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リーマン・ショックで金融資本を救った国家が次々、危機に瀕するという恐ろしい連鎖が始まった。グローバル化のデフレ圧力で中間層が破壊され、未来への投資が停止し、民衆とエリートの対立が深まる「冬の時代」。この長く続くであろう危機、大恐慌の足音が聞こえる時代を日本が生き抜くために必要なのは、過剰な流動性を生んだグローバル化の危うさと各国の社会構造の本質まで分析する「経済思想」だ。『TPP亡国論』で論壇の寵児となった中野剛志と気鋭の経済思想家・柴山桂太が徹底的に危機の時代への処方箋を語りつくす!【目次】はじめに――壊れゆく世界を行きぬくために 中野剛志/第一章 グローバル化の罠に落ちたアメリカと世界/第二章 デフレで「未来」を手放す日本/第三章 格差と分裂で破綻する中国とEU/第四章 冬の時代のための経済ナショナリズム/おわりに――歴史は繰り返す 柴山桂太
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Posted by ブクログ
本書は、反TPP論者で評判の中野剛司氏と経済思想家柴山圭太氏の対談をもとにしただけに、一般人にもわかりやすい内容となっているが、その内容は深く、またおもしろく、そして興味深く、高く評価できると感じた。
本書では、現在の世界経済の現状について「世界がグローバル化のわなに落ちた」と喝破している。柴山氏は「グローバル化は経済危機の原因であって、グローバル化を経済危機の処方箋とはできない」と語っている。そのわかりやすい主張は説得力があると感じた。
また、危機の根本原因を「グローバルインバランス」と分析していることも、興味深い。世界的なマネーの流れが危機の原因であるならば、小手先の各国別の対処ではどうにもならないと感じた。
「格差社会」「デフレ」についての議論も説得力があると感じたが、この二人の対談で、一番興味深く感じたのは、『敵の発見』である。二人の対談では、結果的に誰も得をしないグローバル経済のもとで唯一利益を得ているのは「金融資本」であると結論付けている。これは、正しい認識なのだろうか? マルクスの時代には、労働者と資本家の対立が語られたが、まだ金融資本主義という段階ではなかったという。この論争は「金融階級vs他の階級」の階級闘争にまで至るのだろうか。
本書の「グローバル経済が不安定なのは当たり前。国内経済と違って誰も管理するものがいない」との指摘は説得力がある。本書の指摘が正しければ、世界経済の混迷はまだまだ続くどころかはじまったばかりという事になる。現在の世界経済の混迷には経済・思想・政治全てにわたる考察が必要とする本書の内容を高く評価したい。
Posted by ブクログ
日本型雇用慣行。終身雇用制と年功序列型賃金制度とOJT、これらが相互補完的に働く。
不況下でリストラが進められる中で広がったのが「高給取ってろくに仕事もできないおっさん達は許せない、こういう連中こそ首を切るべきだ」という論調。
そして年功序列型賃金制度から能力主義的賃金制にという流れ。
これはたぶんに外資の論理だ。
OJTが基本となる日本型雇用慣行では若年労働者を育てるのに金がかかる。
これが投資にあたる訳だが外資はこれを許さない。
そもそも外資はOff-JTを基本としていて、人材への投資という意味でのOJTに理解がないのかもしれない。
雇用の流動化どころか、そもそも雇用がこんな状況なのに外資の論理で動いていたら……。
冒頭で中野氏が「もっと思想的、哲学的に、国家や市場の本質を見据えたうえで」(19)と言うように、資本主義やグローバル化といった原理・思想の本来的な姿から、企業の論理、民族性の問題、経済史…と幅広くかつ明快に読ませてくれる。
中野氏が言いたかったことは「人間そのものへ還れ」ということではないだろうか。(経済)理論を生み出してきた人間の理性に限界があること、コミュニティや文化・風土を土台にしていること、人間の尊厳……そういったものの重要性がマクロ経済の分析から説得的に語られている。
Posted by ブクログ
中野剛志氏と柴山桂太氏のシンプルで本質を抉る対談集である。
新自由主義イデオロギーに毒されたヤスモンのエセ学者さんたちの言っていることに騙され続けている日本社会にとって、青天の霹靂なことばかり著されている。
しかしながら、根拠となる事実は、西欧資本主義社会が過去、積み重ねてきたものである。
アダムスミス、ケインズ、カール・ポランニー、シュンペーター、フリードリッヒ・リストなどなど、そんじょそこらの偏向してしまう日本のヤスモンの経済学者とはまったくことなる異能の社会科学総合学者さんが分析してきたことに基づいている対談は読み応えがありました(笑)。
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