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Posted by ブクログ
かつて人だったもの達のゴミが不快この上ない。そんな言葉が印象的だった小説。
以下、私のおばあちゃんから聞いた戦争の話。
不幸を、戦争を、90歳になる私の祖母は何も話してくれない。機関銃で指先を無くし、マラリアの後遺症で毛の一本も生えなくなってしまった祖母は、過去を語ろうとしない。思い出すことさえ憚れるのだろう。
それでもいつだったか、私が確か小学4年生の頃に戦争について作文課題がだされた。その時に一度だけ聞いたことを覚えている。
目の前で幼かった弟の体が弾け飛び、下半身だけが地面に立ったまま残っていたこと。
マラリアに罹患した時、家族に迷惑をかけぬよう、自ら死体置き場に向かおうとしたが、肉の削がれた足では歩いけず、悔しい思いをしたこと。腐敗した人の足は嘔吐するほど臭かったが、人の焦げる匂いは香ばしくもあったということ。死体をひっくり返しながら母を探したこと。片目から蛆の湧きでる憎き日本兵の手当をしたこと。親友の食糧を奪って空腹を満たした時の絶望的な罪悪感が今でも自分を苦しめていること。死んだ人間の下に隠れていれば、アメリカの機関銃は撃たないという戦争ライフハックも自信たっぷりに教えてくれた。
そんなに苦しめられた戦争だけど、味覚は昔を懐かしむらしく、賞味期限一ヶ月過ぎたドロドロの牛乳が、蒸しただけの泥芋のツタが、今でも好きなことも。
ウクライナの戦争のニュースが流れるたびに、過呼吸になってしまう祖母は今だに80年前の戦争に縛られて生きている。
孫である私の顔を見るたびにお腹空いていないか聞いてくる祖母に、さっきも食べたよと呆れた顔を見せた自分は、絶望的な空腹を味わったことのない幸せクソ野郎だった。
戦争時代に比べれば今は幸せなんだから文句は言えない、なんて説教じみた事は1ミリも思ってないが、私たちはやはりあの時の苦しみに想いを馳せておかねばならない。
まぁそんなこんなだが、祖母は韓国ドラマにハマって偽装恋愛を楽しんでいる模様。楽しそうで何よりなのでNetflixを入れといた。
沖縄の戦争。沖縄の苦しみ。
ぜひ皆さんにも読んでほしい。
内容も話の展開も面白く読めるので、祖母の話しを抜きに本書の小説としての面白さだけで星は評価している。
Posted by ブクログ
池上冬樹の解説にも書いてあるように「まさか馳星周の小説を読んで泣くとは思わなかった」。
東日本大震災の被災地、石巻。そこから物語が始まる。大津波に襲われた石巻の風景描写…読み始めてすぐに泣けてきた。東日本大震災の直後に両親の安否を確認するため向った沿岸の町…全てが津波で流され、大きな船が打ち上げられ、瓦礫に覆われた道路…虚ろな表情で歩く人々…余りにも強く残る人々の生活の痕跡…あの光景が頭の中に蘇った。
そして物語の舞台は終戦間際の沖縄へ。あの悲惨な戦争と東日本大震災がオーバーラップし、ページをめくるたびに涙がこぼれる。本土に見捨てられた沖縄…その中で必死に生きる14歳の真栄原幸甚…馳星周の小説を読んで泣くとは、本当に思わなかった。
タイトルから想像するに馳星周得意のノワール小説かと思ったのだが、意表を突かれた。やられた…
Posted by ブクログ
何を
何を言葉で表せばいいのだろう。
どの感情が私の中には流れているのだろう。
言葉が、一つ一つが、
重く、何かを残していく。
しかしこれは生きた声ではない
「字」を通して伝えられたものだ。
しかしこれはフィクションではない
「字」を通して人から発せられた生きた言葉なのだ。
矛盾しているだろうか。
これが戦争を知らない
私達に必要な体験なのだとすれば
私達は避けずに受け止めなければならない。
でも、
でも…
受け止めた後、その後
どうしたらいいのかがわからない。
確かにそこに現実があった。
しかし私の今、目の前にはない。
確かにその場所は今もある
けれどそれはもう違う場所となっている。
わからない。
「わからない」と考えることが必要なのだろうか。
悲しい
惨い
酷い
辛い
苦しい
どの言葉もあてはまらない
しかしどの言葉でもあてはまる
それら全ての言葉を含んだ
「戦争」
という言葉の重みを知らなければならない。
沖縄というまさにその土地で
読むことができて良かった。
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