にとって見ると、一編目が私の馴染み深い奥能登を舞台にしているとのこと。実は毎年、能登へお墓参りに行っているため、作中に出てくる曽々木海岸の情景もよく分かり、描写がとてもリアルに心に迫ってきました。収録されている他の作品もすべて「生と死」をテーマにしており、宮本さんならではの美しい方言を用いた抒情詩のように描かれています。それは、すっと心の深いところに溜まっていくような感覚です。暗い影がベースにありながらも、その中にほんの少しだけ確かな光が見える、そんな宮本文学の魅力を、改めて深く味わえる作品でした。

    0
    2026年07月18日

    Posted by ブクログ

    これは面白くて、二度読んでしまった。
    表題の「幻の光」だけではあるが。
    子どもが生まれたばかりで夫を突然に亡くし、幸せな再婚を果たしたはずの女性が、亡き夫に語り続ける話。
    古臭くて貧しい昭和の関西と能登の話。
    そんな中でもきらりと強く光る脇役の女性たちの話。
    この頃の宮本輝さんの作品は「泥の河」しかり、いかにも純文学で私は非常に好きである。

    0
    2026年05月18日

    Posted by ブクログ

    他人の内面を暴き立てるでなく、ただ自分の中身を観察する。こういうひそやかな小説にこそ、日々が宿るのかもしれない。

    0
    2025年09月19日

    Posted by ブクログ

    『生と死』

    どんな環境におかれようとも、わずかな幸せを求めて懸命に生きようとする力

    そんな力も、理由もなく突然訪れる『死』の前では無力だ

    『死』に向き合いながら生きていく人の儚さを、淡々とした語りの中で感じざるを得ない

    0
    2021年04月29日

    Posted by ブクログ

    表紙の裸婦絵は高山辰雄でとても印象深い。
    表題作「幻の光」ほか短編3作を所収で、どれもしっとりとした雰囲気の中で人間の情念を丹念に描いた作品になっている。
    「幻の光」は前夫の自殺した理由をわからず空虚にさまよう心を抱えながら再婚し、奥能登曾々木で暮らす主人公が、前夫に語りかけることで自らと対話するというスタイルをとる。兵庫尼崎での貧乏で暗い少女時代から、前夫との生活の中での会話、曾々木での安定した生活という人生の流れの中で、様々なエピソードが繊細な描写で深い余韻を残してくれる。すうっと消えていった祖母の話や大阪駅で見送ってくれた知り合いのおばちゃん、曾々木で蟹を獲りに行って遭難したと思われたおばちゃんの話が特に印象深い。ともすれば生死のはざまで生きてきた主人公が、冬の日本海の荒波の中で前夫の死を見つめ直し、現在の夫の前妻の影に嫉妬できるまでに再生できたところに安堵した。死へと向かう光が生と結びついている描写が妙に納得感があった。
    「夜桜」は、若い頃にゆとりがなかったばかりに離婚したことを後悔し、息子を事故で喪ったばかりの主人公の自宅に、奇妙なお願いに登場した見ず知らずの青年との、ある1晩の物語。ややもすれば長く住んでいると見落としがちな光景に、ちょっとの幸福感を共有できた心温まる物語となっている。
    「こうもり」は、少年時代の出来事と不倫プチ旅行を行っている現在とをパラレルに行き来しながら何ともいえない主人公のいたたまれなさを表した作品。少年時代の友人?との冒険的行動が印象深い。
    「寝台車」は大阪から東京に出張することになった主人公が、現在の商談経緯と少年時代の心に突き刺さる思い出を振り返りながら、情感に浸る作品。寝台車というロートルな情景で思い返される記憶の湧き起こりが印象的な物語になっている。
    どの作品も、喪失感を抱える主人公たちが「プチ旅行」「現在と過去」などを背景に、心の暗部を見つめながらも明日に向かって生きる、人間の生死のはざまに漂う思いを優しく包み込んでくれるような感じがする。

    0
    2012年07月01日

    Posted by ブクログ

    宮本輝短編Weekだった。この文体、この視点、純文学なんだよな。。すごいな。たぶんこれ書いたとき、俺と同年代か年下、すごいな。。

    0
    2012年04月08日

    Posted by ブクログ

    幻の光
    尼崎に住むゆみ子が、全く動機の分からない夫郁夫の自殺に深く傷つきながら能登へ嫁いでいく話。
    是枝監督の映画を見て、いたく感銘を受けて、どうしても原作を読みたくて珍しく新刊で買って読みました。
    映画は原作の基本的なエピソードを抑えつつ、うまく膨らませていましたが、原作はほぼゆみ子のモノローグのみで構成されていて、最後の民雄の一言も映画のようにではなく、もっと何気ない感じに呟かれていて、これもこれで、と思いました。
    ただ、テーマ的には映画の方が伝わりやすい。というか是枝監督の解釈がかなりしっくりくるよな、と思いました。

    夜桜
    離婚して十数年経つ女性が息子を失って1周忌のころ、2階の息子の部屋を貸し出したところ、若い男が一晩だけ貸してほしい願い出てくる。
    なんというか、神戸のあの辺の超高級住宅に住むバツ1女性の心理というのがいまいち入ってこず、間借りを申し出た男の動機もいまいち理解できず、なんか変な人ばかりが出てくる小説だった、という印象でした。

    こうもり
    高校のころ、コンスケと呼ばれていた男が不倫旅行に出かける途中に偶然昔の同級生に呼び止められ、同じ同級生で不良だったランドウの死を知らされ、当時の記憶が蘇る。
    ランドウの描写もなんか納得できて(あんな感じに自分のお気に入りを作るやついるよな)、その後ランドウが童貞を捨てに大阪の下町を歩いていく時の暑苦しさが伝わり、ちょっとしみじみと読んでしました。ラストのこうもりが待っている描写もどことなく怪しい感じもして、それが現在の不倫旅行につながっていく感じがちょっと読みごたえがあったような気がします。

    寝台車
    大阪から東京へ、最後の営業の詰めの打ち合わせをするために寝台車に乗った男が、この契約をまとめるにあたって他社から配属されてきた男のことや、小学生のころ友達で、ふとした事件で死にかけるも一命をとりとめ、その後大学生になって死んでしまったことなどを思い出す
    あらすじにも書いた通りの内容しか無くて、拍子抜けな感じがしますが、男の記憶のどこを辿ってもどこにもオチがなく、ほんとうに投げっぱなしだけど、どこかちょっと余韻が残るような不思議な作品でした。

    0
    2026年10月02日

    Posted by ブクログ

    愛する者に理由も分からず先立たれた女性の嘆きを描く表題作ほか3編が収録された短・中篇集。

    いずれも、「死」や「喪失」が、方言とともに哀しくもしっとりと心に染み入る、そんな作品。
    50年近く前の作品ですが、その時代の空気や情景が浮かぶような、読みやすい作品でした。

    0
    2025年05月06日

    Posted by ブクログ

    たまたま表題作の映画化(是枝ちゃんでしたか!)の再上映の予告編を見て手に取りました。
    演歌の世界なのか、解説ではその論評でしたが、そんな感じはしなかったかな。単に当方が演歌を分かっていないだけかもしれませんが、自然と混じりあった人間の暗さとそこにほのかに見える光、という感じでウェットでもなく、かといって能天気でもない佳作だと思いましたけれども。

    0
    2024年08月31日

    Posted by ブクログ

    人の死と官能がいいタイミングで出てくる。
    意外と表題作よりその後の作品の方が好きだった。
    解説の「画面は全体に暗色なのに、表面というより底の方から、どこからともなく一種の明りがうかびあがってくるような絵にぶつかることがある。」この通りの一冊だった。

    0
    2024年08月23日

幻の光 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    新潮社
  • 掲載誌・レーベル
    :
    新潮文庫
  • タイトル
    :
    幻の光
  • タイトルID
    :
    223047
  • 電子版発売日
    :
    2013年10月04日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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