無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
モノトーンなのに鮮やか。冷たいけど生々しい。
(瀧井朝世さんの解説より)
忘れられない思いの作品だったので、再読しました。
しかし、
自分の3年前の感想を見ますと、忘れられない作品と思ったわりにはあっけらかんとブログしておりました。
特に短編6篇(「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「水の棺」「氷平線」)のうち最初の「雪虫」が何とも言えずいいのです。オール読物新人賞デビュー作だそうで、これで世に出ましたという作品だからでしょうか。そもそもの桜木さんワールドのはじまり。
どんな風にいいのか?ストーリーがうまい。情景が湧いてくる。
芳しい牧草の中での交歓、牧歌的風景。高校以来付き合ってるいい年の男女の紆余曲折。
持っていかれる感情。明るい中の哀歓をかみしめたくなる。余韻が嫋々とそして納得する。
*****
<3年前の感想>
桜木紫乃さんの短編集『氷平線』と『誰もいない夜に咲く』にはまって
「格差社会の現代の片隅に生きている」短編の主人公たち(『誰もいない夜に咲く』解説)
「一億総中流」の昭和に駆け抜けたわたしからみれば、「庶民の哀歓」になる
やっぱりちょっと古いかなあ(笑
つまり、いつの時代も庶民は悲哀に満ちた人生を送っている、ってこと
主人公たちが
けしてお金持ちではなく、家庭が崩壊しかけてるか、肉親同士が解り合えず
夫婦円満でないか、離婚してるか、恋人フラれているか、さびしい、きびしいひとり身か
しかし
この作者の短編の数々が一見「暗いものがたり」を編んでいるようにも
背景にからっとした空気の北海道の風景がそこはかとなくはめ込まれてあるので
そこに目が行く、目だけで無く、そこへ旅行したくなる不思議さ
その風景の中で哀歓をかみしめてみたい、なんてさ
だからうまい作家ってことになるのだけれど
北海道がからっとしているという感想もわたしの幻想なのかもしれない
霧の摩周湖は行った時、ほんと霧で何も見えなかったしね(笑
Posted by ブクログ
雪が降る様は、緩慢な時の流れを思い起こさせる。一年のうち、三分の一はそれが続く。積もれば容易く抜け出せない要塞を築き、人々を中に閉じ込める。
雪国に在って、しだいに神経が麻痺していくような感覚はわかる気がする。
極寒の気候で熱はひときわ存在感をもち、痛みは研ぎ澄まされて鋭く、悲しみは沁み通る。
寥々たる地を背景にすれば、生きた人間の輪郭は否が応でも太く浮き出てくる。
あらゆる要素が舞台装置として、これ以上ないほど有効に機能している。
故に、どの作品も「北海道でなくてはならない」と思わされる。もしも別の場所が舞台だったなら、まったく異なる印象をもったと思う。
全体を通して、思ったことがもう一つある。
和裁師、理容師、歯科医師…桜木さんの描く職人像がどれも好ましかった。
倦んだ空気をまとった作品群の中で、自らの職務を矜持を持ってやり遂げる人々の姿は、晴れ晴れと描かれている。
Posted by ブクログ
今回は特に渋いなあ。。。
と思ったら、桜木紫乃さんのまさかのデビュー作
卓越された描写力と人物造形力は既に健在
収録されているのは六編だが、
長編小説を読み終えた様な深い読後感がある
オホーツク沿岸の冷たい大地とは対象的に、北の大地に人生をささげてきた家族や男女の関係が生々しい
狭い社会の中でのままならない日常、行き場のない心はさまよい、温めてくれる他人を求める
しかし、どの話にも出てくる女は逞しくブレない生き様だ
良かったのは『霧繭』と『氷平線』
『霧繭』は和裁師の女の話
『氷平線』とは”水平線”ならぬ”氷水線”
水平線のように広がる氷の大地のことであり、凍てついた海と空の境をなす線をいう
あの頃を思い出し友江を手に入れたいと思う誠一郎
誠一郎を思いながらも将来を見てしまう友江
交わることのない二人の想いがどこまでも続く氷平線に溶けていく
最後は衝撃が待っている
雪虫、海霧、氷平線、出面取り等、北海道ならではの言葉に、より凍てつく大地の描写がリアルになった
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。